19人で白山神社・小石川植物園を巡る
日経俳句会と番町喜楽会は合同で六月十八日(土)に、文京区の社寺と植物園を巡る紫陽花吟行を催行した。コロナ感染が下火となったことに加え、梅雨曇りで歩きやすい天気となり、参加者は十九人と近年の吟行では最多となった。
午後一時に白山駅に集合して、近くの白山神社を参拝。境内に植えられた三千本の紫陽花が満開で、あじさい祭りに繰り出した人波で大混雑だった。続いて坂を下って八百屋お七の墓のある圓乘寺にお参り。そこから十五分ほど歩いて小石川植物園へ。広大な園内を二時間ほど自由に散策し、千五百種を超える標本木や草花を鑑賞、思い思いに句想を練った。吟行は午後四時に解散。喉の乾いた十四人がバスと地下鉄を乗り継いで町屋の蕎麦屋「如月徳」に至り、美酒美菜で吟行を楽しく打ち上げた。
参加者は嵐田双歩、今泉而云、岩田三代、植村方円、大澤水牛、大下明古、岡田鷹洋、金田青水、久保田操、杉山三薬、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、徳永木葉、中村迷哲、流合水澄、廣田可升、前島幻水、山口斗詩子の十九人。
投句三句、選句四句によるメール句会の結果、今泉而云さんの「ピンポン玉ほどのニュートン青林檎」が五点と最高点を獲得。二席四点には、谷川水馬さんの「富士塚に登る坂道七変化」と「寛解や栗の花さへ芳しく」の二句をはじめ、玉田春陽子さん「根津湯島巡り町屋は夕薄暑」、徳永木葉さん「忙しや歌仙巻き巻き梅雨吟行」、流合水澄さん「水打つも消えぬお七の燃ゆる恋」の計五句が並んだ。このほか三点四句、二点十二句、一点十五句で、参加者全員の句に点が入った。
紫陽花やをさな一途にフラダンス 嵐田 双歩
ピンポン玉ほどのニュートン青林檎 今泉 而云
紫陽花も疲れ顔なる人出かな 岩田 三代
名付けられ手入れ届かぬ花菖蒲 植村 方円
草茂り植物園は荒れにけり 大澤 水牛
樹間よりこちら窺ふ額の花 大下 明古
梅雨吟行十割蕎麦の大団円 岡田 鷹洋
木下闇でんと居座る昆陽碑 金田 青水
求愛の蝦蟇鳴く沼の賑やかし 久保田 操
太陽のない街ありし大緑陰 杉山 三薬
紫陽花や白山まるで村祭り 田中 白山
寛解や栗の花さへ芳しく 谷川 水馬
根津湯島巡り町屋は夕薄暑 玉田春陽子
忙しや歌仙巻き巻き梅雨吟行 徳永 木葉
黒南風や植物園の暗き道 中村 迷哲
水打つも消えぬお七の燃ゆる恋 流合 水澄
ひそと咲く名残の薔薇や線路脇 廣田 可升
マンションの谷にオアシス濃紫陽花 前島 幻水
四葩咲く白山神社万華鏡 山口斗詩子
(報告 中村迷哲)