8人が参加、千人風呂と地酒を満喫
関東が猛暑にあえいでいる7月13日(木)、日経俳句会と番町喜楽会合同で長野県諏訪の片倉千人風呂を訪ねる吟行を実施した。電車が行き帰りとも事故で遅れるなどハプニングはあったが、諏訪大社に参拝し、昭和レトロの片倉館で温泉に入って連句を巻くなど充実した一日となった。
参加者は金田青水、澤井二堂、杉山三薬、高井百子、堤てる夫、中村迷哲、廣田可升、向井愉里の8人。新宿発の特急に乗った青水、二堂、迷哲、可升、愉里の5人は、沿線の倒木の影響で1時間遅れで上諏訪に到着。すぐにタクシーで諏訪大社下社へ。まず秋宮に参拝、巨大なしめ縄や社殿を守るように立つ御柱を見物した。次の春宮までは旧中山道を歩き、江戸の旅人気分を味わう。春宮の近くにある万治の大仏も参拝してから片倉館に向かった。
別ルートで諏訪入りした三薬幹事とてる夫・百子夫妻は、一足先に片倉館の座敷に落ち着く。この施設は生糸生産で財を成した片倉製糸が、諏訪の住民向けに昭和3年に竣工させた温泉保養施設。国指定重要文化財に認定されている。百人は楽に入れる大理石造りの巨大な「千人風呂」があり、大社参拝組も合流して大浴場で汗を流し、句会に臨んだ。
吟行句はメール投句にして、この日は「しりとり連句」を楽しむことになった。前の句の最後の2字(音)を句頭に織り込み、しりとり形式で詠み継いでいく簡単なルール。半数以上が初体験だったが、差し入れの地酒を片手に詠み進めると、軽妙洒脱な句が相次ぎ飛び出した。予定の2時間で半歌仙18句が巻き上がると思われたところで座敷の使用時間が超過。最後の2句は上諏訪駅に向かう道すがら詠み進め、駅の待合室で完成という劇的な幕切れ。初めと終わりは波乱の吟行となった。参加者の吟行の代表句は次の通り。
秋と春ふたつの宮や夏の旅 可 升
緑陰の中へ消え行く中山道 青 水
千人風呂玉砂利蹴って一人泳 てる夫
梅雨晴れ間テルマエロマエの湯の熱さ 三 薬
蓮池に映るレトロの片倉館 迷 哲
諏訪の湖アヒル九羽の大行進 二 堂
あずさ待ち買込むビール諏訪浪漫 愉 里
風死すや幹事はゴミを背に帰る 百 子
(報告 中村迷哲)