酔吟会第170回例会

 

11人で「身に入む」「稲・米」を詠む

首位7点は席題出題者の三薬さん、次点に4人が並ぶ

酔吟会は令和6年の9月例会(通算第170回)を14日午後1時から江東区の芭蕉記念館で開催した。兼題は「身に入む」、杉山三薬さんから出題された席題は「稲もしくは米」。雑詠を含め投句5句、選句6句(うち特選1句)の結果、首位の7点句に杉山三薬さんの「そぞろ寒娘が米を借りにくる」が入り、席題出題者の面目躍如と大喜び。次点の6点句は、大澤水牛さんの「身に入むや組立トイレ講習会」、嵐田双歩さんの「爪割れて齢身に入む夕べかな」、向井愉里さんの「身に入むやひと月先の再検査」、玉田春陽子さんの「稲刈りて風の見えなくなりにけり」と4句も並ぶ盛況。三席5点句には廣田可升さんの「身に入むや類想類句といふ奈落」、4点句には金田青水さんの「蕎麦屋にて頼む残暑のカツカレー」と続いた。高得点9句のうち、半数以上の5句が兼題の「身に入む」の句となった。会員の高齢化とともに、日常的に身に入む経験が多くなったことの反映だろうか。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「身に入む」

身に入むや組立トイレ講習会      大澤 水牛

爪割れて齢身に入む夕べかな      嵐田 双歩

身に入むやひと月先の再検査      向井 愉里

身に入むや類想類句といふ奈落     廣田 可升

身に入むや青シート屋根並ぶ町     徳永 木葉

「稲・米」

そぞろ寒娘が米を借りにくる      杉山 三薬

稲刈りて風の見えなくなりにけり    玉田春陽子

ペダル踏む右も左も稲穂波       廣田 可升

「当季雑詠」

蕎麦屋にて頼む残暑のカツカレー    金田 青水

<句会参加者11人>嵐田双歩、大澤水牛、岡田鷹洋、金田青水、久保道子、杉山三薬、須藤光迷、玉田春陽子、徳永木葉、廣田可升、向井愉里。

(報告 廣田可升)

 

Posted in 句会報告 | Leave a comment

番町喜楽会第220回例会

 

首位に迷哲、水兎、斗詩子鼎立

19人が「二百十日」と「曼殊沙華」を詠む

番町喜楽会は令和6年9月例会(通算第220回)を2日午後6時半から東京・九段下の千代田区生涯学習館で開催した。台風10号が迷走し気を揉んだものの、晴天となった。ただし、出席者は9人にとどまり、いささか寂しい感じ。兼題は「二百十日(厄日も可)」と「曼殊沙華」。雑詠を含め投句5句、選句6句(欠席者は5句)の結果、首位に中村迷哲さんの「庭の鉢居間にあふれる厄日かな」、星川水兎さんの「残り物チャーハンにして厄日過ぐ」、山口斗詩子さんの「母の裾ぎゅっとにぎりて秋日傘」の3句が並んだ。次点は4点の6句、三席は3点の4句だった。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「二百十日(厄日)」

庭の鉢居間にあふれる厄日かな       中村 迷哲

残り物チャーハンにして厄日過ぐ      星川 水兎

田んぼ消ゆ二百二十日の濁流に       金田 青水

二百十日蝉の亡き骸そっと掃く       斉山 満智

掌に欠伸をしまひ厄日過ぐ         玉田春陽子

「曼殊沙華」

高麗人の築きし土手や曼殊沙華       中村 迷哲

奈良明日香石舞台へと曼殊沙華       金田 青水

曼珠沙華ここにカルメン立たせたし     堤 てる夫

つかのまに老いたる団地曼珠沙華      廣田 可升

「当季雑詠」

母の裾ぎゅっとにぎりて秋日傘       山口斗詩子

田畑の相続難し鉦叩            高井 百子

鉦叩き今宵小さな旅支度          星川 水兎

首相候補こんな顔ぶれ秋寂し        堤 てる夫

<句会出席者、9人>池内的中、大澤水牛、金田青水、須藤光迷、田中白山、玉田春陽子、中村迷哲、廣田可升、向井愉里。<投句参加者、10人>嵐田双歩、斉山満智、澤井二堂、高井百子、谷川水馬、堤てる夫、徳永木葉、星川水兎、前島幻水、山口斗詩子。  (報告 須藤光迷)

