「花疲れ」満智、「海胆」水馬、木葉、「雑詠」は春陽子
番町喜楽会は、平成31年4月例会(通算第160回)を4月6日午後6時から東京・九段下の千代田区立生涯学習館で行った。兼題のひとつは「花疲れ」。丁度、桜は満開。北の丸公園などは家族連れや外国人などで大賑わいだった。もうひとつの兼題は「海胆」。「句会後の反省会が開かれる味さとで、刺身か焼き海胆が出るか」という期待は見事に空振りだったが、良い句が沢山出た。句会は投句5句、選句6句で行い、玉田春陽子さんの雑詠「潮の香をあげて目刺の反り返る」が6点でトップになった。続く5点に、今泉而云さんの「ぶらんこを漕ぎ東京へ飛んでいく」、斉山満智さんの「心地よくワインに溶ける花疲れ」、谷川水馬さんの「国訛り添へて焼き海胆売られをり」、徳永木葉さんの「海女舟の夫の引き綱海胆揚がる」の4句が並んだ。さらに4点句は、大澤水牛さんの「雲丹飯に萩の有磯の香りかな」と中村迷哲さんの「花疲れバスを待つ人みな無口」のわずか二つだけ。3点句も三つに止まり、3点以上が10句と少なく、2点が17句、1点が27句という具合に票が分散した。会員の句力向上により、切磋琢磨が激しさを増した、ということか。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。
「花疲れ」
心地よくワインに溶ける花疲れ 斉山 満智
花疲れバスを待つ人みな無口 中村 迷哲
花疲れ旅の土産の絵蝋燭 星川 水兎
気が付けば太鼓持ち役花疲れ 山口斗詩子
「海胆」
国訛り添へて焼き海胆売られをり 谷川 水馬
海女舟の夫の引き綱海胆揚がる 徳永 木葉
雲丹飯に萩の有磯の香りかな 大澤 水牛
「当季雑詠」
潮の香をあげて目刺の反り返る 玉田春陽子
ぶらんこを漕ぎ東京へ飛んでいく 今泉 而雲
流水に身を委ねゆく落椿 中村 迷哲
【参加者】(出席14人)嵐田双歩、大澤水牛、斉山満智、塩田命水、須藤光迷、高井百子、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永木葉、野田冷峰、廣田可升、前島幻水。(投句参加6人)池内的中、今泉而云、澤井二堂、中村迷哲、星川水兎、山口斗詩子。 (報告・須藤光迷)