番町喜楽会は10月5日(土)午後1時から千代田区二番町の番町ハイム会議室で第97回例会を開いた。この日は朝から時折秋雨がさーっと通り過ぎる天気。忙しい面々ばかりの句会だけに、この日も出席10人に対して欠席投句が7人という形になった。そんな中で、今年春以来顔を見せなかった三好六甫さんが颯爽登場、お得意のワルシャワ詠と化粧直し工事中の自宅マンションから眺めた名月の句で高点を獲得した。また投句参加の山口斗詩子さんが亡き夫詩朗さんに供えた「栗御飯」の句でこの日の最高点を射止めたのをはじめ投句5句全てに点が入る快挙を記録した。
今回の兼題は「黃落」と「夜食」で、投句5句、選句6句で句会を進めた結果、最高点は5点で「栗ごはん栗ひとつ足し仏前へ 斗詩子」の1句。次席4点も1句で「黃落や覗いて過ぎる御所の門 而雲」。以下3点が9句、2点14句、1点17句と続いた。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。
「黃落」
黃落や覗いて過ぎる御所の門 今泉 而雲
黃落の道にピンクのシューズ跳ね 山口斗詩子
足萎えて黃落の中に佇めり 山口斗詩子
黃落や木道一本燧岳 野田 冷峰
「夜食」
夜食してワルシャワあての私信かく 三好 六甫
パソコンに倦みて夜食の玉子粥 大澤 水牛
「雑詠」
栗ごはん栗ひとつ足し仏前へ 山口斗詩子
秋うらら酒屋のくれし小手拭ひ 大澤 水牛
名月は足場のなかを上りけり 三好 六甫
十六夜に誘はれて入るファドの店 前島 厳水
牡蠣すするあと七年を生きる気に 須藤 光迷
(第97回例会参加者)【出席】今泉而雲、大澤水牛、須藤光迷、高瀬大虫、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、星川佳子、前島厳水、三好六甫【投句参加】井上啓一、岩沢克恵、高井百子、堤てる夫、徳永正裕、野田冷峰、山口斗詩子
(記録 大澤水牛)