「赤い羽根」と「秋思」を詠む
番町喜楽会の平成28年10月例会(通算132回)は、10月1日(土)午後6時から、「赤い羽根」と「秋思」を兼題として九段下の割烹「味さと」で開かれた。霧雨がそぼ降る暗い日ではあったが、総勢17名の参加者が集結した。
投句5句、選句6句で句会を行った結果、玉田春陽子さんの「秋冷や神棚高き醤油蔵」が断トツ最高点の8点を獲得した。また、須藤光迷さんの「会社売りひとり飲む夜の衣被」が6点で続いた。以下、4点が5句、3点8句、2点句13句、1点33句という結果で、欠席投句を含めての投句合計は98句だった。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。
「赤い羽根」
生かされて今年も胸に赤い羽根 野田 冷峰
飛び乗つて息つく少女赤い羽根 玉田春陽子
先生はいつもジャージー赤い羽根 大下 綾子
駅頭に立つも三代赤い羽根 今泉 而云
「秋思」
神保町野積みの百科秋あはれ 野田 冷峰
付箋紙の小口にのぞく秋思かな 玉田春陽子
秋さびし八十路の姉に電話する 堤 てる夫
不意打ちに降り来る秋思すべもなく 齊山 満智
行間に割り込んでくる秋思かな 玉田春陽子
「雑詠」
秋冷や神棚高き醤油蔵 玉田春陽子
会社売りひとり飲む夜の衣被 須藤 光迷
水害の泥つき稲を焼きし跡 今泉 而云
伊那谷の風をいなして女郎花 玉田春陽子
秋の蝶箱根八里の歌碑の上 谷川 水馬
秋冷やピアノの蓋に小さき鍵 星川 佳子
〈参加者〉【出席17人】嵐田双歩、池内健治、井上啓一、今泉而云、大澤水牛、齊山満智、須藤光迷、高井百子、高瀬大虫、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永正裕、野田冷峰、廣田可升、前島巌水【投句参加3人】大下綾子、星川佳子、山口斗詩子。 (記録・報告 谷川水馬)