日経俳句会第201回例会

反平句「気短」10点で一席

二席8点は「蝉の骸」双歩句

日経俳句会の令和3年8月例会(通算201回)は、感染爆発が止まらず、8カ月連続のメール句会となった。今年の8月は、コロナ、大雨、残暑と三重苦が続き、オリンピックの余韻は雲散霧消。そんな鬱陶しい猛暑のさなか、「残暑」と「蜻蛉」の兼題に先月と同じ36人から108句の投句があった。五句選で18日に選句を締め切った結果、大沢反平さんの「夫婦して気短となる残暑かな」が二桁得票の10点で一席、反平さんは「蜻蛉に空の広さや草千里」が6点と両方の兼題でトップだった。二席には嵐田双歩さんの「地に伏せる蝉の骸や敗戦日」が8点、三席は荻野雅史さんの「すれ違い日陰譲りて残暑かな」が7点で続いた。このほか6点3句、5点3句、4点8句、3点4句とめずらしく三点句が少なかった。以下、2点22句、1点29句だった。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「残暑」

夫婦して気短となる残暑かな            大沢 反平

すれ違い日陰譲りて残暑かな            荻野 雅史

西窓の日除けほころび残暑かな           徳永 木葉

挨拶文飛ばして読んで秋暑し            嵐田 双歩

亡き友の残暑見舞ひの太き文字           加藤 明生

夕刻のコロナの数字秋暑し             高石 昌魚

妻の手に馴染むバリカン秋暑し           谷川 水馬

還暦へ残暑乗り越へ辿り着く            向井 ゆり

「蜻蛉」

蜻蛉に空の広さや草千里              大沢 反平

赤蜻蛉記憶の空を乱舞する             久保田 操

トンボ来る七階屋上水瓶に             澤井 二堂

教室をぐるり一周赤とんぼ             谷川 水馬

清流のしぶきを浴びて糸蜻蛉            荻野 雅史

軽やかに生きたし喜寿の赤とんぼ          高井 百子

すれ違ふひとなき古道蜻蛉群る           廣上 正市

青信号渡って来たる鬼やんま            今泉 而云

当季雑詠

地に伏せる蝉の骸や敗戦日             嵐田 双歩

折鶴のひとつひとつの原爆忌            水口 弥生

扁額の傾きしまま夏座敷              高井 百子

勤行の声の確かさ秋来る              中村 迷哲

新涼こぼるゝ産直段ボール             金田 青水

《参加者36人》嵐田双歩、池村実千代、和泉田守、今泉而云、岩田三代、植村方円、大澤水牛、大沢反平、大下明古、大平睦子、岡田鷹洋、荻野雅史、加藤明生、金田青水、工藤静舟、久保田操、澤井二堂、篠田朗、杉山三薬、須藤光迷、高井百子、髙石昌魚、高橋ヲブラダ、谷川水馬、堤てる夫、徳永木葉、中島阿猿、中村迷哲、野田冷峰、旙山芳之、廣上正市、藤野十三妹、星川水兎、水口弥生、向井ゆり、横井定利。  (報告・嵐田双歩)

 

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番町喜楽会第186回例会

コロナ緊急事態宣言下で出席者わずか7人、投句13人

廣田可升さんの「虫」の句が8点でトップ、

次席に中村迷哲さんの5点句

番町喜楽会は、令和3年8月例会(通算186回)を8月7日(土)に「立秋」と「虫」を兼題とした句会を開催した。デルタ型新型コロナウイルスの影響もあり、出席者わずか7名の句会となったが投句者は20名で、投句総数は98句であった。投句5句、選句7句で句会を進めた結果、廣田可升さんの「相続のはなし重たし虫すだく」が群を抜いた8点でトップに輝いた。出席者全員が採るという珍しいことが起こった。次席は中村迷哲さんの5点句「窯場にも風の抜け道秋来る」。以下、4点句が3句、3点8句、2点16句、1点23句だった。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「立秋」

