日経俳句会第195回例会

緊急事態宣言再発令でまたまたメール句会

「御降」と「鎌鼬」、難解季語を詠む

日経俳句会の令和3年1月例会(通算195回)は、コロナ第三波の急拡大で緊急事態宣言が出されたため、再びメール句会に切り替えた。兼題は「御降」と「鎌鼬」。37人から111句の投句があり、1月20日付で5句選の結果、徳永木葉さんの「エクセルのふつりと消えり鎌鼬」が最高10点を獲得し一席に輝いた。二席は嵐田双歩さん「日脚伸ぶ間違いさがしあと二つ」と大澤水牛さん「老人の祈り短し初詣」の雑詠2句が9点で並んだ。7点句には旙山芳之さんの「御降や掃き清めたきこの世かな」、6点句には双歩さんの「草に樹に土に御降やはらかく」が入った。このほか5点2句、4点6句、3点15句と高点句が28句を数え、2点19句、1点22句だった。なお植村博明さんが、今月から俳号「方円(ほうえん)」を名乗ることになった。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「御降」

御降や掃き清めたきこの世かな            旙山 芳之

草に樹に土に御降やはらかく             嵐田 双歩

御降じや足りぬ冬菜へじょろの水           金田 青水

御降や天使の歌とふとおもふ             池村実千代

御降りや巫女の持つ札少し濡れ            植村 方円

御降や相合傘の石畳み                工藤 静舟

御降や立往生に蕪鮨                 堤 てる夫

御降りや恐竜の背濡れそむる             徳永 木葉

御降の白く舞ふ里家五軒               中村 迷哲

「鎌鼬」

エクセルのふつりと消えり鎌鼬            徳永 木葉

皺の手や七十年前の鎌鼬               大澤 水牛

空気とて刃(やいば)となりき鎌鼬          向井 ゆり

小走りの新聞少年鎌鼬                大沢 反平

鎌鼬鬼滅の刃受けしかな               須藤 光迷

煮魚の背にざつくりと鎌鼬              谷川 水馬

「当季雑詠」

日脚伸ぶ間違いさがしあと二つ            嵐田 双歩

老人の祈り短し初詣                 大澤 水牛

杖ついて動かぬ人よ冬日差し             植村 方円

たっぷりと寒九の水を小豆煮る            大下 明古

目で笑ふ難しきこと冬籠り              池村実千代

雪晴れや夕日眩しき五能線              加藤 明生

大雪の中を落ちゆくエレベーター           星川 水兎

裸木のてっぺんに鳥動かざる             岩田 三代

疎ましき消毒薬とあかぎれと             大沢 反平

落ち葉焚き話題も尽きて尻炙り            岡田 鷹洋

面取りの大根煮込む窓白し              斉藤 早苗

お年玉センキューと言ふ二歳半            堤 てる夫

具を足して二夜連続のおでん酒            旙山 芳之

《参加者37人》嵐田双歩、池村実千代、和泉田守、今泉而云、岩田三代、植村方円、大澤水牛、大沢反平、大下明古、大平睦子、岡田鷹洋、荻野雅史、加藤明生、金田青水、工藤静舟、久保田操、斉藤早苗、澤井二堂、杉山三薬、鈴木雀九、須藤光迷、高井百子、髙石昌魚、高橋ヲブラダ、谷川水馬、堤てる夫、徳永木葉、中島阿猿、中村迷哲、野田冷峰、旙山芳之、廣上正市、藤野十三妹、星川水兎、水口弥生、向井ゆり、横井定利。

(報告者 中村迷哲)

 

 

 

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