33人参加、「秋の声」「枝豆」詠む
実千代さん「あぐらの父」で最高10点
日経俳句会は令和元年9月例会(通算182回)を9月18日(水)に千代田区内神田の日経広告研究所会議室で開いた。生憎の雨に加え所用が重なった方が多く、出席は16人にとどまったが、兼題句を中心に高得点句が続出。合評会も盛り上がって「豊作」の句会となった。また入会希望の荻野雅史さんが見学参加し、選句・合評に加わった。兼題は「秋の声」と「枝豆」。33人から98句の投句があり、6句選(欠席5句)の結果、池村実千代さんの「枝豆やあぐらの父の笑ひ声」が最高10点を獲得。今泉而云さんの「葡萄酒の赤の深さや秋の声」が9点で続き、8点句に大倉悌志郎さんの「和紙の町流るる水に秋の声」と嵐田双歩さんの「一本のコスモスならば寂しかろ」が並んだ。7点句には「地の果てのその果ての島秋の雲 阿猿」、6点句に「種採りのオクラからから秋の声 水馬」と「枝豆のから山盛りに国家論 博明」の2句。以下5点3句、4点9句、3点7句、2点16句、1点24句で、3点以上の高得点が26句を数えた。兼題別の高得点句(3点以上)は以下の通り。
「秋の声」
葡萄酒の赤の深さや秋の声 今泉 而云
和紙の町流るる水に秋の声 大倉悌志郎
地の果てのその果ての島秋の雲 中嶋 阿猿
種採りのオクラからから秋の声 谷川 水馬
寂寥の八十路に響く秋の声 深田森太郎
また一つ小さき嘘つき秋の声 植村 博明
残されし休耕田や秋の声 堤 てる夫
笛の音の篝火ゆらし秋の声 徳永 木葉
納骨を済ませし座敷秋の声 中村 迷哲
秋の声よいしょよいしょとペダル踏む 斉藤 早苗
背番号小さく見えて秋の声 杉山 三薬
子育ての終わりしことよ秋の声 髙井 百子
地続きに弥生の古墳秋の声 廣上 正市
「枝豆」
枝豆やあぐらの父の笑ひ声 池村実千代
枝豆のから山盛りに国家論 植村 博明
枝豆やころり忘るる検診日 金田 青水
枝豆の莢押し潰す赤い爪 深田森太郎
枝豆を犬と分け合ふ風呂上り 谷川 水馬
独り酒空の枝豆またつまむ 徳永 木葉
枝豆や身の上話ながながと 大澤 水牛
枝豆や織部もどきの皿に盛る 大沢 反平
「当季雑詠」
一本のコスモスならば寂しかろ 嵐田 双歩
野分去り停電の闇月光る 澤井 二堂
薄日さす茶室の端や白桔梗 髙井 百子
老いの身の持ちつ持たれつ秋蛍 髙石 昌魚
野分過ぎ三十五度の大吐息 大澤 水牛
《参加者》(出席)嵐田双歩、池村実千代、岩田三代、大澤水牛、大沢反平、岡田鷹洋、金田青水、澤井二堂、鈴木好夫、髙石昌魚、堤てる夫、徳永木葉、中村迷哲、野田冷峰、星川水兎、向井ゆり、(見学)荻野雅史。(投句参加)井上庄一郎、今泉而云、植村博明、大倉悌志郎、大平睦子、加藤明生、久保田操、斉藤早苗、杉山三薬、高井百子、高橋ヲブラダ、谷川水馬、中嶋阿猿、廣上正市、深田森太郎、藤野十三妹、横井定利。
(報告・中村迷哲)