窯場にも風の抜け道秋来る             中村 迷哲

秋立つや新顔ずらり和菓子店            金田 青水

秋立や筋雲被く遠浅間               玉田春陽子

秋立ちぬ父の享年想ふ夜              徳永 木葉

「虫」

相続のはなし重たし虫すだく            廣田 可升

窓開けて虫の音聞きて長湯かな           澤井 二堂

行間にわり込んでくる虫時雨            玉田春陽子

「雑詠」

こみあげる一言呑みて盆の月            山口斗詩子

炎熱をかてに南瓜はぐんぐんと           大澤 水牛

三伏や棚にキンカン正露丸             大澤 水牛

エレベータ晩夏の街へ急降下            玉田春陽子

気がつけば宇宙の場末冷し酒             廣田 可升

忘れじと語り継ぎ行く原爆忌              山口斗詩子

【出席者7名】今泉而云、大澤水牛、須藤光迷、田中白山、徳永木葉、中村迷哲、廣田可升。【投句参加13名】嵐田双歩、池内的中、金田青水、斉山満智、澤井二堂、塩田命水、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、野田冷峰、星川水兎、前島幻水、山口斗詩子。   (報告・谷川水馬)

 

 

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日経俳句会第200回例会

 

最高8点に三代句と水牛句

メール句会に高点句目白押し

日経俳句会の令和3年7月例会(通算200回)は、4度目の緊急事態宣言の発令に伴い7カ月連続のメール句会となった。兼題は「三伏」と「団扇」。36人から108句の投句があり、7月21 日締め切りで5句選のメール句会を実施した結果、岩田三代さんの「三伏や抱く赤子さえ疎ましき」と大澤水牛さんの「絵団扇のぱたりと落ちて鼾かな」が共に最高8点を獲得した。二席7点は中嶋阿猿さんの「蝉しぐれまとひて山の郵便夫」が入った。三席6点には澤井二堂さんの「三伏にオクラの伸びのためらわず」、旙山芳之さんの「さりげなく団扇で換気立ち話」など4句が並んだ。このほか5点4句、4点6句、3点9句と、3点以上の高点句が26句を数えた。以下2点が15句、1点27句だった。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「三伏」

三伏や抱く赤子さえ疎ましき           岩田 三代

三伏にオクラの伸びのためらわず         澤井 二堂

三伏をねじ伏せ米寿視野に入る          杉山 三薬

三伏の草伸びること伸びること          大澤 水牛

三伏や「わだつみのこえ」読みかえす       堤 てる夫

三伏の太鯖おろし酢にひたす           徳永 木葉

三伏やシャワー熱めに朝まだき          和泉田 守

三伏や自動扉が開かない             横井 定利

「団扇」

絵団扇のぱたりと落ちて鼾かな          大澤 水牛

寝入るまで祖母の団扇と物語り          中村 迷哲

さりげなく団扇で換気立ち話           旙山 芳之

幼子に撫でるがごとく団扇風           和泉田 守

細き手や団扇の先に子の寝息           篠田  朗

みちのくの鬼面の睨む渋団扇           加藤 明生

団扇手に西イル下ル碁盤の目           谷川 水馬

アマビエの団扇であふぐ憂き世かな        中嶋 阿猿

「当季雑詠」

蝉しぐれまとひて山の郵便夫           中嶋 阿猿

物忘れしない日はなし夏深む           和泉田 守

老ひし父母手を振る道に夏の雲          岩田 三代

サングラス二つ三つほど若返る          大沢 反平

角取れぬそれも人生冷奴             加藤 明生

コンクリの裂け目にずらり月見草         金田 青水

荒梅雨のこれぞ水陸両用車            今泉 而云

梅雨明けや白の眩しき交差点           髙石 昌魚

国境の川越えてゆく夏の雲            星川 水兎

黒アゲハ裏原宿の路地の端            向井 ゆり

《参加者36人》嵐田双歩、池村実千代、和泉田守、今泉而云、岩田三代、植村方円、大澤水牛、大沢反平、大下明古、大平睦子、岡田鷹洋、荻野雅史、加藤明生、金田青水、工藤静舟、久保田操、澤井二堂、篠田朗、杉山三薬、鈴木雀九、須藤光迷、高井百子、髙石昌魚、高橋ヲブラダ、谷川水馬、堤てる夫、徳永木葉、中島阿猿、中村迷哲、野田冷峰、旙山芳之、廣上正市、藤野十三妹、星川水兎、向井ゆり、横井定利。  (報告・中村迷哲)

