日経俳句会第178回例会

 

「春燈」と「竹の秋」を詠む

青水さんの「若き一家来る」が第一席

 

日経俳句会は4月17日(水)、平成31年度4月例会(通算178回)を千代田区内神田の日経広告研究所会議室で開いた。四月に入って花冷えが続き、ようやく春めいたこの日、20人が出席(欠席投句15人)し、兼題の「春燈」と「竹の秋」の作品を中心に賑やかな合評会を繰り広げた。参加35人の104句から6句選(欠席選句は5句)で行った結果、一席は青水さんの「春の灯やとなりに若き一家来る」が8点。次席7点は、てる夫さんの「春燈やレッスン室の影ふたつ」、水兎さんの「宿下駄で降りる石段春燈」、木葉さんの「竹の秋片頬かげる摩崖仏」と而云さんの「春風を見てをり杖に手を重ね」の4句が並んだ。珍しく兼題句に高点句が揃った平成最後の句会となった。以下6点2句、5点4句、4点8句、3点9句、2点18句、1点32句だった。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「春燈」

春の灯やとなりに若き一家来る   金田 青水

春燈やレッスン室の影ふたつ    堤 てる夫

宿下駄で降りる石段春燈      星川 水兎

山峡に春燈ぽつり無人駅      井上庄一郎

春の燈や回覧板の行くところ    植村 博明

春燈や宿の図書室ひとり占め    大下 綾子

路地裏に三味の爪弾き春あかり   久保田 操

「竹の秋」

竹の秋片頬かげる摩崖仏      徳永 木葉

まんぷくのこども食堂竹の秋    野田 冷峰

大王の墳丘鎮め竹の秋       大沢 反平

鎮魂の旅の終りや竹の秋      中嶋 阿猿

廃線を抱くようにして竹の秋    藤野十三妹

窯元の並ぶ街道竹の秋       嵐田 双歩

ひと息に令和と書けり竹の秋    大下 綾子

残されし俳句手帳や竹の秋     高井 百子

にべもなく切れし電話や竹の秋   星川 水兎

「当季雑詠」

春風を見てをり杖に手を重ね    今泉 而云

田起こしや土黒々と命棲む     岩田 三代

風やはらか慣らし保育の涙跡    向井 ゆり

新しき朱の春帽子六地蔵      髙石 昌魚

うぐひすの呼ぶよ下総酒処     大澤 水牛

眠る田の畦をふちどり蓮華草    徳永 木葉

花散らし風は嘯くまた逢おう    藤野十三妹

散る花を頭に乗せて帰る道     植村 博明

平成の残りはわづか春惜しむ    加藤 明生

白蓮に色を重ねて春の雪      高井 百子

葉桜に急かれ露店の旅支度     中村 迷哲

花冷えや寄添ふ影に月明かり    流合研士郎

【参加者】(出席)嵐田双歩、井上庄一郎、今泉而云、岩田三代、大澤水牛、大沢反平、岡田鷹洋、澤井二堂、杉山三薬、鈴木好夫、高石昌魚、谷川水馬、堤てる夫、徳永木葉、中澤豆乳、中嶋阿猿、中村迷哲、野田冷峰、星川水兎、向井ゆり。(投句参加)池村実千代、植村博明、大下綾子、大平睦子、加藤明生、金田青水、久保田操、高井百子、高橋ヲブラダ、旙山芳之、流合研士郎、廣上正市、藤野十三妹、水口弥生、横井定利。     (報告 嵐田双歩)

 

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