日経俳句会第212回例会

35人参加、「竹の春」と「鰯」を詠む

最高8点に「鰯煮る」水兎句、二席は「京言葉」水馬句

溝口戸無広さんが入会

日経俳句会は令和4年9月例会(通算212回)を21日(水)に鎌倉橋の日経広告研究所会議室で開いた。台風一過の爽やかな秋気の中、13人が出席し、高点続出の句会を楽しんだ。兼題は「竹の春」と「鰯」。35人から105句の投句があり、6句選(欠席は5句)の結果、星川水兎さんの「梅干は三尾に一つ鰯煮る」(原句「二匹」を「三尾」に改作)が最高8点に輝いた。二席7点には谷川水馬さんの「竹の春葉音に交じる京言葉」が入った。三席6点には岩田三代さんの「人住まぬ里を覆ひて竹の春」をはじめ、久保田操さんの「路地裏に一坪ほどの竹の春」と「鰯焼く遠き昭和の夕支度」の2句、植村方円さんの「押し黙る固定電話や長き夜」、中嶋阿猿さんの「スケボーの子の股座から鰯雲」の計5句が並んだ。以下、5点3句、4点7句、3点10句、2点21句、1点23句だった。なお今月から日経大阪本社勤務の溝口知宏(俳号=戸無広)さんが入会し、投句、選句に加わった。兼題別の高点句(三点以上)は以下の通り。

「竹の春」

竹の春葉音に交じる京言葉              谷川 水馬

人住まぬ里を覆ひて竹の春              岩田 三代

路地裏に一坪ほどの竹の春              久保田 操

竹の春古都には古都の時間軸             嵐田 双歩

鋸ひけば青き粉飛ぶ竹の春              伊藤 健史

竿売りの絶えて久しき竹の春             篠田  朗

年甲斐もなきシャツの色竹の春            髙石 昌魚

「鰯」

梅干は三尾に一つ鰯煮る               星川 水兎

鰯焼く遠き昭和の夕支度               久保田 操

海の青まとふ鰯の悲しき目              岩田 三代

鰯焼く土光臨調いま一度               須藤 光迷

大鰯誉められ叩かれつみれ汁             中沢 豆乳

入れ食いの鰯今夜はつみれ鍋             今泉 而云

一山で売られ鰯の目哀しき              徳永 木葉

万を超す鰯渦巻く大水槽               中村 迷哲

「当季雑詠」

押し黙る固定電話や長き夜              植村 方円

スケボーの子の股座から鰯雲             中嶋 阿猿

芋の露かへし幼女にかへる母             大澤 水牛

孫の問ふ何であの雲いわし雲             高井 百子

雲抱きていざよふ月や終電車             徳永 木葉

国葬に国論割るる九月かな              加藤 明生

等々力の渓間に秋気つと走る             金田 青水

爽やかや久方ぶりの理髪店              髙石 昌魚

お隣の領空侵し庭木刈る               旙山 芳之

王冠を乗せし棺や秋薔薇               星川 水兎

天高し窓を磨けば心澄む               溝口戸無広

秋蝶の不意に来てまた何処へと            向井 愉里

《参加者》【出席13人】嵐田双歩、今泉而云、大澤水牛、岡田鷹洋、金田青水、澤井二堂、杉山三薬、鈴木雀九、堤てる夫、徳永木葉、中村迷哲、星川水兎、向井愉里。【投句参加22人】池村実千代、伊藤健史、岩田三代、大沢反平、植村方円、加藤明生、工藤静舟、久保田操、篠田朗、須藤光迷、高井百子、髙石昌魚、高橋ヲブラダ、谷川水馬、中沢豆乳、中嶋阿猿、野田冷峰、旙山芳之、廣上正市、藤野十三妹、溝口戸無広、横井定利。  (報告 中村迷哲)

 

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