 

 

 

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酔吟会第152回例会

東京五輪直前メール句会

最高6点三薬句、4点、3点計20句

東京2020五輪開幕寸前のコロナ緊急事態宣言中とあって、7月の酔吟会は今年三回目のメール句会となった。兼題は「片蔭(かたかげ)」「汗(あせ)」で、23人が投句、115句が集まった。6句選句の結果、最高は6点を集めた杉山三薬さんの「雨止んで迷いミミズを蟻が引く」の1句。次席は4点が6句並び、続く3点は14句に上った。昨年の酔吟会は3月例会から9月例会まで4回連続でメール句会だった。今年も3回連続でメール句会となり、句友と対面しない句会が続く状況にうんざりという気分が満ちている。兼題の「片蔭」はなかなか手強い。我らが「水牛歳時記」は「片蔭」だが、投句には「片蔭」「片陰」「片影」の表記が混じり多様であった。恒例に従って、「3点以上」の兼題別高点句を並べる。「片蔭」、「汗」、「雑詠」の高点句がいずれも7句で揃い踏みしている。なお、2点は11句、1点は24句であった。

「片蔭」

帯ほどの片蔭伝ひ歩くなり           大澤 水牛

片影の路地静もれる西の京           星川 水兎

僅かなる片蔭に待つ赤信号           久保田 操

片蔭やロバのパン屋のチンカラリン       谷川 水馬

奥深き明治の杜の片陰り            堤 てる夫

手を合はす京の片蔭地蔵尊           廣田 可升

片蔭にワゴンを漁る古書の街          廣田 可升

「汗」

面外し碧眼剣士玉の汗             玉田春陽子

尾根わたる風に額の汗さらす          廣田 可升

寝ぐずりの止みておでこに汗の粒        向井 ゆり

遅れ毛に汗うっすらと歯科の女医        須藤 光迷

ワクチンや二度目の夜の妙な汗         谷川 水馬

旋盤の刃先追ふ眼や滲む汗           廣田 可升

汗拭いて母は一日台所             星川 水兎

「当季雑詠」

雨止んで迷いミミズを蟻が引く         杉山 三薬

梅干しを見せられ唾液採る検査         高井 百子

ひるがへるシャツよパンツよ梅雨晴間      大澤 水牛

風呂上がり孫の逃げ足天花粉          杉山 三薬

冷奴まずは醤油ののの字かな          玉田春陽子

ビール酌む戦力外の男達            玉田春陽子

翅黒蜻蛉ゆるりゆるゆる能舞台         堤 てる夫

【参加者23人】嵐田双歩、今泉而云、大澤水牛、大沢反平、大平睦子、岡田鷹洋、金田青水、工藤静舟、久保田操、久保道子、澤井二堂、杉山三薬、須藤光迷、高井百子、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永木葉、野田冷峰、廣田可升、藤野十三妹、星川水兎、向井ゆり。

(報告 高井百子)

 

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番町喜楽会185回例会

久しぶりの対面句会、「雷」と「向日葵」を詠む

幻水さんの「無人駅」7点、水牛さん「ひやざけ」次席6点

番町喜楽会の令和3年7月の例会(通算第185回)は5日夕、久し振りに九段下の千代田区生涯学習館で対面で開催した。21人から投句があったものの、コロナウイルスの蔓延防止等重点措置が取られていることもあり、欠席者が10人に上った。兼題は「雷」と「向日葵」、投句は3句以上5句以内、選句は6句(欠席者は5句)とした結果、前島幻水さんの「向日葵が迎へてくれし無人駅」が7点でトップ、次席6点に大澤水牛さんの「ひやざけの長命泉といふひびき」が入り、三席は5点で池内的中さんの「妹の背伸びのおしゃれ日傘かな」と、斉山満智さんの「なめらかな母の頬なり雨の通夜」の2句が並んだ。4点は5句、3点も5句だった。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「雷」

