日経俳句会平成28年度下期合同句会(通算23回)

「雪」と「河豚」を詠む

日経俳句会は12月21日の年次総会の後、下期合同句会(通算23回)を開催した。兼題は「雪」と「河豚」で雑詠句を合わせて3句投句、4句選句で、事前に選句までメールで済ませる日経俳句会方式を採用した。参加者は出席24人、投句参加13人の合計37人。投句総数は110句。

その結果、最高は今泉而云さんの「ふぐ刺の透けて浮かびし海の青」の9点句。次席は植村博明さんの「降る雪やビニール傘の小宇宙」の8点句。三席は6点句で、澤井二堂さんの「宅急便街の寒さも届きけり」、玉田春陽子さんの「ふぐ刺や皿一面に青海波」、徳永正裕さんの「世の音を吸込み雪の降りしきる」、中嶋阿猿さんの「悪口も愚痴も尽きたり河豚雑炊」の4句が並んだ。5点句は1句、4点5句、3点句8句と続いた。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「雪」

降る雪やビニール傘の小宇宙        植村 博明

世の音を吸込み雪の降りしきる       徳永 正裕

お父さんやっぱり雪と妻の声        今泉 而云

雪原に満天の星こぼれ落つ         久保田 操

外は雪胸に冷たき聴診器          澤井 二堂

傘に聞く雪から雨にかはる音        玉田春陽子

俎板の音軽やかに雪の朝          須藤 光迷

雪睨む伍長の像や八甲田          谷川 水馬

越後路や瞽女の声聞く雪の中        野田 冷峰

「河豚」

ふぐ刺の透けて浮かびし海の青       今泉 而云

ふぐ刺や皿一面に青海波          玉田春陽子

悪口も愚痴も尽きたり河豚雑炊       中嶋 阿猿

ひと箸で河豚刺しさらふ野郎かな      廣上 正市

河豚鍋や運否天賦の八十年         大澤 水牛

河豚鍋やたのしき仲間と悪口と       大沢 反平

「雑詠」

宅急便街の寒さも届きけり         澤井 二堂

はじまりは冬満月の拾い物         横井 定利

小春日や昼席で聞く艶話          大倉悌志郎

年の市老舗で求む夫婦箸          岡田 臣弘

数へ日の喪中葉書を繰る夜かな       徳永 正裕

《参加者》(出席二十四人)池村実千代、井上庄一郎、今泉而云、大石柏人、大澤水牛、大下綾子、岡田臣弘、澤井二堂、杉山智宥、高井百子、高石昌魚、高瀬大虫、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永正裕、直井正、中嶋阿猿、中村哲、野田冷峰、廣上正市、藤野十三妹、星川佳子、横井定利、(投句参加十三人)嵐田双歩、植村博明、大熊万歩、大倉悌志郎、大沢反平、大平睦子、片野涸魚、金田青水、久保田操、須藤光迷、高橋ヲブラダ、流合研士郎、水口弥生

(報告・堤てる夫)

 

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