日経俳句会第190回例会

メール句会で「夏座敷」「霍乱」を詠む

而云さん「特攻の叔父」で最高8点

日経俳句会の令和2年7月例会(通算190回)は、新型コロナ感染が再拡大の兆しを見せ、5カ月連続のメール句会となった。兼題は「夏座敷」と「霍乱」。33人から97句の投句があり、7月15日を締め切りにしたメール5句選の結果、今泉而云さんの「特攻の伯父の写真や夏座敷」が最高8点を獲得した。7点句に谷川水馬さん「鴨居にはずらりご先祖夏座敷」と植村博明さん「霍乱や底まで探る薬箱」が入り、6点句には「浜風と寝そべる猫と夏座敷 青水」と「霍乱や母が常備の正露丸 冷峰」「祭りなき夏の暦の白さかな 博明」の3句が並んだ。このほか5点5句、4点7句、3点10句を数え、高点句が多かった。2点は9句、1点24句だった。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「夏座敷」

特攻の伯父の写真や夏座敷                今泉 而云

鴨居にはずらりご先祖夏座敷               谷川 水馬

浜風と寝そべる猫と夏座敷                   金田 青水

座布団を二つ折りして夏座敷               髙井 百子

青竹の茶筅おろして夏座敷                星川 水兎

百年の桜伐採夏座敷                   池村実千代

寝ころんで独りに広き夏座敷               中村 迷哲

真向ひにみどりの山を夏座敷                大澤 水牛

大の字の父のうたた寝夏座敷               髙石 昌魚

ビニールのおもちゃ放られ夏座敷             向井 ゆり

夏座敷かつて象牙の在りし床               向井 ゆり

「霍乱」

霍乱や底まで探る薬箱                  植村 博明

霍乱や母が常備の正露丸                 野田 冷峰

霍乱の癒えてやすらぐ今朝の風                久保田 操

一夜明け霍乱居士の飯三膳                中嶋 阿猿

霍乱や水は我慢と教へられ                廣上 正市

霍乱か妻が昼から静かなる                横井 定利

霍乱に祖母薬籠の反魂丹                  岡田 鷹洋

霍乱の女子高生を皆扇ぐ                 鈴木 雀久

踏み出した足ぐにゃぐにゃと日射病            星川 水兎

「当季雑詠」

祭りなき夏の暦の白さかな                植村 博明

自粛明けマスクの剣士夏稽古               荻野 雅史

寝て覚めて過ぐる一日沙羅の花                        久保田 操

夏空に火球の光宇宙知る                 髙橋ヲブラダ

宇宙にも寿命あるらし蛍飛ぶ               中嶋 阿猿

夏の旅灯火の影絵鵜飼船                 岡田 鷹洋

エコバッグ土用の丑を持ち帰る              杉山 三薬

墓守の蛇動き出す谷中路地                野田 冷峰

《参加者》嵐田双歩、池村実千代、井上庄一郎、今泉而云、岩田三代、植村博明、大澤水牛、大沢反平、大平睦子、岡田鷹洋、荻野雅史、加藤明生、金田青水、久保田操、斉藤早苗、澤井二堂、杉山三薬、鈴木雀九、高井百子、髙石昌魚、高橋ヲブラダ、谷川水馬、堤てる夫、徳永木葉、中島阿猿、中村迷哲、野田冷峰、旙山芳之、廣上正市、藤野十三妹、星川水兎、向井ゆり、横井定利。 (報告・中村迷哲)

 

 

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