雷の品定めする電話越し          斉山 満智

はたた神街を一喝してゆけり        玉田春陽子

竿捨てて逃げ出す子らに雷とどろ      中村 迷哲

遠雷や化粧落せし我が素顔         田中 白山

九十九里遠き沖には夜の雷         星川 水兎

雷に祖母は電気を消しにけり        星川 水兎

「向日葵」

向日葵が迎へてくれし無人駅        前島 幻水

向日葵の海アルプスを浮かべおり      中村 迷哲

「雑詠」

ひやざけの長命泉といふひびき       大澤 水牛

妹の背伸びのおしゃれ日傘かな       池内 的中

なめらかな母の頬なり雨の通夜       斉山 満智

一滴の雨後の雫や合歓の花         田中 白山

五輪硬貨はじく自販機缶ビール       須藤 光迷

半夏生友より届く吟醸酒          堤 てる夫

【出席者】(11人)大澤水牛、金田青水、須藤光迷、高井百子、田中白山、玉田春陽子、堤てる夫、徳永木葉、中村迷哲、廣田可升、前島幻水。【投句参加】(10人) 嵐田双歩、池内的中、今泉而云、斉山満智、澤井二堂、塩田命水、谷川水馬、野田冷峰、星川水兎、山口斗詩子。 (報告・須藤光迷)

 

 

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日経俳句会令和3年度上期合同句会

 

またまたメール句会。38人参加「麦秋」と「蝸牛」を詠む

「梅漬ける」水牛句11点、二席に「銀座の蝸牛」水馬句

日経俳句会は6月16日、令和3年度の上期合同句会をメール句会として開いた。何回目かの非常事態宣言が何回目かの延長になって、またまたメール句会を余儀なくされた。今年になって一度も対面句会は開けていない。ワクチン接種が広がり、現役を含め会員の大半が2回目を打ち終えるころには、なんとかリアル句会が復活してほしいものだ。通算32回目の合同句会の兼題は「麦秋」と「蝸牛」。38人から114句の投句があり5句選の結果、大澤水牛さんの「梅漬ける八十四年の皺深し」がダントツ一位の11点を獲得した。二席は谷川水馬さんの「切り花に揺れて銀座の蝸牛」が7点、三席は嵐田双歩さんの「鮎宿の画鋲でとめし時刻表」と久保田操さんの「落日の余光残せり麦の秋」が6点で並んだ。続いて5点句は和泉田守さんの「一汁と一菜でよし夏暖簾」など7句、以下4点5句、3点11句、2点17句、1点33句だった。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「麦秋」

