博明さん「守衛室の紫陽花」が10点
反平さん「妻の夏」9点ほか7点、4点句と “サイクルヒット”
日経俳句会は6月19日(水)、令和元年上期合同句会(通算28回)を千代田区内神田の日経広告研究所会議室で開いた。梅雨の晴れ間が数日続き、やや蒸すものの凌ぎやすい夕べ。半年に一度の合同句会は、「梅雨」と「螢」の兼題に37人から111句が寄せられた。5句選の事前選句の結果、植村さんの「紫陽花をコップに生けて守衛室」が10点でトップ。二席は大沢反平さんの「一歩ずつ杖と帽子の妻の夏」が9点。反平さんは「また一つ書店の消えし梅雨の町」が7点、「故郷へ母の蛍に会いたくて」が4点と大谷祥平ばりの “サイクルヒット”を放った。このほか7点句に木葉さんの「いろはにほ闇に描いて蛍舞う」が入り、6点句に三代さんの「幼子の拳開けばてんと虫」、水牛さんの「大太鼓合羽かけられ走り梅雨」、可升さんの「梅雨寒や夢の中だけ吸ふ煙草」が続いた。以下、5点4句、4点4句、3点12句、2点16句、1点28句だった。兼題別の高点句(3点句以上)は以下の通り。
「梅雨」
また一つ書店の消えし梅雨の町 大沢 反平
大太鼓合羽かけられ走り梅雨 大澤 水牛
梅雨寒や夢の中だけ吸ふ煙草 廣田 可升
母と子の自転車速し梅雨晴れ間 谷川 水馬
目白には古書店二店梅雨晴れ間 鈴木 好夫
梅雨に入る二本杖の身傘させず 井上庄一郎
ブレーキの音も重たし梅雨のバス 岩田 三代
梅雨のなか色香漂ふ蛇の目傘 久保田 操
大橋も小橋もけぶる梅雨最中 廣田 可升
ぎぎと鳴る雨戸なだめて梅雨の朝 星川 水兎
「螢」
いろはにほ闇に描いて蛍舞う 徳永 木葉
螢火や闇深ければ水にほふ 嵐田 双歩
背中せなの声寝息となりて蛍の夜 谷川 水馬
故郷へ母の蛍に会いたくて 大沢 反平
蛍舞ふ縄文人の住居跡 加藤 明生
蛍火やあの世信じてみたき夜 廣田 可升
老ひし母幼女となりて蛍呼ぶ 岩田 三代
蛍来る大虫さんの破顔かな 堤 てる夫
「当季雑詠」
紫陽花をコップに生けて守衛室 植村 博明
一歩ずつ杖と帽子の妻の夏 大沢 反平
幼子の拳開けばてんと虫 岩田 三代
お揃いのリボン跳ね行く更衣 中村 迷哲
食べて寝て笑って泣いて今日は夏至 嵐田 双歩
霧晴るる会津への道桐の花 大倉悌志郎
可愛いと言われる妻や夏の月 須藤 光迷
万緑や愛憎すべて包み込む 髙石 昌魚
緑縫う仙石線のホタテ飯 中沢 豆乳
参加者(出席)=嵐田双歩、池村実千代、井上庄一郎、今泉而云、岩田三代、大澤水牛、大沢反平、大下綾子、岡田鷹洋、澤井二堂、杉山三薬、鈴木好夫、須藤光迷、高石昌魚、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永木葉、中村迷哲、廣田可升、星川水兎、向井ゆり。(投句参加)植村博明、大倉悌志郎、大平睦子、加藤明生、金田青水、工藤静舟、久保田操、高井百子、高橋ヲブラダ、中沢豆乳、中嶋阿猿、旙山芳之、藤野十三妹、政本理恵、横井定利。(報告 嵐田双歩)