日経俳句会第181回例会

「朝顔を褒めて一礼」(阿猿)14点

「陽の欠けら拾ふ」(操)10点、

「転校の子の朝顔」(ゆり)9点

女性会員が上位独占。

日経俳句会は8月21日(水)、令和元年度8月例会(通算181回)を千代田区内神田の日経広告研究所会議室で開いた。この日は厳しい残暑がやや一段落、秋風を感じさせる夕刻、雨模様の中を19人が出席した。兼題は「秋風」と「朝顔」。欠席投句も含め34人の102句から6句を選んだ結果、中嶋阿猿さんの「朝顔を褒めて一礼配達員」が圧巻の14点を得票。次席は久保田操さんの「陽の欠けら拾ふ川面の秋の風」の10点、僅差で向井ゆりさんの「転校の子の朝顔も持ち帰り」が9点で続いた。いずれも兼題句で女性会員が上位を独占した。次いで「炊飯器スイッチぽんと敗戦忌」(水牛)が7点、「昼月に鐘の音響け長崎忌」(反平)が6点と両おおさわ句が高点を競った。以下5点2句、4点5句、3点14句、2点12句、1点33句だった。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「秋風」

陽の欠けら拾ふ川面の秋の風      久保田 操

秋風をターフに残し名馬逝く      嵐田 双歩

秋風が揺らす地蔵のよだれかけ     中嶋 阿猿

路地裏のひび割れガラス秋の風     岩田 三代

合宿の日焼けの腕に秋の風       池村実千代

はな子亡き象舎秋風吹くばかり     大倉悌志郎

聴診器秋風の中振りまわし       鈴木 好夫

「朝顔」

朝顔を褒めて一礼配達員        中嶋 阿猿

転校の子の朝顔も持ち帰り       向井 ゆり

颯爽と開く朝顔団十郎         今泉 而云

朝顔や少年野球の始球式        大沢 反平

朝顔の蔓のゆくさき風まかせ      徳永 木葉

朝顔や木肌痩せたる古社        星川 水兎

朝顔の蔓しなやかに天を向き      政本 理恵

「当季雑詠」

炊飯器スイッチぽんと敗戦忌      大澤 水牛

昼月に鐘の音響け長崎忌        大沢 反平

風鈴売り風引き連れて行きにけり    大倉悌志郎

あの人も人間ドックの盆休み      大平 睦子

従順になるしかないか野分来る     高井 百子

老象の背に砂かける残暑かな      谷川 水馬

八月や戦争のこと父母のこと      嵐田 双歩

クチボソの引きの強さや秋の空     中沢 豆乳

吊り橋を色なき風の吹き抜けり     中嶋 阿猿

ひと死する極暑に越ゆる古希の坂    中村 迷哲

その一球敗戦チーム夏終わる      藤野十三妹

美味しかつた脱脂粉乳敗戦日      横井 定利

《参加者》【出席】嵐田双歩、池村実千代、今泉而云、大澤水牛、大沢反平、岡田鷹洋、金田青水、澤井二堂、杉山三薬、鈴木好夫、高石昌魚、谷川水馬、堤てる夫、徳永木葉、中嶋阿猿、中村哲、星川水兎、水口弥生、向井ゆり。【投句参加】井上庄一郎、岩田三代、植村博明、大倉悌志郎、大平睦子、加藤明生、久保田操、高井百子、高橋ヲブラダ、中澤豆乳、旙山芳之、深田森太郎、藤野十三妹、政本理恵、横井定利。   (報告 嵐田双歩)

 

 

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