 

Posted in 句会報告 | Leave a comment

日経俳句会第231回例会

明生句「孫と嫁」が最高12点、二席は光迷句「タワマン」

参加36人で「盆」と「ばった」を詠む

日経俳句会は8月21日(水)、神田・鎌倉橋の日経広告研究所会議室で8月例会(通算231回)を開いた。連日の厳しい残暑とゲリラ豪雨はこの日も続き、夕方には品川駅前が水浸しになるなど各地で雷雨に見舞われた。幸い会場周辺は打ち水程度の雨量で済み、いくらか涼しくなった。出席者は11人。残暑の中、熱のこもった議論が続いた。兼題は「盆」と「ばった(飛蝗、螇蚸)」。36人から108句の投句があり、6句選(欠席者は5句選)の結果、加藤明生さんの「孫と嫁残暑を置いて帰りけり」が12点を得て一席に輝いた。二席は須藤光迷さんの「稲光タワマン墓のごとく立ち」が9点で続き、三席には双歩句「存分に仏間冷やすも盆用意」、木葉句「先祖より先に孫来て盆に入る」、水兎句「銀の匙磨くも母の盆支度」、定利句「ヘルメットバイクに置きて盆の僧」の兼題4句が6点で並んだ。以下、5点5句、4点8句、3点8句、2点12句、1点36句だった。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「盆」

存分に仏間冷やすも盆用意              嵐田 双歩

先祖より先に孫来て盆に入る             徳永 木葉

銀の匙磨くも母の盆支度               星川 水兔

ヘルメットバイクに置きて盆の僧           横井 定利

盆淋し家系にひとり残されて             大沢 反平

姿なき鳩も烏も盆休み                久保田 操

とげとげの心丸めて盆支度              篠田  朗

ヴィトン下げあの娘降り立つ盆の駅          杉山 三薬

墓じまい額寄せ合ふ盆の夜              中村 迷哲

久方の妹の寝息盆の家                向井 愉里

親戚もいまやちりぢり盂蘭盆会            大澤 水牛

お供えは草原の花阿蘇の盆              久保 道子

迎え火やなつかし声をふっときく           池村実千代

「ばった(飛蝗、螇蚸)」

出迎へはおんぶ飛蝗よ里帰り             金田 青水

球拾ふ多摩の川原やばった飛ぶ            谷川 水馬

ひと文句ありそなバッタのくろ目玉          中沢 豆乳

睨み合ふ飛蝗の構えレスリング            高井 百子

ライン上動かぬバッタ手で扇ぐ            旙山 芳之

ばつた跳ぶ草撓みたる刹那かな            溝口戸無広

当季雑詠

孫と嫁残暑を置いて帰りけり             加藤 明生

稲光タワマン墓のごとく立ち             須藤 光迷

新涼の安堵の朝や喜寿迎ふ              高井 百子

八月やピースホープは煙草の名            嵐田 双歩

ひと差し指で休む蜻蛉や露天風呂           星川 水兎

原爆忌おこりじぞうの悲しき目            岩田 千虎

かさぶたの剥がれるやうに蝉果つる          中嶋 阿猿

猫達と夫に一献遠花火                藤野十三妹

《参加者》【出席11人】嵐田双歩、岩田千虎、大澤水牛、金田青水、澤井二堂、篠田朗、堤てる夫、中野枕流、中村迷哲、星川水兎、向井愉里。【投句参加25人】池村実千代、和泉田守、伊藤健史、今泉而云、植村方円、大沢反平、岡田鷹洋、岡松卓也、加藤明生、久保道子、久保田操、杉山三薬、須藤光迷、高井百子、高橋ヲブラダ、谷川水馬、徳永木葉、中沢豆乳、中嶋阿猿、旙山芳之、廣上正市、藤野十三妹、溝口戸無広、水口弥生、横井定利。

(報告 嵐田双歩)

 

 

 

