4月もメール句会
てる夫句「姿見」・双歩句「潮干狩」が9点で並ぶ
日経俳句会の令和3年4月例会(通算198回)は、まん延防止等重点措置なるものが出され、3月に引き続いてメール句会となった。変異株の感染拡大で先の見通しがたたない事態の中、3月同様35人から105句の投句があった。兼題は「遅日」と「柳」。4月21日締め切りで5句選の結果、一席は堤てる夫さんの「ため池を姿見にして若柳」と嵐田双歩さんの「気がつけば尻の冷たき潮干狩」が9点で並んだ。二席の7点句も2人で、「御飯だよ~語尾長々と遅日かな」の須藤光迷さんと「老木もなほやはらかき柳の芽」の向井ゆりさん。以下、6点句が植村方円さんと向井さん。次いで、5点3句、4点5句、3点12句、2点15句。1点30句だった。なお、4月例会より篠田朗さんが新入会員として投句参加し、合計3点を獲得しデビューを飾った。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。
「遅日」
御飯だよ~語尾長々と遅日かな 須藤 光迷
遅き日や部活終わりのトンボがけ 向井 ゆり
予後の身で炙る肴や暮遅し 谷川 水馬
ゆるり鳴る柱時計の暮遅し 水口 弥生
ペンキ屋の鼻歌まじる遅日かな 植村 方円
能登瓦黒匂ひ立つ遅日かな 徳永 木葉
念を入れ糠床まぜる遅日かな 金田 青水
暮遅し遊び惚ける鴉二羽 久保田 操
家族写真庭先で撮る遅日かな 中嶋 阿猿
遅き日や延長に入る草野球 中村 迷哲
徘徊のごと歩きたる遅日かな 廣上 正市
「柳」
ため池を姿見にして若柳 堤 てる夫
老木もなほやはらかき柳の芽 向井 ゆり
江戸の海この辺までと老柳 植村 方円
いくたびの試練の銀座柳かな 旙山 芳之
風さえも緑に染めて糸柳 岩田 三代
青柳や修行僧行く沈下橋 谷川 水馬
漆喰の壁の白さや若柳 中嶋 阿猿
湯めぐりの相方の待つ柳陰 中村 迷哲
「当季雑詠」
気がつけば尻の冷たき潮干狩 嵐田 双歩
花吹雪両手に受けて吾子駆ける 岩田 三代
徒長枝を伐れば春愁消えにけり 金田 青水
硯海に溶かす想ひや春の宵 谷川 水馬
草餅を丸める祖母の手際良さ 工藤 静舟
偲ぶ雨枝も重かろ八重桜 工藤 静舟
押し花となりし車道の椿かな 斉藤 早苗
《参加者35人》嵐田双歩、池村実千代、今泉而云、岩田三代、植村方円、大澤水牛、大沢反平、大平睦子、岡田鷹洋、荻野雅史、加藤明生、金田青水、工藤静舟、久保田操、斉藤早苗、澤井二堂、篠田朗、杉山三薬、鈴木雀九、須藤光迷、高井百子、髙石昌魚、高橋ヲブラダ、谷川水馬、堤てる夫、徳永木葉、中島阿猿、中村迷哲、野田冷峰、旙山芳之、廣上正市、藤野十三妹、水口弥生、向井ゆり、横井定利。 (報告 嵐田双歩)