日経俳句会第172回例会を開催

 

33人が「霧」と「赤蜻蛉」を詠む

「川蟹」水馬句が最高の9点

 

日経俳句会は平成30年度9月例会(通算172回)を9月19日(水)に千代田区内神田の日経広告研究所会議室で開いた。涼しい秋風に誘われるように18人が出席、鋭い句評や笑いに満ちた解釈があふれ、充実した句会となった。この夜の兼題は「霧」と「赤蜻蛉」。投句参加者を含め33人から99句の投句があり、5句選の結果、谷川水馬さんの「竹籠に騒ぐ川蟹霧の朝」が最高9点を獲得。次点の8点句には「おちこちに杉の尖りや霧の海」(而云)、「赤とんぼいろいろあつて独りつ子」(定利)、「頬杖の二つならびて星月夜」(水馬)の3句が並んだ。続く6点句は「秋寒し石鹸痩せて夜半の風呂」(阿猿)。さらに5点が5句あり、上位句に点が集中した印象を受けた。以下4点3句、2点13句、1点34句だった。兼題別の高得点句(3点以上)は以下の通り。

「霧」

竹籠に騒ぐ川蟹霧の朝         谷川 水馬

おちこちに杉の尖りや霧の海      今泉 而云

朝霧の盆地をうづめ湖と化す      井上庄一郎

奥日光霧の中より始発バス       中村  哲

この霧が味の秘密よ信濃蕎麦      大澤 水牛

川霧のゆるり流るる大地かな      堤 てる夫

箱根山霧の中から電車来る       澤井 二堂

五重の塔羽黒杉を霧奔る        水口 弥生

朝霧に九十九の谷均されし       向井 ゆり

「赤蜻蛉」

赤とんぼいろいろあつて独りつ子    横井 定利

原宿へ御苑生まれの赤とんぼ      大倉悌志郎

使徒の墓錆び付く格子赤蜻蛉      野田 冷峰

追いかけて追われて子らの赤とんぼ   水口 弥生

「当季雑詠」

頬杖の二つならびて星月夜       谷川 水馬

秋寒し石鹸痩せて夜半の風呂      中嶋 阿猿

人生は一世紀とか秋の蝉        徳永 木葉

洟かんで中を抜けたり秋の風      植村 博明

まだ来ない返信メール秋の風      嵐田 双歩

カザフスタン・スキタイ時代の古墳にて

秋風や黄金纏ひし男眠る        岩田 三代

雷去りて千年の杉匂ひ立つ       大倉悌志郎

泥まみれ子ら稲刈りの学習日      岡田 鷹洋

《参加者》(出席)嵐田双歩、池村実千代、今泉而云、岩田三代、大倉悌志郎、大澤水牛、岡田鷹洋、澤井二堂、杉山三薬、鈴木好夫、高石昌魚、堤てる夫、徳永木葉、中嶋阿猿、中村哲、野田冷峰、星川水兎、水口弥生。(投句参加)井上庄一郎、植村博明、大熊万歩、大沢反平、大平睦子、加藤明男、金田青水、久保田操、高橋ヲブラダ、谷川水馬、流合研士郎、廣上正市、藤野十三妹、向井ゆり、横井定利。   (報告・中村哲)

 

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