番町喜楽会は10月1日(土)午後1時から、千代田区二番町の番町ハイム会議室で10月例会(通算73回)を開いた。あらかじめ幹事にメール投句し、句会当日は配られた選句表で直ちに選句に入る「事前投句方式」を初めて実施した。「秋冷」「柿」の兼題に雑詠を加え5句投句、19人から計95句が寄せられ、6句選句で句会を進めた。
その結果、最高点は5点で今泉而雲さんの「壊さるる祖父母の家の柿のこと」、星川佳子さんの「柿すだれ色のとけだす日差しかな」、山口詩朗さんの「裏木戸にたわし転がる野分かな」の3句が並んだ。次席4点は5句で、佳子さんの「秋冷や隣は代々白き猫」「ひやひやと肌につけたる黒真珠」の2句と「柿好きは子規に似たるも月並句 高瀬大虫」「秋冷や引き汐舟をもてあまし 高橋楓子」「天界もかくや万本曼珠沙華 堤てる夫」。佳子さんは高点句3句含め全5句得点で話題独り占め。以下3点6句、2点9句、1点19句。3点以上の兼題別高点句は次の通り。
「秋冷」
秋冷や引き汐舟をもてあまし 高橋 楓子
秋冷や隣は代々白き猫 星川 佳子
ひやひやと肌につけたる黒真珠 星川 佳子
陰刻の肌冷ややかに磨崖仏 徳永 正裕
秋冷や土間を貫く生き柱 野見山恵子
秋冷や蒲団の匂ひ重くなり 三好 六甫
「柿」
壊さるる祖父母の家の柿のこと 今泉 而雲
柿すだれ色のとけだす日差しかな 星川 佳子
柿好きは子規に似たるも月並句 高瀬 大虫
とろとろと温み取り込む柿簾 井上 啓一
次郎柿餓鬼大将のいなくなり 玉田春陽子
柿赤し車庫にベンツのとまる家 前島 巌水
「雑詠」
裏木戸にたはし転がる野分かな 山口 詩朗
天界もかくや万本曼珠沙華 堤 てる夫
参加者(出席)井上啓一、今泉而雲、岩澤克恵、大澤水牛、笹本塘外、須藤光迷、高瀬大虫、高橋楓子、谷川透、玉田春陽子、堤てる夫、徳永正裕、前島巌水、三好六甫、山口詩朗(投句参加)高井百子、野田冷峰、野見山恵子、星川佳子
(まとめ・堤てる夫)