日経俳句会第207回例会

会場を千代田区立スポーツセンターに変更

12人が出席、「三月」と「猫の子」を詠む

鷹洋、芳之両氏がトップ分け合う

日経俳句会は令和4年3月例会(通算207回)を16日(水)夜、鎌倉橋の千代田区立スポーツセンター集会室で開いた。オミクロン感染は減り始めたが日経の会議室が使えず、会場をすぐ近くに変更した。出席者は12人といつもより少なかったが、温暖な春の陽気そのままに談論風発の句会となった。兼題は「三月」と「猫の子」。36人から107句の投句があり、6句選(欠席は5句)の結果、最高9点は岡田鷹洋さんの「春の宵ひとり錠剤選り分けて」と旙山芳之さんの「雛祭次女が彼氏を連れて来た」が分け合った。二席7点には横井定利さん「三月やインクの色を替へてみる」と旙山芳之さん「猫の子のビデオ会議にしっぽ出す」が並び、旙山さんは一席、二席を占める好調ぶり。以下、6点3句、5点2句、4点6句、3点14句、2点17句、1点27句と続き、3点以上の高点句が29句にのぼった。兼題別の高点句(三点以上)は以下の通り。

「三月」

三月やインクの色を替へてみる        横井 定利

ただ一度父と買い物あの三月         岩田 三代

三月や人去りし部屋広き部屋         伊藤 健史

三月やどんどん埋まる予定表         高井 百子

三月や転勤辞令リモートぞ          岡田 鷹洋

三月や空の青さと海の碧           加藤 明生

一茶庵三月なれど雪五尺           篠田  朗

三月の風の日毎に違う色           高橋ヲブラダ

早や弥生病夫見つめる日の名残り       藤野十三妹

三月や緊張しつつ書く住所          向井 愉里

「猫の子」

猫の子のビデオ会議にしっぽ出す       旙山 芳之

金の眼が素敵と子猫貰はるる         今泉 而云

双眸に瑠璃を湛へし仔猫かな         中嶋 阿猿

はらからにもたれて寝入る子猫かな      大下 明古

温む川鷺はそろりと細き足          高井 百子

手の中に命の震え仔猫寝る          高橋ヲブラダ

その声や命の重み捨て子猫          植村 方円

猫の子の啼いてお開きWEB会議       谷川 水馬

ジーンズを這い登りきて子猫啼く       向井 愉里

「当季雑詠」

春の宵ひとり錠剤選り分けて         岡田 鷹洋

雛祭次女が彼氏を連れて来た         旙山 芳之

春光や青を豊かに江戸切子          嵐田 双歩

太葱のつるりむけたるひかりかな       廣上 正市

卒業の投げたる帽子風に乗る         水口 弥生

朧月シャガールの夢解き放つ         岩田 三代

峰々の頬も緩むや雪解川           篠田  朗

春泥を蹴散らす戦車うつつなり        杉山 三薬

キャタピラに踏まれし国土青き麦       中村 迷哲

春風に鳩居堂まで歩をのばし         横井 定利

《参加者》【出席12人】嵐田双歩、今泉而云、植村方円、大澤水牛、岡田鷹洋、金田青水、篠田朗、杉山三薬、徳永木葉、中村迷哲、星川水兎、向井愉里。【投句参加24人】池村実千代、和泉田守、伊藤健史、岩田三代、大沢反平、大下明古、荻野雅史、加藤明生、久保田操、澤井二堂、鈴木雀九、須藤光迷、高井百子、髙石昌魚、高橋ヲブラダ、谷川水馬、堤てる夫、中沢豆乳、中嶋阿猿、旙山芳之、廣上正市、藤野十三妹、水口弥生、横井定利。  (報告 中村迷哲)

 

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