日経俳句会第199回例会

「摘果」迷哲句が最高12点、二席9点に「菖蒲湯」ゆり句

メール句会、高点句目白押し

日経俳句会の令和3年5月例会(通算199回)は、緊急事態宣言の延長に伴い5カ月連続のメール句会となった。兼題は「冷汁」と「菖蒲・花菖蒲」。36人から106句の投句があり、19日締め切りで5句選の結果、中村迷哲さんの「摘果終へ父と並んで冷し汁」が最高12点を獲得した。二席9点に向井ゆりさんの「菖蒲湯につかり背筋の少し伸び」が入り、三席8点は迷哲さんの「木道を傘の行き交ふ菖蒲園」が続いた。さらに7点句に「ラヂオより昼の憩ひや冷し汁 青水」と「花菖蒲アインシュタイン舌を出し 双歩」が並び、ついで6点が2句、5点4句、4点6句、3点10句と高点句が27句を数えた。以下2点10句、1点26句だった。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「冷汁」

摘果終へ父と並んで冷し汁            中村 迷哲

ラヂオより昼の憩ひや冷し汁           金田 青水

冷汁や麦味噌の香の懐かしき           岩田 三代

冷汁や猫は一瞥くれてゆき            向井 ゆり

地下足袋で昼の憩いや冷し汁           篠田  朗

冷汁を飲み干す薄き背中かな           中嶋 阿猿

老いてこそ旨味のわかる冷し汁          加藤 明生

冷汁かと文句の後の父の笑み           髙石 昌魚

老親に仕送りをして冷し汁            旙山 芳之

冷汁に昔語りの座となりぬ            水口 弥生

「菖蒲・花菖蒲」

菖蒲湯につかり背筋の少し伸び          向井 ゆり

木道を傘の行き交ふ菖蒲園            中村 迷哲

花菖蒲アインシュタイン舌を出し         嵐田 双歩

花菖蒲雨紫に染め上げぬ             岩田 三代

むらさきは母を恋ふ色花菖蒲           廣上 正市

研ぎ水で鉢植え菖蒲太く濃く           大平 睦子

菖蒲咲く仮免教習初路上             鈴木 雀九

SLの蒸気に揺れて花菖蒲            谷川 水馬

だれや見る閉鎖の長き菖蒲園           徳永 木葉

「当季雑詠」

竹の皮さてもみごとな脱ぎっぷり         谷川 水馬

宙に富士一万本の花みかん            廣上 正市

雨上がり虹の傘さす観覧車            岡田 鷹洋

田を植えるロボットの名は早乙女号        徳永 木葉

嫁入りの舟行く波や花菖蒲            篠田  朗

ブラウスの袖の膨らみ初夏の風          髙石 昌魚

つながらぬワクチン予約夕薄暑          嵐田 双歩

空豆の背伸びの先は開聞岳            中村 迷哲

《参加者36人》嵐田双歩、池村実千代、井上庄一郎、今泉而云、岩田三代、植村方円、大澤水牛、大沢反平、大平睦子、岡田鷹洋、荻野雅史、加藤明生、金田青水、工藤静舟、久保田操、斉藤早苗、澤井二堂、篠田朗、杉山三薬、鈴木雀九、須藤光迷、髙石昌魚、高橋ヲブラダ、谷川水馬、堤てる夫、徳永木葉、中島阿猿、中村迷哲、野田冷峰、旙山芳之、廣上正市、藤野十三妹、星川水兎、水口弥生、向井ゆり、横井定利。

(報告・中村迷哲)

 

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