Posted in 句会報告 | Leave a comment

番町喜楽会第219回例会

久々に全会員19名参加、投句総数95句

最長老白山氏「卒寿の坂」で最高9点獲得

猛暑の中「秋の声」と「流星」を詠み合う

番町喜楽会は令和6年8月例会(通算第219回)を8月3日(土)午後6時から、東京・九段下の千代田区生涯学習館で開催した。番町喜楽会は一時は会員が35人にも膨れ上がったのだが、寄る年波に一人去り二人欠けと現有会員は19人になっている。それも「夜間外出を控えておりますので」とか「ちょっと不具合」とかで句会場に出て来られない人も多くなった。というわけで、この夜も出席者は10人とこじんまり。しかし、俳句以外ほとんど用の無い当番幹事水牛のしつこい投句催促メールに辟易したか、次々に投句が寄せられ、ついに19人全員の投句95句が勢揃い、全員が選句した。

今回の兼題は「秋の声」と「流星・流れ星」。選句7句(欠席者は5句)で句会を進めた結果、田中白山さんの「卒寿への最後の坂の残暑かな」が断然の9点で一席を飾った。二席は6点で玉田春陽子さんの「占いの客待つ路地や秋の声」と廣田可升さんの「なき人はよき人ばかり流れ星」の2句、三席5点は「白桃やアダムもイヴも知らぬ味 春陽子」だった。さらに「夜の更けて一人弓引く秋の声 的中」「広島や炎暑にゆがむアスファルト 双歩」の2句が4点で続いた。以下、3点6句、2点16句、1点31句という結果だった。兼題別の高点句(3点以上)は下記のとおり。

「秋の声」

占いの客待つ路地や秋の声              玉田春陽子

夜の更けて一人弓引く秋の声             池内 的中

神宿る社中磐座(いわくら)秋の声          堤 てる夫

風鈴の吊るされしまま秋の声             高井 百子

AIの解らぬものに秋の声               星川 水兎

「流星・流れ星」

なき人はよき人ばかり流れ星             廣田 可升

流れ星夫婦で違ふ願ひ事               中村 迷哲

「当季雑詠」

卒寿への最後の坂の残暑かな             田中 白山

白桃やアダムもイヴも知らぬ味            玉田春陽子

広島や炎暑にゆがむアスファルト           嵐田 双歩

常連のひとり欠けたり夏の果て            金田 青水

阿波踊目指し毎朝スクワット             谷川 水馬

《参加者》【出席10人】池内的中、大澤水牛、金田青水、須藤光迷、高井百子、田中白山、玉田春陽子、堤てる夫、前島幻水、向井愉里。【投句参加9人】嵐田双歩、斉山満智、澤井二堂、谷川水馬、徳永木葉、中村迷哲、廣田可升、星川水兎、山口斗詩子。

(報告・大澤水牛)

 

Posted in 句会報告 | Leave a comment

日経俳句会第230回例会

双歩句「夫婦喧嘩」が最高8点、二席は明生・操・水兎句並ぶ

「暑中見舞」と「素麺」を詠む

日経俳句会は令和6年7月例会(通算230回)を7月17日(水)に鎌倉橋の日経広告研究所会議室で開いた。梅雨明け目前の蒸し暑さの中、12人が元気な顔を見せ句会に臨んだ。兼題は「暑中見舞」と「素麺」。38人から112句の投句があり、6句選(欠席は5句)の結果、嵐田双歩さんの「冷素麺夫婦喧嘩のうやむやに」が8点で一席となった。二席6点には加藤明生さんの「添書きの文字の細さよ夏見舞」、久保田操さんの「またひとつ老舗閉店竹落葉」、星川水兎さんの「蓮の葉を回る雨つぶ池之端」の3句が並んだ。三席5点は中嶋阿猿さんの「書くことも来ることもなし暑中見舞い」をはじめ8句が入った。このほか4点6句、3点11句、2点18句、1点34句で、全体にまんべんなく点が入った印象だった。

なお句会の席上、岩田三代さんが俳号「千虎(ちこ)」を名乗ることを表明、拍手で了解された。由来は髪をおかっぱにしたところ、友人から「NHK番組のチコちゃんに似ている」とチコと呼ばれるようになり、この愛称に漢字をあてたもの。兼題別の高点句(三点以上)は以下の通り。

