日経俳句会第231回例会

明生句「孫と嫁」が最高12点、二席は光迷句「タワマン」

参加36人で「盆」と「ばった」を詠む

日経俳句会は8月21日(水)、神田・鎌倉橋の日経広告研究所会議室で8月例会(通算231回)を開いた。連日の厳しい残暑とゲリラ豪雨はこの日も続き、夕方には品川駅前が水浸しになるなど各地で雷雨に見舞われた。幸い会場周辺は打ち水程度の雨量で済み、いくらか涼しくなった。出席者は11人。残暑の中、熱のこもった議論が続いた。兼題は「盆」と「ばった(飛蝗、螇蚸)」。36人から108句の投句があり、6句選(欠席者は5句選)の結果、加藤明生さんの「孫と嫁残暑を置いて帰りけり」が12点を得て一席に輝いた。二席は須藤光迷さんの「稲光タワマン墓のごとく立ち」が9点で続き、三席には双歩句「存分に仏間冷やすも盆用意」、木葉句「先祖より先に孫来て盆に入る」、水兎句「銀の匙磨くも母の盆支度」、定利句「ヘルメットバイクに置きて盆の僧」の兼題4句が6点で並んだ。以下、5点5句、4点8句、3点8句、2点12句、1点36句だった。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「盆」

存分に仏間冷やすも盆用意              嵐田 双歩

先祖より先に孫来て盆に入る             徳永 木葉

銀の匙磨くも母の盆支度               星川 水兔

ヘルメットバイクに置きて盆の僧           横井 定利

盆淋し家系にひとり残されて             大沢 反平

姿なき鳩も烏も盆休み                久保田 操

とげとげの心丸めて盆支度              篠田  朗

ヴィトン下げあの娘降り立つ盆の駅          杉山 三薬

墓じまい額寄せ合ふ盆の夜              中村 迷哲

久方の妹の寝息盆の家                向井 愉里

親戚もいまやちりぢり盂蘭盆会            大澤 水牛

お供えは草原の花阿蘇の盆              久保 道子

迎え火やなつかし声をふっときく           池村実千代

「ばった(飛蝗、螇蚸)」

出迎へはおんぶ飛蝗よ里帰り             金田 青水

球拾ふ多摩の川原やばった飛ぶ            谷川 水馬

ひと文句ありそなバッタのくろ目玉          中沢 豆乳

睨み合ふ飛蝗の構えレスリング            高井 百子

ライン上動かぬバッタ手で扇ぐ            旙山 芳之

ばつた跳ぶ草撓みたる刹那かな            溝口戸無広

当季雑詠

孫と嫁残暑を置いて帰りけり             加藤 明生

稲光タワマン墓のごとく立ち             須藤 光迷

新涼の安堵の朝や喜寿迎ふ              高井 百子

八月やピースホープは煙草の名            嵐田 双歩

ひと差し指で休む蜻蛉や露天風呂           星川 水兎

原爆忌おこりじぞうの悲しき目            岩田 千虎

かさぶたの剥がれるやうに蝉果つる          中嶋 阿猿

猫達と夫に一献遠花火                藤野十三妹

《参加者》【出席11人】嵐田双歩、岩田千虎、大澤水牛、金田青水、澤井二堂、篠田朗、堤てる夫、中野枕流、中村迷哲、星川水兎、向井愉里。【投句参加25人】池村実千代、和泉田守、伊藤健史、今泉而云、植村方円、大沢反平、岡田鷹洋、岡松卓也、加藤明生、久保道子、久保田操、杉山三薬、須藤光迷、高井百子、高橋ヲブラダ、谷川水馬、徳永木葉、中沢豆乳、中嶋阿猿、旙山芳之、廣上正市、藤野十三妹、溝口戸無広、水口弥生、横井定利。

(報告 嵐田双歩)

 

 

 

This entry was posted in 句会報告. Bookmark the permalink.

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>