落日の余光残せり麦の秋             久保田 操

麦秋の知らない町を途中下車           嵐田 双歩

麦秋の香り遥かな疎開の地            今泉 而云

麦秋や出番いつかと旅鞄             植村 方円

麦秋のきらめき掬う水車かな           星川 水兎

麦の秋祖父の詩集を読み返す           和泉田 守

麦秋や夕陽は金の針となり            岩田 三代

南総の海へ海へと麦の秋             大沢 反平

麦秋や一直線の畑道               髙石 昌魚

絵手紙の色を重ねて麦の秋            池村実千代

「蝸牛」

切り花に揺れて銀座の蝸牛            谷川 水馬

蝸牛余生は殻を持て余し             向井 ゆり

かたつむり読経聴くか塀の上           澤井 二堂

蝸牛電動アシストいりますか           杉山 三薬

葉の裏に家あり目あり蝸牛            髙橋ヲブラダ

かたつむり雨降山はけふも雨           廣上 正市

当季雑詠

梅漬ける八十四年の皺深し            大澤 水牛

鮎宿の画鋲でとめし時刻表            嵐田 双歩

一汁と一菜でよし夏暖簾             和泉田 守

石段を数へて登る薄暑かな            加藤 明生

ウイグルの断種かなしや花柘榴          金田 青水

五歳児と二万五千歩五月晴            杉山 三薬

襁褓とれ脚にょっきりと衣更え          高井 百子

夏シャツやコロナワクチン打ち終える       髙石 昌魚

ぐつたりと干されサーフィンスーツかな      玉田春陽子

白靴のトラック野郎は女なり           中嶋 阿猿

田水張る一番星のひかりかな           廣上 正市

《参加者38人》嵐田双歩、池村実千代、和泉田守、今泉而云、岩田三代、植村方円、大澤水牛、大沢反平、大平睦子、岡田鷹洋、荻野雅史、加藤明生、金田青水、工藤静舟、久保道子、久保田操、澤井二堂、篠田朗、杉山三薬、須藤光迷、高井百子、髙石昌魚、高橋ヲブラダ、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永木葉、中島阿猿、中村迷哲、野田冷峰、旙山芳之、廣上正市、廣田可升。藤野十三妹、星川水兎、水口弥生、向井ゆり、横井定利。  (報告 嵐田双歩)

 

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番町喜楽会第184回

 

参加21人でメール句会

「胡瓜」と「六月」を詠む

番町喜楽会の令和3年6月例会(通算184回)はコロナウイルスの緊急事態宣言延長により、6月5日(土)にメール句会として開催した。投句は3句以上5句以内で5月29日に、選句は6句で6月5日を締め切りとした。この結果、玉田春陽子さんの「筒抜けの女湯の声夏来る」が7点でトップの座に輝いた。次席に池内的中さんの「月を喰む地球の影の遠さかな」と谷川水馬さんの「犬ほめて胡瓜どっさりお裾分け」の5点句が続いた。以下、4点が8句、3点9句、2点10句、1点30句という結果であった。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「胡瓜」

犬ほめて胡瓜どっさりお裾分け           谷川 水馬

胡瓜成る「し」の字「へ」の字に元気よく      澤井 二堂

デパ地下に並ぶきゅうりの優等生          塩田 命水

妹の手つきも母似きゅうりもみ           玉田春陽子

独り居やきゅうり一本持て余し           山口斗詩子

くるくると盥の胡瓜よく回る            嵐田 双歩

初めての家庭菜園花胡瓜              池内 的中

「六月」

六月の手帳真白き定年日              池内 的中

我一人なり六月の書道展              今泉 而云

六月や虫歯検診ずる休み              高井 百子

六月や色の溢れるおもちゃ箱            玉田春陽子

六月もデジタル授業友恋し             前島 幻水

「雑詠」

筒抜けの女湯の声夏来る              玉田春陽子

月を喰む地球の影の遠さかな            池内 的中

リモートで友の差し出すビールかな         池内 的中

へぎ蕎麦ののの字のの字や梅雨に入る        玉田春陽子

あかがねの月欠けて満つ露台かな          徳永 木葉

蛍点々母の年忌はどうするか            今泉 而云

襁褓とれ夏野せましと三歳児            須藤 光迷

放たんとすれば糸引く小蜘蛛かな          廣田 可升

《参加者21人》嵐田双歩、池内的中、今泉而云、大澤水牛、金田青水、斉山満智、澤井二堂、塩田命水、須藤光迷、高井百子、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永木葉、中村迷哲、野田冷峰、廣田可升、星川水兎、前島幻水、山口斗詩子。  (報告・谷川水馬)

 