「暑中見舞」

添書きの文字の細さよ夏見舞             加藤 明生

書くことも来ることもなし暑中見舞い         中嶋 阿猿

夏見舞おもて面まで続きけり             星川 水兎

絵手紙に似合ふ癖字や夏見舞             嵐田 双歩

貝描く暑中見舞に海の音               篠田  朗

安否まず問ひて問はれて夏見舞            水口 弥生

薄墨や優しき筆の夏見舞               池村実千代

墨痕に気合の暑中見舞かな              今泉 而云

色褪せし暑中見舞いに母の文字            岩田 三代

ご無沙汰をラインで交はす夏見舞           久保田 操

下手な絵に生きているぜと夏見舞           中村 迷哲

「素麺」

冷素麺夫婦喧嘩のうやむやに             嵐田 双歩

古のラガー揃ひて冷素麺               池村実千代

FMはギターの調べ冷素麵              和泉田 守

素麵に孫の健啖ほれぼれと              今泉 而云

つれあひの霊に索麺供へたり             金田 青水

素麺をたらいで冷やす子沢山             杉山 三薬

箸握り流し素麺待てる子ら              徳永 木葉

冷素麺妻病褥の笑顔かな               廣上 正市

当季雑詠

またひとつ老舗閉店竹落葉              久保田 操

蓮の葉を回る雨つぶ池之端              星川 水兎

自販機を落ちて響きし夜のビール           今泉 而云

旧盤のだるい曲聴く夏の夜              植村 方円

三文字の暖簾くぐりて泥鰌鍋             中野 枕流

富士山に縦じま見えて夏来たる            野田 冷峰

勘違いと言い放つ君夏の果              向井 愉里

無精菜園バット胡瓜の不貞寝する           大澤 水牛

理由なく諍ふ夫婦梅雨の雷              中村 迷哲

ゆつくりとグライダー行く夏木立           溝口戸無広

《参加者》【出席12人】嵐田双歩、池村実千代、岩田千虎、植村方円、大澤水牛、金田青水、澤井二堂、篠田朗、杉山三薬、堤てる夫、中村迷哲、向井愉里。

【投句参加26人】和泉田守、伊藤健史、今泉而云、大沢反平、岡田鷹洋、岡松卓也、加藤明生、工藤静舟、久保道子、久保田操、斉藤早苗、須藤光迷、高井百子、高橋ヲブラダ、谷川水馬、徳永木葉、中嶋阿猿、中野枕流、野田冷峰、旙山芳之、廣上正市、星川水兎、増田浩志、溝口戸無広、水口弥生、横井定利。

(報告 中村迷哲)

 

 

Posted in 句会報告 | Leave a comment

酔吟会第169回例会

12人が「夕立」「五輪」を詠む

春陽子「夏蒲団」「大仏の背」「ストロー」で高位占める

鷹洋「傘のチャンバラ」、三代は席題「五輪」で気を吐く

酔吟会は令和6年7月例会(通算第169回)を13日午後1時から江東区の芭蕉記念館で開催した。兼題は「夕立」、席題に岩田三代さんがまもなく開催される「五輪」を設定、雑詠を含め投句5句、選句6句(うち特選1句)の結果、首位の7点句に玉田春陽子さんの「蹴られても足元にゐる夏蒲団」と「日盛りや大仏は背の小窓開け」の2句、さらに、大澤水牛さんの「ご先祖が揃って乗れるお化け茄子」の計3句が入った。次点の5点句には玉田春陽子さんの「ストローの端を噛む癖夏の果」と岡田鷹洋さんの「夕立晴れ傘のチャンバラ帰り道」が入った。三席の4点句では、岩田三代さんが「ブレイキンなにそれ五輪夏のパリ」、「五輪待つ星に戦のやまぬ夏」、「夕立や乾きし土の濡れゆく香」と、なんと3句も入り、さらに須藤光迷さんの「轆轤ひく窓の守宮に見詰められ」も連なった。高得点句を連発する作者が多く、作者が春陽子、三代と判明するたびに、他の参加者からため息のもれる句会となった。兼題別の高点句(三点以上)は次の通り。

