日経俳句会令和4年度下期合同句会

一席に昌魚、水牛、双歩句が並ぶ

20人が出席し、納めの会

日経俳句会は12月21日、内神田の日経広告研究所会議室で下期合同句会を開いた。強い寒気の影響で秋田や新潟は大雪、都心でも最高気温が10度と冬らしい寒いこの日、今年の納めの会とあって20人が出席し句会は熱気に包まれた。通算35回目となる合同句会には38人から事前投句、兼題の「枯野」ほか当季雑詠の114句が集まった。投句者全員が事前選句した結果、水牛句「朝もやの海となりけり枯野原」、双歩句「歳時記に付箋の増えて十二月」、昌魚句「これからだ三年枠の日記買ふ」がそれぞれ8点で一席に並んだ。二席には光迷句「年の暮れ鏡に喜寿の顔ひとつ」が7点。次いで水牛句「枯野行く歩荷のリズム狂ひ無し」が6点を獲得し、大澤水牛さんは高点句を連発した。この日、日経俳句会賞を受賞した髙石昌魚さんは一席のほか、「粛々とがん共生の年惜しむ」が5点と受賞に花を添えた。5点句は髙石さん含め3人。以下4点6句、3点10句、2点25句、1点29句だった。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「枯野」

朝もやの海となりけり枯野原             大澤 水牛

枯野行く歩荷(ぼっか)のリズム狂ひ無し       大澤 水牛

道祖神肩を寄せ合ふ枯野かな             岩田 三代

茫々と風や陽が行く枯野かな             久保 道子

枯野にも春待つ新芽の息吹あり            澤井 二堂

分け入れば風の優しき枯野かな            谷川 水馬

「当季雑詠」

歳時記に付箋の増えて十二月             嵐田 双歩

これからだ三年枠の日記買ふ             髙石 昌魚

年の暮れ鏡に喜寿の顔ひとつ             須藤 光迷

粛々とがん共生の年惜しむ              髙石 昌魚

身延線枯野に淡く富士の影              中沢 豆乳

住む前は銀杏落葉にあこがれし            旙山 芳之

年暮るゝエンゲル係数高止まり            金田 青水

足音も過去となりゆく師走かな            玉田春陽子

物ぐさの虫起きたるや堀炬燵             徳永 木葉

メモばかり増えて進まぬ年用意            廣田 可升

老夫在りし去年(こぞ)の師走のなつかしき      藤野十三妹

写真には写せぬものに隙間風             横井 定利

父母にさらに近づく年の暮れ             植村 方円

鬼柚子の獅子とも見ゆる湯舟かな           谷川 水馬

年の瀬や一番難所換気扇               玉田春陽子

姉三人八十路独り居年暮るる             堤 てる夫

主無き庭の裸木実は落ちて              堤 てる夫

踏み跡をたどりて迷ふ枯野かな            中村 迷哲

《参加者》【出席20人】嵐田双歩、今泉而云、植村方円、大澤水牛、大沢反平、岡田鷹洋、金田青水、澤井二堂、篠田朗、杉山三薬、鈴木雀九、髙石昌魚、玉田春陽子、堤てる夫、徳永木葉、中村迷哲、廣田可升、藤野十三妹、星川水兎、向井愉里。【投句参加18人】池村実千代、伊藤健史、岩田三代、加藤明生、工藤静舟、久保道子、久保田操、須藤光迷、高井百子、高橋ヲブラダ、谷川水馬、中沢豆乳、中嶋阿猿、旙山芳之、廣上正市、溝口戸無広、水口弥生、横井定利。

(報告 嵐田双歩)

 

 

 

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