日経俳句会第201回例会

反平句「気短」10点で一席

二席8点は「蝉の骸」双歩句

日経俳句会の令和3年8月例会(通算201回)は、感染爆発が止まらず、8カ月連続のメール句会となった。今年の8月は、コロナ、大雨、残暑と三重苦が続き、オリンピックの余韻は雲散霧消。そんな鬱陶しい猛暑のさなか、「残暑」と「蜻蛉」の兼題に先月と同じ36人から108句の投句があった。五句選で18日に選句を締め切った結果、大沢反平さんの「夫婦して気短となる残暑かな」が二桁得票の10点で一席、反平さんは「蜻蛉に空の広さや草千里」が6点と両方の兼題でトップだった。二席には嵐田双歩さんの「地に伏せる蝉の骸や敗戦日」が8点、三席は荻野雅史さんの「すれ違い日陰譲りて残暑かな」が7点で続いた。このほか6点3句、5点3句、4点8句、3点4句とめずらしく三点句が少なかった。以下、2点22句、1点29句だった。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「残暑」

夫婦して気短となる残暑かな            大沢 反平

すれ違い日陰譲りて残暑かな            荻野 雅史

西窓の日除けほころび残暑かな           徳永 木葉

挨拶文飛ばして読んで秋暑し            嵐田 双歩

亡き友の残暑見舞ひの太き文字           加藤 明生

夕刻のコロナの数字秋暑し             高石 昌魚

妻の手に馴染むバリカン秋暑し           谷川 水馬

還暦へ残暑乗り越へ辿り着く            向井 ゆり

「蜻蛉」

蜻蛉に空の広さや草千里              大沢 反平

赤蜻蛉記憶の空を乱舞する             久保田 操

トンボ来る七階屋上水瓶に             澤井 二堂

教室をぐるり一周赤とんぼ             谷川 水馬

清流のしぶきを浴びて糸蜻蛉            荻野 雅史

軽やかに生きたし喜寿の赤とんぼ          高井 百子

すれ違ふひとなき古道蜻蛉群る           廣上 正市

青信号渡って来たる鬼やんま            今泉 而云

当季雑詠

地に伏せる蝉の骸や敗戦日             嵐田 双歩

折鶴のひとつひとつの原爆忌            水口 弥生

扁額の傾きしまま夏座敷              高井 百子

勤行の声の確かさ秋来る              中村 迷哲

新涼こぼるゝ産直段ボール             金田 青水

《参加者36人》嵐田双歩、池村実千代、和泉田守、今泉而云、岩田三代、植村方円、大澤水牛、大沢反平、大下明古、大平睦子、岡田鷹洋、荻野雅史、加藤明生、金田青水、工藤静舟、久保田操、澤井二堂、篠田朗、杉山三薬、須藤光迷、高井百子、髙石昌魚、高橋ヲブラダ、谷川水馬、堤てる夫、徳永木葉、中島阿猿、中村迷哲、野田冷峰、旙山芳之、廣上正市、藤野十三妹、星川水兎、水口弥生、向井ゆり、横井定利。  (報告・嵐田双歩)

 

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