出席13人、投句参加6人
「麗らか」と「鰆」を詠む
3月9日(土)午後1時から東京・千代田区内神田の日経広告研究所会議室で酔吟会の三月例会(通算139回)が開かれた。今回は春の風邪や法事、その他あれこれで欠席者が多く、出席は13人とこじんまりとした句会になった。
この日の兼題は「麗らか」と「鰆」。雑詠を含め投句は5句で、投句総数は95句だった。選句は投句参加者が多いため8句とした。その結果、最高点は廣田可升さんの「竿あまた並ぶ運河のうらうらと」の6点。二席5点は星川水兎さんの「鰆焼く意固地に黙る背中かな」、須藤光迷さんの「金髪にせし妻の背に春の風」、玉田春陽子さんの「地雷なき国のしあわせ土筆摘む」、谷川水馬さんの「涙目で笑ふあざらし花粉症」の4句だった。三席4点は「うららかや野点の席に盲導犬 春陽子」「鍋蓋のタップダンスや春の宵 同」、「麗らかや豆粒ほどの鶴を折る 水兎」の3句。以下、3点が6句、2点11句、1点25句ということになった。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。
『麗らか』
竿あまた並ぶ運河やうらうらと 廣田 可升
麗らかや豆粒ほどの鶴を折る 星川 水兎
うららかや野点の席に盲導犬 玉田春陽子
麗らかや笑ひの壷の女子高生 嵐田 双歩
人違ひしてもされてもうららけし 嵐田 双歩
春うらら母子の自撮り赤門前 岡田 鷹揚
『鰆』
鰆焼く意固地に黙る背中かな 星川 水兎
鰆競る港の紀州訛りかな 廣田 可升
水槽の鰆回遊無伴奏 野田 冷峰
歯を剥いて睨む鰆の貌可笑し 久保田 操
『当季雑詠』
金髪にせし妻の背に春の風 須藤 光迷
地雷なき国のしあわせ土筆摘む 玉田春陽子
涙目で笑ふあざらし花粉症 谷川 水馬
鍋蓋のタップダンスや春の宵 玉田春陽子
《参加者》【出席十三人】嵐田双歩、今泉而云、大澤水牛、大沢反平、大平睦子、岡田鷹洋、片野涸魚、須藤光迷、高井百子、谷川水馬、玉田春陽子、徳永木葉、野田冷峰。【投句参加六人】工藤静舟、久保田操、澤井二堂、廣田可升、藤野十三妹、星川水兎。 (記録・報告 大澤水牛)