日経俳句会第187回

 

ウイルス禍でメール句会

「暖か」「木瓜の花」を詠み合う

青水「暖か」で最高8点、二堂、正市7点で追う

日経俳句会の令和2年3月例会(通算187回)は、新型コロナウイルスの感染防止のため会場に集まっての句会を自粛、3月19日を締め切りにメール句会の形で実施した。吟行ではメール句会はよく行われるが、月例会では初めて。兼題は「暖か」と「木瓜の花」。ウイルス騒動が影響したのか、参加32人,投句総数95句とやや少なめ。5句選の結果、金田青水さんの「水音や掌に欄干のあたゝかさ」が最高8点を獲得。7点句に澤井二堂さん「暖かき朝は歩幅の少し伸び」と廣上正市さん「木瓜咲くや蔵のしつくひ黄ばみたり」が並んだ。6点句には「大槌の春献奏のトランペット てる夫」と「父の庭荒れたるままに木瓜の花 迷哲」の2句が入った。以下5点4句、4点4句、3点10句、2点15句、1点25句だった。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「暖か」

水音や掌に欄干のあたゝかさ        金田 青水

暖かき朝は歩幅の少し伸び         澤井 二堂

じゃんけんをして進む子ら暖かし      植村 博明

暖かや巨象の鼻の藁が舞ふ         岡田 鷹洋

深みより浮かび来し鯉暖かし        鈴木 雀九

草はらに大の字地球暖かし         岩田 三代

暖かや大仏様の細き眉           加藤 明生

暖かや標本木に花一輪           久保田 操

暖かや老婦老犬いたはり合ひ        堤 てる夫

「木瓜の花」

木瓜咲くや蔵のしつくひ黄ばみたり     廣上 正市

父の庭荒れたるままに木瓜の花       中村 迷哲

枝ぶりも棘も活けたり木瓜の花       谷川 水馬

偽りは棘に刺されて木瓜の花        今泉 而云

木瓜咲くや江戸の名残の一里塚       大澤 水牛

木瓜の花割となんでもあるお店       星川 水兎

「当季雑詠」

大槌の春献奏のトランペット        堤 てる夫

菜の花や思ひ出なべてほろ苦く       今泉 而云

大欅芽吹かんとする息づかひ        大澤 水牛

首伸ばし鶯を聴く駝鳥かな         谷川 水馬

スタンドに歓声沸かず春疾風        杉山 三薬

鍵盤のジャズのフォルテに跳ねる春     岡田 鷹洋

虫好きの子らみんな来よ春の野へ      金田 青水

村ごとの春望たどる山のバス        中村 迷哲

《参加者》嵐田双歩、池村実千代、和泉田守、井上庄一郎、今泉而云、岩田三代、植村博明、大澤水牛、大沢反平、大下綾子、大平睦子、岡田鷹洋、加藤明生、金田青水、久保田操、澤井二堂、杉山三薬、鈴木雀九、高井百子、髙石昌魚、高橋ヲブラダ、谷川水馬、堤てる夫、徳永木葉、中沢豆乳、中村迷哲、野田冷峰、旙山芳之、廣上正市、星川水兎、水口弥生、横井定利。

(報告・中村迷哲)

 

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