日経俳句会第194回例会

双歩さん「木枯」で最高9点、二席に水口さん「枯菊焚く」

高点句続出、充実の対面句会

日経俳句会の令和2年11月例会(通算194回)は18日夜、前月に続き対面で開催した。コロナ感染急増もあり出席は13人にとどまったが、高点句が続出し充実した句会となった。兼題は「冬めく」と「池普請」。34人から101句の投句があり、6句選(欠席は5句)の結果、嵐田双歩さんの「木枯の追ひ越して行く家路かな」が最高9点に輝いた。二席は水口弥生さんの「枯菊を焚くや残り香果つるまで」が8点、三席は大沢反平さんの「冬めくや卒寿猫背の庭いじり」が7点で続いた。さらに6点句には「池普請噛みつき亀にどよめけり 大澤水牛」と「これほどの葉があつたのか欅散る 水牛」、「老化です初冬一撃整形医 大平睦子」、「眼で笑ふマスク美人の枯葉掃き 髙石昌魚」の4句が並んだ。このほか5点3句、4点9句、3点11句と、高点句だけで30句を数えた。日経OBの篠田朗さんが見学参加し、選句にも加わった。来年以降の加入が期待される。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「冬めく」

冬めくや卒寿猫背の庭いじり            大沢 反平

冬めける庭に忙しき雀たち             大澤 水牛

冬めくや脛(すね)カサカサと知らせけり      旙山 芳之

蒼穹をつらぬく尖塔冬めける            和泉田 守

冬めくや街ゆく人は無彩色             岩田 三代

ウポポイや海よ大地よ冬めきて           堤 てる夫

獣荒ぶはなしをちこち冬めけり           廣上 正市

冬めくや赤城の裾野父母の墓            髙井 百子

「池普請」

池普請噛みつき亀にどよめけり           大澤 水牛

池普請水面の雲をよぎる鯉             久保田 操

主らしき鯉のひと跳ね池普請            嵐田 双歩

祭りなき年の賑ひ池普請              中嶋 阿猿

鳥達も見守っている池普請             星川 水兎

泥水に数多の命池普請               水口 弥生

池普請ポイ捨ての恥白日に             岡田 鷹洋

仮面ライダーのふでばこ池普請           金田 青水

幼き日父と鮒追ふ池普請              髙石 昌魚

池普請妖怪話の二つ三つ              髙橋ヲブラダ

京の尼寺黙してひそと池普請            藤野十三妹

「当季雑詠」

木枯の追ひ越して行く家路かな           嵐田 双歩

枯菊を焚くや残り香果つるまで           水口 弥生

これほどの葉があつたのか欅散る          大澤 水牛

老化です初冬一撃整形医              大平 睦子

眼で笑ふマスク美人の枯葉掃き           髙石 昌魚

冬茜グラデーションに浮かぶ街           中村 迷哲

縁側の独り将棋も小春かな             今泉 而云

大地まで二秒余りの落葉旅             植村 博明

夜焚火に心の澱をくべにけり            徳永 木葉

冬晴れや狛犬もやや笑ひけり            中嶋 阿猿

色糸で描く刺し子や冬林檎             星川 水兎

《参加者》【出席13人】岩田三代、大澤水牛、岡田鷹洋、金田青水、澤井二堂、杉山三薬、鈴木雀九、堤てる夫、中村迷哲、野田冷峰、星川水兎、向井ゆり、篠田朗(見学)。【投句参加22人】嵐田双歩、池村実千代、和泉田守、井上庄一郎、今泉而云、植村博明、大沢反平、大平睦子、荻野雅史、久保田操、斉藤早苗、高井百子、髙石昌魚、高橋ヲブラダ、谷川水馬、徳永木葉、中島阿猿、旙山芳之、廣上正市、藤野十三妹、水口弥生、横井定利。  (報告・中村迷哲)

 

 

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