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日経俳句会第199回例会

「摘果」迷哲句が最高12点、二席9点に「菖蒲湯」ゆり句

メール句会、高点句目白押し

日経俳句会の令和3年5月例会(通算199回)は、緊急事態宣言の延長に伴い5カ月連続のメール句会となった。兼題は「冷汁」と「菖蒲・花菖蒲」。36人から106句の投句があり、19日締め切りで5句選の結果、中村迷哲さんの「摘果終へ父と並んで冷し汁」が最高12点を獲得した。二席9点に向井ゆりさんの「菖蒲湯につかり背筋の少し伸び」が入り、三席8点は迷哲さんの「木道を傘の行き交ふ菖蒲園」が続いた。さらに7点句に「ラヂオより昼の憩ひや冷し汁 青水」と「花菖蒲アインシュタイン舌を出し 双歩」が並び、ついで6点が2句、5点4句、4点6句、3点10句と高点句が27句を数えた。以下2点10句、1点26句だった。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「冷汁」

摘果終へ父と並んで冷し汁            中村 迷哲

ラヂオより昼の憩ひや冷し汁           金田 青水

冷汁や麦味噌の香の懐かしき           岩田 三代

冷汁や猫は一瞥くれてゆき            向井 ゆり

地下足袋で昼の憩いや冷し汁           篠田  朗

冷汁を飲み干す薄き背中かな           中嶋 阿猿

老いてこそ旨味のわかる冷し汁          加藤 明生

冷汁かと文句の後の父の笑み           髙石 昌魚

老親に仕送りをして冷し汁            旙山 芳之

冷汁に昔語りの座となりぬ            水口 弥生

「菖蒲・花菖蒲」

菖蒲湯につかり背筋の少し伸び          向井 ゆり

木道を傘の行き交ふ菖蒲園            中村 迷哲

花菖蒲アインシュタイン舌を出し         嵐田 双歩

花菖蒲雨紫に染め上げぬ             岩田 三代

むらさきは母を恋ふ色花菖蒲           廣上 正市

研ぎ水で鉢植え菖蒲太く濃く           大平 睦子

菖蒲咲く仮免教習初路上             鈴木 雀九

SLの蒸気に揺れて花菖蒲            谷川 水馬

だれや見る閉鎖の長き菖蒲園           徳永 木葉

「当季雑詠」

竹の皮さてもみごとな脱ぎっぷり         谷川 水馬

宙に富士一万本の花みかん            廣上 正市

雨上がり虹の傘さす観覧車            岡田 鷹洋

田を植えるロボットの名は早乙女号        徳永 木葉

嫁入りの舟行く波や花菖蒲            篠田  朗

ブラウスの袖の膨らみ初夏の風          髙石 昌魚

つながらぬワクチン予約夕薄暑          嵐田 双歩

空豆の背伸びの先は開聞岳            中村 迷哲

《参加者36人》嵐田双歩、池村実千代、井上庄一郎、今泉而云、岩田三代、植村方円、大澤水牛、大沢反平、大平睦子、岡田鷹洋、荻野雅史、加藤明生、金田青水、工藤静舟、久保田操、斉藤早苗、澤井二堂、篠田朗、杉山三薬、鈴木雀九、須藤光迷、髙石昌魚、高橋ヲブラダ、谷川水馬、堤てる夫、徳永木葉、中島阿猿、中村迷哲、野田冷峰、旙山芳之、廣上正市、藤野十三妹、星川水兎、水口弥生、向井ゆり、横井定利。

(報告・中村迷哲)

 

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番町喜楽会第183回

春陽子句「白牡丹」独走の8点

次席に水馬・迷哲・可升の3人

番町喜楽会の令和3年5月の例会(通算第183回)は三度目のコロナウイルス緊急事態宣言を受け、10日にメール句会として開催した。投句は3句以上5句以内で5月3日に、選句は6句で10日に締め切りとした。兼題は「四十雀」と「牡丹」。この結果、玉田春陽子さんの「夕闇の包み忘れし白牡丹」が8点でトップを独走、7点と6点がなく、5点に谷川水馬さんの「別腹は魔法の言葉柏餅」、中村迷哲さんの「泰然と風に頷く牡丹かな」、廣田可升さんの「焼くだけの男の料理風薫る」の3句が並んだ。4点は6句、3点は3句だった。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「四十雀」