「夕立」

夕立晴れ傘のチャンバラ帰り道      岡田 鷹洋

夕立や乾きし土の濡れゆく香       岩田 三代

やむまでといふが夕立の罪つくり     大澤 水牛

大夕立広重の絵の人となる        廣田 可升

「五輪」

ブレイキンなにそれ五輪夏のパリ     岩田 三代

五輪待つ星に戦のやまぬ夏        岩田 三代

五輪より右派だ左派だとパリの夏     杉山 三薬

「雑詠」

蹴られても足元にゐる夏蒲団       玉田春陽子

ご先祖が揃って乗れるお化け茄子     大澤 水牛

日盛りや大仏は背の小窓開け       玉田春陽子

ストローの端を噛む癖夏の果       玉田春陽子

轆轤ひく窓の守宮に見詰められ      須藤 光迷

<句会参加者12人>岩田三代、大澤水牛、岡田鷹洋、金田青水、久保道子、杉山三薬、須藤光迷、谷川水馬、玉田春陽子、徳永木葉、廣田可升、向井愉里。

(報告 廣田可升)

 

Posted in 句会報告 | Leave a comment

番町喜楽会第218回例会

 

双歩句「黙祷」最高9点、二席は水兎句「育休男子」

17人で「半夏生」「蝉」詠む

番町喜楽会は令和6年7月例会(通算第218回)を7月1日(月)、東京・九段下の千代田区生涯学習館で開催した。17人から投句があり、この夜の句会には9人が顔を揃えた。兼題は「半夏生」と「蝉」。選句6句(欠席者は5句)で句会を進めた結果、嵐田双歩さんの「黙祷の長き一分蝉時雨」が9点で一席を飾った。二席には星川水兎さんの「初めての育休男子半夏生」の6点句、三席には大澤水牛さんの「消せば来る迷惑メール梅雨じめり」の4点句が続いた。以下、3点5句、2点15句、1点30句という結果で、3点以上の高得点句が少なく、点数がばらけた結果となった。兼題別の高点句(3点以上)は下記のとおり。

「半夏生」

初めての育休男子半夏生               星川 水兎

大店の大きな暖簾半夏生               嵐田 双歩

「蝉」

黙祷の長き一分蝉時雨                嵐田 双歩

杖借りていざ初蝉の立石寺              徳永 木葉

当季雑詠

消せば来る迷惑メール梅雨じめり           大澤 水牛

トマト嫌いだけど大好きオムライス          須藤 光迷

四股ひとつ踏めぬ身となり蟾蜍            須藤 光迷

武蔵野のハケに湧く水湧く螢             中村 迷哲

《参加者》【出席9人】大澤水牛、金田青水、田中白山、須藤光迷、玉田春陽子、中村迷哲、廣田可升、前島幻水、向井愉里。【投句参加8人】嵐田双歩、斉山満智、高井百子、谷川水馬、堤てる夫、徳永木葉、星川水兎、山口斗詩子。

(報告・廣田可升)

 

Posted in 句会報告 | Leave a comment

日経俳句会上期合同句会を開催

37人が「万緑」を詠む

反平句「病窓万緑」が最高点、二席に戸無広句「光堂」

日経俳句会は6月19日(水)、内神田の日経広告研究所会議室で令和6年の上期合同句会(通算38回)を開いた。今年は梅雨入りが大幅に遅れているものの、前日は大雨で涼しかった。当日は嘘のように晴れ上がり、戻ってきた暑さの中、15人が出席し和やかな句会となった。兼題の「万緑」に37人から110句が集まり、事前選句の結果、大沢反平さんの「病窓に万緑がある生きてゐる」が9点を獲得、一席に輝いた。二席には溝口戸無広さんの「万緑の更に奥なる光堂」が8点で、三席には星川水兎さんの「万緑や我も緑になる日まで」、和泉田守さんの「厚み増す薬手帳や六月尽」、玉田春陽子さんの「ごきげんな風に干さるるアロハシャツ」が7点で並んだ。また、5点句には髙橋ヲブラダさん「古本をメルカリに出し梅雨に入る」や和泉田さん、溝口さんの句が入り、同じ作者の高点句が目立った。以下、4点8句、3点13句、2点19句、1点24句だった。

句会終了後、暑気払いを兼ねた懇親会が開かれ、別会場から駆けつけた高井百子さんも加わり、グラスを手に会員同士の親睦を深めた。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「万緑」

