178句の投句に高得点句続出
日経俳句会は2月15日(水)、千代田区内神田の日経広告研究所会議室で2月例会(通算156回)を開いた。立春後、北風が吹き春浅い日々が続く中、22人が出席した。
兼題は「春浅し」と「梅」。投句参加14人を加え、36人から合計178句とこれまでの最高投句数を記録した。7句選(欠席選句は5句)で句会を進めた結果、最高点は10点で大澤水牛さんの「禿頭をすべりゆく風春浅し」。水牛さんは先月に続き一席連発。二席は9点で谷川水馬さんの「正座する盲導犬や梅日和」。三席は岩田三代さんの「汁椀を両手で包む余寒かな」と大石柏人さんの「山歩く足の裏から春が来た」が7点と高得点句が続出した。以下、「飛梅や転勤辞令唐突に」(直井正)6点、「脳血管珊瑚の如し冴え返る」(而云)、「掛けなおす子どものふとん春浅し」(ヲブラダ)5点と続き、4点8句、3点13句、2点28句、1点44句だった。高点句(3点句以上)は以下の通り。
「春浅し」
禿頭をすべりゆく風春浅し 大澤 水牛
掛けなおす子どものふとん春浅し 高橋ヲブラダ
藁葺きの屋根より蒸気春浅し 大熊 万歩
春浅し新キャプテンの声あをし 金田 青水
乗り手待つボートの群れや春浅し 中村 哲
春浅し胸ポケットに救命丸 橫井 定利
浅春や鯉の尾動く神田川 植村 博明
リビングに淡き陽の影春浅し 久保田 操
春浅し声には出さず経を読む 須藤 光迷
薄ら日に溶け込む塔や春浅し 高瀬 大虫
浅春や身震い一つ猫の黙 水口 弥生
「梅」
正座する盲導犬や梅日和 谷川 水馬
飛梅や転勤辞令唐突に 直井 正
救急車音なく来たる夜の梅 今泉 而云
盆栽の小さき宇宙梅かをる 久保田 操
縮む背を叩き伸ばして梅日和 大澤 水牛
縁切りの寺に盛るや梅の花 久保田 操
鬼逃げし窓より入りぬ夜の梅 須藤 光迷
「当季雑詠」
汁椀を両手で包む余寒かな 岩田 三代
山歩く足の裏から春が来た 大石 柏人
脳血管珊瑚の如し冴え返る 今泉 而云
喜寿傘寿米寿息災初句会 大倉悌志郎
恋愛に正解の無き薄氷 橫井 定利
春立つや涙の似合ふ相撲取 嵐田 双歩
如雨露からそっと取り出す薄氷 井上庄一郎
朝市の青菜の中の花菜かな 大熊 万歩
立春や秩父連山淡く映ゆ 髙石 昌魚
どことなく腰の据わらぬ二月かな 谷川 水馬
【参加者】(出席)嵐田双歩、池村実千代、井上庄一郎、今泉而云、岩田三代、大倉悌志郎、大澤水牛、大沢反平、岡田臣弘、澤井二堂、杉山智宥、鈴木好夫、高石昌魚、髙瀨大虫、堤てる夫、徳永正裕、中嶋阿猿、野田冷峰、廣上正市、星川佳子、水口弥生、横井定利
(投句参加)植村博明、大石柏人、大熊万歩、大下綾子、大平睦子、加藤明男、金田青水、久保田操、須藤光迷、高橋ヲブラダ、谷川水馬、直井正、中村哲、藤野十三妹
(まとめ・嵐田双歩)