この街が好きと高音で四十雀          金田 青水

勤行に和する囀り四十雀            中村 迷哲

嬉しげに四十雀鳴く今日は晴れ         斉山 満智

散歩する爺と五歳と四十雀           廣田 可升

「牡丹」

夕闇の包み忘れし白牡丹            玉田春陽子

泰然と風に頷く牡丹かな            中村 迷哲

待つごとく誘ふがごとく白牡丹         廣田 可升

耐えきれず雨後の牡丹の崩れ散る        嵐田 双歩

「当季雑詠」

別腹は魔法の言葉柏餅             谷川 水馬

焼くだけの男の料理風薫る           廣田 可升

果樹園の家族総出や林檎咲く          堤 てる夫

陽をはじく大地の鏡田水張る          徳永 木葉

骨折の足延ばす先緑さす            山口斗詩子

《参加者20人》嵐田双歩、池内的中、今泉而云、大澤水牛、金田青水、斉山満智、塩田命水、須藤光迷、高井百子、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永木葉、中村迷哲、野田冷峰、廣田可升、星川水兎、前島幻水、山口斗詩子。 (報告・須藤光迷)

 

 

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酔吟会第151回例会

またもメール句会、「祭」「「柿若葉」に105句

最高7点句の可升、双歩さん、高点句連発

待望の対面句会成るかの期待むなしく酔吟会5月例会(通算151回)は8日開催予定だったのだが、3月例会に続いてメール句会になった。コロナ対策の緊急事態宣言延長が議論されている中、「祭」と「柿若葉」の兼題に21人から105句の投句があった。8日締め切りでメールによる6句選句の結果、最高は7点で、廣田可升さんの「遺影持て神輿見送る漁師町」と嵐田双歩さんの「真っ青な空の眩しき代田かな」の2句が並んだ。次席6点句も2句で可升さんの「二人には広き縁側新茶酌む」と堤てる夫さんの「新築の隣家に新品鯉のぼり」。三席には双歩さんの「跡継ぎのいない銭湯柿若葉」の5点1句。続く4点句は可升さんの「いとま告ぐ信濃の朝や柿若葉」と須藤光迷さんの「行く春や黒板消しを叩く音」の2句だった。この結果が対面句会で披露されたらと、想像してみた。可升さんは最高点句に次席句、4点句。双歩さんが最高点句に5点句と二人の「長打合戦」で、さぞかしどよめきの席になったであろう。そのほか3点句は11句、2点15句、1点25句だった。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「祭」

遺影持て神輿見送る漁師町              廣田 可升

リヤカーの子ども神輿の八、九人           金田 青水

お神輿は中止の美文字蕎麦の店            杉山 三薬

老いた父誘い出したり祭りの音            高井 百子

「柿若葉」

跡継ぎのいない銭湯柿若葉              嵐田 双歩

いとま告ぐ信濃の朝や柿若葉             廣田 可升

籠り居の目を楽します柿若葉             大澤 水牛

共白髪叶わぬ夢に柿若葉               工藤 静舟

マヨネーズ付けてどうなる柿若葉           杉山 三薬

白壁の蔵の歳月柿若葉                徳永 木曜

ただいまと孫の声して柿若葉             向井 ゆり

当季雑詠

真っ青な空の眩しき代田かな             嵐田 双歩

新築の隣家に新品鯉のぼり              堤 てる夫

二人には広き縁側新茶汲む              廣田 可升

行く春や黒板消しを叩く音              須藤 光迷

ももひきのやうなズボンに衣替え           今泉 而云

忍び寄るソーラーパネル麦の秋            工藤 静舟

通りにも裏表あり燕来る               玉田春陽子

《参加者21人》嵐田双歩、今泉而云、大澤水牛、大沢反平、大平睦子、岡田鷹洋、金田青水、工藤静舟、久保田操、久保道子、澤井仁堂、杉山三薬、須藤光迷、高井百子、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永木葉、野田冷峰、廣田可升、向井ゆり。  (まとめ・高井百子)

 

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