日俳・番喜・三四郎3句会合同蕪村生誕地と興福寺吟

総勢27人で淀川堤を散策、興福寺中金堂を仰ぐ

賑やかな連句会、メール句会も

4月21日(日)、22日(月)の両日、与謝蕪村の生誕地・大阪の旧毛馬村と奈良を訪ねる吟行会を日経俳句会、番町喜楽会合同で開催、三四郎句会にも参加を呼びかけて総勢27人の大規模行事が実現した。

昨年十月に落慶した興福寺中金堂を参拝して眼福を得、ついでに奈良吟行をしようというのが当初の目的であった。興福寺の訪問は、日経の『私の履歴書・多川俊映貫主(昨年十月連載)』を担当した中沢義則(豆乳)会長の伝手によるものでこれぞ絶好の機会。どうせ奈良に行くのなら、大坂に途中下車して蕪村の故地毛馬堤まで足を延ばそうと、大澤水牛顧問の提案で今回の旅となった。二日間とも好天に恵まれ、毛馬では堤防沿いに休日を楽しむ家族連れに交って歩き、蕪村生誕の碑、蕪村公園、淀川神社の蕪村像を見学した。スマホによると、この日の歩数は1万4千歩、ゴルフのワンラウンド並み。その夜は猿沢池畔の旅館「飛鳥荘」に泊まり、なんと連句会を開いて歌仙を巻いた・

翌22日は興福寺訪問。通常は非公開の本坊で薄茶とお菓子を頂き、多川貫首のお話を伺う。その後、新装なった中金堂から宝物館へと回り、天平の空気をたっぷり吸った。三四郎句会の面々と別れ、日俳・番喜両会メンバーは猿沢池畔に戻り蕎麦屋「季のせ」で、奈良の銘酒「春鹿」超辛口で乾杯、流れ解散となった。

参加者は日経俳句会、番長喜楽会から、嵐田双歩、須藤光迷、徳永木葉、廣田可升、大澤水牛、玉田春陽子、澤井二堂、岩田三代、植村博明、岡田鷹洋、片野涸魚、工藤静舟、田中白山、中村迷哲、中沢豆乳、山口斗詩子、堤てる夫、大下綾子、高井百子、向井ゆり、高橋ヲブラダの21人、三四郎句会から今泉而云、渡辺信、深瀬久敬、小泉基靖、後藤尚弘、竹居照芳の6人、計27人(順不同、敬称略)。   (報告 植村博明)

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蕪村生誕地・奈良興福寺吟行メール句会

吟行句会は慣例に従い、帰京後、嵐田双歩幹事に3句をメール送信し、幹事が編集した選句表を送信、参加者が5句選句して選評をつけて返信する「メール句会」方式で行った。

その結果、最高は今泉而云さんの「春愁を眉の辺りに阿修羅像」の10点句。次点は7点で廣田可升さんの「行く春の奈良の茶粥のかぐはしき」。三席は綾子さんの「うららかやシャンパンたこ焼き蕪村句碑」の6点。5点句は「毛馬橋を渡る春風手に句帳」(二堂)、「新駅に蕪村口あり木瓜の花」(可升)、「連衆の春は車座飛鳥荘」(双歩)、「奈良漬を土産に詰めて春暮るる」(博明)の4句。以下4点3句、3点12句、2点10句、1点19句と得点句がまんべんなく広がった。参加27人の代表句は以下の通り(上記の高得点句を除く)。

行く春や阿修羅の像に影二つ     嵐田 双歩

毛馬堤はるばると来てうまごやし   今泉 而云

淀川の風閉じ込めてシャボン玉    岩田 三代

老僧の振る舞ふ薄茶風青し      植村 博明

春の夢蕪村と歩む毛馬堤       大澤 水牛

長堤に機影間近し春惜しむ      大下 綾子

桜蕊こっそり抜ける連句会      岡田 鷹洋

千年の薫風のなか阿修羅像      片野 涸魚

春深し不比等の里の大伽藍      工藤 静舟

時を越え奈良の都の八重桜      小泉 基靖

春風や幾世に伝ふ盧舎那仏      後藤 尚弘

春愁ふ無着の像や興福寺       澤井 二堂

蒲公英の馬堤をゆるり一万歩     須藤 光迷

清明や中金堂の甦へり        高井 百子

晴天にたこ焼き食めば亀が鳴く    高橋ヲブラダ

揚げ雲雀見下ろす土手に蕪村の碑   竹居 照芳

貫首説く寺の有り様夏近し      田中 白山

鴟尾称え春たけなわの興福寺     玉田春陽子

花あせび貫首講話の大広間      堤 てる夫

藤の寺あぐらで喫す振舞茶      徳永 木葉

春闌けて五二段の菩薩坂       中沢 豆乳

春の市浪花言葉の売りと買ひ     中村 迷哲

釈迦弥勒薬師その後よもぎ餅     廣田 可升

還らずの毛馬蕪村碑にビール置き   深瀬 久敬

花水木千年先を語る僧        向井 ゆり

中金堂鴟尾輝きて春深し       山口斗詩子

はらはらと水面を埋める遅桜     渡邊  信

(報告 嵐田双歩)

 

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One Response to 日俳・番喜・三四郎3句会合同蕪村生誕地と興福寺吟

  1. omachi says:

    お腹がくちくなったら、眠り薬にどうぞ。
    歴史探偵の気分になれるウェブ小説を知ってますか。 グーグルやスマホで「北円堂の秘密」とネット検索するとヒットし、小一時間で読めます。北円堂は古都奈良・興福寺の八角円堂です。 その1からラストまで無料です。夢殿と同じ八角形の北円堂を知らない人が多いですね。順に読めば歴史の扉が開き感動に包まれます。重複、 既読ならご免なさい。お仕事のリフレッシュや脳トレにも最適です。物語が観光地に絡むと興味が倍増します。平城京遷都を主導した聖武天皇の外祖父が登場します。古代の政治家の小説です。気が向いたらお読み下さいませ。(奈良のはじまりの歴史は面白いです。日本史の要ですね。)

    読み通すには一頑張りが必要かも。
    読めば日本史の盲点に気付くでしょう。
    ネット小説も面白いです。

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