病窓に万緑がある生きてゐる           大沢 反平

万緑の更に奥なる光堂              溝口戸無広

万緑や我も緑になる日まで            星川 水兔

万緑に鉄橋響き渡りけり             溝口戸無広

万緑や神の気配の熊野道             中村 迷哲

万緑や土中に潜む貝塚層             廣田 可升

万緑をずいと真っ赤なケーブルカー        大澤 水牛

万緑の中へすたすた山頭火            金田 青水

万緑に深き傷あり地震津波            須藤 光迷

万緑やトトロひょっこり顔を出す         徳永 木葉

万緑の真っただ中へティーショット        中村 迷哲

万緑へ一日二便のバス降りる           廣田 可升

「当季雑詠」

厚み増す薬手帳や六月尽             和泉田 守

ごきげんな風に干さるるアロハシャツ       玉田春陽子

寛解の妻寝息たて夏まひる            和泉田 守

古本をメルカリに出し梅雨に入る         髙橋ヲブラダ

ラムネ抜く昭和の音の響きあり          加藤 明生

病得て写生を友に茄子胡瓜            須藤 光迷

夏や子の自立か無口始まりぬ           高井 百子

新茶汲む妻の手元の若やげり           中村 迷哲

走るより速く耳かく梅雨の犬           星川 水兔

昼顔や巣鴨に今もちんどん屋           星川 水兔

父の日や昼酒少しもう少し            嵐田 双歩

ひたひたと過去歩きゆく木下闇          岩田 三代

路地裏の匂ひ懐かし枇杷盛る           久保田 操

何ごとも笑ひ飛ばして立葵            谷川 水馬

素足たのしむペディキュアは海の色        玉田春陽子

夜泣きの子抱けば卯の花腐しかな         徳永 木葉

雨の路地ホルンの楽隊カタツムリ         中沢 豆乳

《参加者》【出席15人】嵐田双歩、池村実千代、今泉而云、植村方円、大澤水牛、金田青水、篠田朗、杉山三薬、玉田春陽子、堤てる夫、中野枕流、中村迷哲、廣田可升、星川水兎、向井愉里。【投句参加23人】和泉田守、伊藤健史、岩田三代、大沢反平、岡田鷹洋、岡松卓也、加藤明生、工藤静舟、久保道子、久保田操、澤井二堂、須藤光迷、高井百子、高橋ヲブラダ、谷川水馬、徳永木葉、中沢豆乳、中嶋阿猿、旙山芳之、廣上正市、藤野十三妹、溝口戸無広、横井定利。

(報告 嵐田双歩)

 

 

Posted in 句会報告 | Leave a comment

番町喜楽会第217回例会

青水句「夏の雲」が最高5点、二席に白山句と水兎句

「夏の川」と「十薬」を詠む

番町喜楽会は令和6年6月例会(第217回)を6月1日(土)、東京・九段下の千代田区生涯学習館で開催した。18人から投句があり、9人が顔を揃えた。兼題は「夏の川」と「十薬」。選句6句(欠席者は5句)で句会を進めた結果、金田青水さんの「何しとる死ぬの待っとる夏の雲」が5点でトップ、二席には田中白山さんの「十薬や初転勤の一軒家」と星川水兎さんの「十薬や漬物石の捨て置かれ」が4点で続いた。以下、3点10句、2点17句、1点22句という結果だった。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「夏の川」

夕まずめ網うつ老父夏の川              池内 的中

夏川や女人高野へ太鼓橋               谷川 水馬

少女らの素足のびやか夏の川             山口斗詩子

「十薬」

十薬や初転勤の一軒家                田中 白山

十薬や漬物石の捨て置かれ              星川 水兎

十薬や母校はとうに廃校に              向井 愉里

当季雑詠

何しとる死ぬの待っとる夏の雲            金田 青水

ひつじぐさ咲くやシャブリのコルク抜く        大澤 水牛

明易の夫婦は寡黙散歩道               高井 百子

浜風の旨味ぞ鯵の一夜干し              玉田春陽子

カーテンの光濾過して薄暑かな            玉田春陽子

時の日や光年といふ時間軸              徳永 木葉

こだわりの固形石鹼夏衣               星川 水兎

《参加者》【出席者9人】池内的中、大澤水牛、金田青水、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、廣田可升、前島幻水、向井愉里。【投句参加9人】嵐田双歩、斉山満智、須藤光迷、高井百子、堤てる夫、徳永木葉、中村迷哲、星川水兎、山口斗詩子。

