英尾賞に徳永氏「ゆすらうめ」
篠田・嵐田・須藤・中嶋氏に俳句会賞
今泉・大澤両氏の健吟に特別賞を贈る
《日経俳句会賞英尾賞》
ゆすらうめ幸運なんていつも小粒 徳永 木葉(三回目、英尾賞は初受賞)
《日経俳句会賞》
囀や窓を五センチ開けた朝 篠田 朗(初受賞)
戦争はテレビの中や新茶汲む 嵐田 双歩(四回目受賞)
虫の音を全て消したる妻の声 須藤 光迷(三回目受賞)
大ぶりも小ぶりも細し薔薇の首 中嶋 阿猿(二回目受賞)
《次点》
介護の夜妻に添い寝の余寒かな 大沢 反平
空の青大地に散らし犬ふぐり 岩田 三代
青梅雨や古社千年の杉木立 堤 てる夫
《特別賞》
合掌の肘に傘提げ梅雨の葬 今泉 而云
処方箋一行増えて梅雨に入る 大澤 水牛
第19回(令和5年度)の『日経俳句会賞』の授賞式が12月20日の下期合同句会後に行われた。英尾賞は徳永木葉氏の「ゆすらうめ幸運なんていつも小粒」が受賞。俳句会賞には篠田朗「囀や窓を五センチ開けた朝」をはじめ嵐田双歩「戦争はテレビの中や新茶汲む」、須藤光迷「虫の音を全て消したる妻の声」、中島阿猿「大ぶりも小ぶりも細し薔薇の首」の四作品が選ばれた。徳永氏は3回目だが英尾賞は初の受賞。嵐田氏は4回目、須藤氏は3回目、中嶋氏は2回目、篠田氏は初受賞となった。次点には大沢反平、岩田三代、堤てる夫3氏の句が入った。また4年ぶりに開かれた双牛舎俳句大会(6月)で天賞を分け合い、双牛健在ぶりを印象付けた今泉而云、大澤水牛両氏に特別賞が贈られた。来年米寿を迎える両氏の衰えぬ創作意欲に敬意を表す意味もある。
選考委員の中村迷哲幹事長から選考経過の説明があり、受賞者に賞状と副賞が手渡された。この後、大澤水牛、今泉而云両顧問が掛け合いの形で温かみあふれる句評を披露した。
授賞式に引き続いて年末懇親会を開催。コロナ五類移行により制限がなくなり、以前のように立食形式で歓談した。テーブルには持ち寄りも含め、いろんな飲み物とつまみが並び、グラスを手に句友との会話が弾んだ。特別賞を含め、受賞の7人(中嶋氏は代読)がそれぞれ喜びを語ると大きな拍手が沸いた。