日経俳句会令和3年度上期合同句会

 

またまたメール句会。38人参加「麦秋」と「蝸牛」を詠む

「梅漬ける」水牛句11点、二席に「銀座の蝸牛」水馬句

日経俳句会は6月16日、令和3年度の上期合同句会をメール句会として開いた。何回目かの非常事態宣言が何回目かの延長になって、またまたメール句会を余儀なくされた。今年になって一度も対面句会は開けていない。ワクチン接種が広がり、現役を含め会員の大半が2回目を打ち終えるころには、なんとかリアル句会が復活してほしいものだ。通算32回目の合同句会の兼題は「麦秋」と「蝸牛」。38人から114句の投句があり5句選の結果、大澤水牛さんの「梅漬ける八十四年の皺深し」がダントツ一位の11点を獲得した。二席は谷川水馬さんの「切り花に揺れて銀座の蝸牛」が7点、三席は嵐田双歩さんの「鮎宿の画鋲でとめし時刻表」と久保田操さんの「落日の余光残せり麦の秋」が6点で並んだ。続いて5点句は和泉田守さんの「一汁と一菜でよし夏暖簾」など7句、以下4点5句、3点11句、2点17句、1点33句だった。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「麦秋」

落日の余光残せり麦の秋             久保田 操

麦秋の知らない町を途中下車           嵐田 双歩

麦秋の香り遥かな疎開の地            今泉 而云

麦秋や出番いつかと旅鞄             植村 方円

麦秋のきらめき掬う水車かな           星川 水兎

麦の秋祖父の詩集を読み返す           和泉田 守

麦秋や夕陽は金の針となり            岩田 三代

南総の海へ海へと麦の秋             大沢 反平

麦秋や一直線の畑道               髙石 昌魚

絵手紙の色を重ねて麦の秋            池村実千代

「蝸牛」

切り花に揺れて銀座の蝸牛            谷川 水馬

蝸牛余生は殻を持て余し             向井 ゆり

かたつむり読経聴くか塀の上           澤井 二堂

蝸牛電動アシストいりますか           杉山 三薬

葉の裏に家あり目あり蝸牛            髙橋ヲブラダ

かたつむり雨降山はけふも雨           廣上 正市

当季雑詠

梅漬ける八十四年の皺深し            大澤 水牛

鮎宿の画鋲でとめし時刻表            嵐田 双歩

一汁と一菜でよし夏暖簾             和泉田 守

石段を数へて登る薄暑かな            加藤 明生

ウイグルの断種かなしや花柘榴          金田 青水

五歳児と二万五千歩五月晴            杉山 三薬

襁褓とれ脚にょっきりと衣更え          高井 百子

夏シャツやコロナワクチン打ち終える       髙石 昌魚

ぐつたりと干されサーフィンスーツかな      玉田春陽子

白靴のトラック野郎は女なり           中嶋 阿猿

田水張る一番星のひかりかな           廣上 正市

《参加者38人》嵐田双歩、池村実千代、和泉田守、今泉而云、岩田三代、植村方円、大澤水牛、大沢反平、大平睦子、岡田鷹洋、荻野雅史、加藤明生、金田青水、工藤静舟、久保道子、久保田操、澤井二堂、篠田朗、杉山三薬、須藤光迷、高井百子、髙石昌魚、高橋ヲブラダ、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永木葉、中島阿猿、中村迷哲、野田冷峰、旙山芳之、廣上正市、廣田可升。藤野十三妹、星川水兎、水口弥生、向井ゆり、横井定利。  (報告 嵐田双歩)

 

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