(報告 谷川水馬)

 

 

Posted in 句会報告 | Leave a comment

日経俳句会第229回例会

百子句「衣替」最高14点、二席に卓也句、三席に光迷句

38人が「葛餅」「葉桜」詠む

日経俳句会は令和6年の5月例会(通算229回)を5月15日(水)に鎌倉橋の日経広告研究所会議室で開いた。ケガなどで欠席が相次ぎ、出席は見学者を含め12人にとどまったが、高点句が多く盛り上がった句会となった。体調を崩していた堤てる夫さんが4ヵ月ぶりに元気な姿を見せ、句座に加わった。兼題は「葛餅」と「葉桜」。38人から114句の投句があり、6句選(欠席は5句)の結果、高井百子さんの「母の手に似る手の皺や衣替」が14点と圧倒的な支持を集めた。二席9点には岡松卓也さんの「くろもじの先を葛餅逃げ回る」が続き、三席8点には須藤光迷さんの「葉桜や老には老の矜恃あり」が入った。また6点句には大澤水牛さんの「医者通ひ葉桜日々に色を増し」をはじめ4句が並び、5点5句、4点6句、3点12句と高点句が30句にのぼった。このほか2点16句、1点30句だった。この日は入会希望で日経OBの増田浩志さんが見学に訪れ、選句に加わった。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「葛餅」

くろもじの先を葛餅逃げ回る             岡松 卓也

木漏日や吉野葛餅うすにごり             須藤 光迷

旧交を葛餅に蜜掛けながら              嵐田 双歩

酒も呑む葛餅も喰ふ師匠かな             谷川 水馬

葛餅の武骨な色も味も江戸              水口 弥生

ぷるるんと葛餅揺れて雲流る             岩田 三代

くず餅の講釈長し奈良生れ              廣上 正市

葛餅や病友やうやく快方へ              大沢 反平

葛餅の少し透かせて皿の青              谷川 水馬

蜜なめて葛餅残す孫娘                堤 てる夫

「葉桜」

葉桜や老には老の矜恃あり              須藤 光迷

医者通ひ葉桜日々に色を増し             大澤 水牛

葉桜やきらきら光る隅田川              嵐田 双歩

葉桜や上野は緑の風を呼び              澤井 二堂

葉桜や白壁揺るる武家屋敷              加藤 明生

華やぎの去って葉桜影深く              久保田 操

葉桜や洒々落々と孫連れて              谷川 水馬

葉桜もひと目千本風青し               中沢 豆乳

葉桜や足取り軽く杖の人               中嶋 阿猿

葉桜の勢い花の記憶消す               向井 愉里

葉桜や訪ふ人も無き風の音              横井 定利

当季雑詠

母の手に似る手の皺や衣替              高井 百子

ナナハンの縦一列に風薫る              植村 方円

病窓に光のはねる五月かな              横井 定利

点滴の刻む命や五月闇                岡田 鷹洋

キャンパスの杜を貫き五月来る            溝口戸無広

老木も若木もすべて柿若葉              中村 迷哲

天秤の揺れに任せて金魚売り             野田 冷峰

活鯵と出刃包丁の三十度               伊藤 健史

自販機でしばし休憩つばくらめ            旙山 芳之

《参加者》【出席12人】嵐田双歩、今泉而云、大澤水牛、金田青水、澤井二堂、篠田朗、杉山三薬、堤てる夫、中村迷哲、星川水兎、向井愉里、(見学)増田浩志。【投句参加27人】池村実千代、和泉田守、伊藤健史、岩田三代、植村方円、大沢反平、岡田鷹洋、岡松卓也、加藤明生、工藤静舟、久保道子、久保田操、須藤光迷、高井百子、高橋ヲブラダ、谷川水馬、徳永木葉、中沢豆乳、中嶋阿猿、中野枕流、野田冷峰、旙山芳之、廣上正市、藤野十三妹、溝口戸無広、水口弥生、横井定利。

(報告 中村迷哲)

 

 

Posted in 句会報告 | Leave a comment