最高8点に三代句と水牛句
メール句会に高点句目白押し
日経俳句会の令和3年7月例会(通算200回)は、4度目の緊急事態宣言の発令に伴い7カ月連続のメール句会となった。兼題は「三伏」と「団扇」。36人から108句の投句があり、7月21 日締め切りで5句選のメール句会を実施した結果、岩田三代さんの「三伏や抱く赤子さえ疎ましき」と大澤水牛さんの「絵団扇のぱたりと落ちて鼾かな」が共に最高8点を獲得した。二席7点は中嶋阿猿さんの「蝉しぐれまとひて山の郵便夫」が入った。三席6点には澤井二堂さんの「三伏にオクラの伸びのためらわず」、旙山芳之さんの「さりげなく団扇で換気立ち話」など4句が並んだ。このほか5点4句、4点6句、3点9句と、3点以上の高点句が26句を数えた。以下2点が15句、1点27句だった。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。
「三伏」
三伏や抱く赤子さえ疎ましき 岩田 三代
三伏にオクラの伸びのためらわず 澤井 二堂
三伏をねじ伏せ米寿視野に入る 杉山 三薬
三伏の草伸びること伸びること 大澤 水牛
三伏や「わだつみのこえ」読みかえす 堤 てる夫
三伏の太鯖おろし酢にひたす 徳永 木葉
三伏やシャワー熱めに朝まだき 和泉田 守
三伏や自動扉が開かない 横井 定利
「団扇」
絵団扇のぱたりと落ちて鼾かな 大澤 水牛
寝入るまで祖母の団扇と物語り 中村 迷哲
さりげなく団扇で換気立ち話 旙山 芳之
幼子に撫でるがごとく団扇風 和泉田 守
細き手や団扇の先に子の寝息 篠田 朗
みちのくの鬼面の睨む渋団扇 加藤 明生
団扇手に西イル下ル碁盤の目 谷川 水馬
アマビエの団扇であふぐ憂き世かな 中嶋 阿猿
「当季雑詠」
蝉しぐれまとひて山の郵便夫 中嶋 阿猿
物忘れしない日はなし夏深む 和泉田 守
老ひし父母手を振る道に夏の雲 岩田 三代
サングラス二つ三つほど若返る 大沢 反平
角取れぬそれも人生冷奴 加藤 明生
コンクリの裂け目にずらり月見草 金田 青水
荒梅雨のこれぞ水陸両用車 今泉 而云
梅雨明けや白の眩しき交差点 髙石 昌魚
国境の川越えてゆく夏の雲 星川 水兎
黒アゲハ裏原宿の路地の端 向井 ゆり
《参加者36人》嵐田双歩、池村実千代、和泉田守、今泉而云、岩田三代、植村方円、大澤水牛、大沢反平、大下明古、大平睦子、岡田鷹洋、荻野雅史、加藤明生、金田青水、工藤静舟、久保田操、澤井二堂、篠田朗、杉山三薬、鈴木雀九、須藤光迷、高井百子、髙石昌魚、高橋ヲブラダ、谷川水馬、堤てる夫、徳永木葉、中島阿猿、中村迷哲、野田冷峰、旙山芳之、廣上正市、藤野十三妹、星川水兎、向井ゆり、横井定利。 (報告・中村迷哲)