「秋の雲」と「桔梗」を詠む
双歩さん「釣り糸」で7点、迷哲さん6点1句と3点が3句の大活躍
番町喜楽会は、令和元年9月例会(通算第165回)を、2日午後6時半から東京・九段下の千代田区立生涯学習館で行った。兼題は「秋の雲」と「桔梗」。投句5句、選句6句の結果、嵐田双歩さんの「釣り糸は海にあづけて秋の雲」が7点でトップ。中村迷哲さんの「かなかなの声戻り来る雨後の宿」が6点で次席、廣田可升さんの「地下鉄へつづく鉦音阿波踊り」が5点で三席となった。4点は須藤光迷さんの「うるさいと外す補聴器秋の雲」、高井百子さんの「毬栗の青きを拾ふ無言館」、玉田春陽子さんの「桔梗や机一つの駐在所」、星川水兎さんの「一雨に身をほどきたる桔梗かな」の4句、3点は9句に上った。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。
「秋の雲」
釣り糸は海にあづけて秋の雲 嵐田 双歩
うるさいと外す補聴器秋の雲 須藤 光迷
転勤の度に子の増え秋の雲 田中 白山
火の山を覆ひて余る秋の雲 玉田春陽子
季節なき街過ぎゆくや秋の雲 中村 迷哲
貰い湯の遠き記憶や秋の雲 野田 冷峰
「桔梗」
桔梗や机一つの駐在所 玉田春陽子
一雨に身をほどきたる桔梗かな 星川 水兎
父母の忌は二日違いや桔梗切る 須藤 光迷
弔問の庭にひともと桔梗咲く 中村 迷哲
桔梗咲くカルスト台地風渡る 中村 迷哲
「当季雑詠」
かなかなの声戻り来る雨後の宿 中村 迷哲
地下鉄へつづく鉦音阿波踊り 廣田 可升
毬栗の青きを拾ふ無言館 高井 百子
葉の落ちて空広がって庭の秋 堤 てる夫
AIとゲノムの未来原爆忌 前島 幻水
《参加者》(出席18人)嵐田双歩、池内的中、今泉而云、大澤水牛、斉山満智、塩田命水、須藤光迷、高井百子、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永木葉、中村迷哲、野田冷峰、廣田可升、星川水兎、前島幻水。(投句2人)澤井二堂、山口斗詩子。 (報告・須藤光迷)