酔吟会第136回例会

 

「糸瓜コロン」は季語か否か

鷹洋さん、最高6点句と4点2句

 

酔吟会は9月8日(土)午後1時、東京・内神田の日経広告研究所会議室で、今年5回目の例会(通算136回)を開いた。兼題は「糸瓜」と「秋の暮」で、投句参加の5人を含めて計19人が参加した。7句選句のこの日の句会で脚光を浴びたのは、最高点の6点句に加えて三席4点句を2句と、出句5句の6割が高点という記録を作った岡田鷹洋さん。その最高点句は「糸瓜コロン母の香りの三畳間」だった。「糸瓜コロン」は商品名で、「季語たりえない」という指摘に、「糸瓜コロン」が大流行した時代に照らし、季語の機能はあるのではとの解釈も出て、中身の濃い合評会となった。

次席は玉田春陽子さんの「闇という舞台のありて風の盆」の5点句。三席4点句は、鷹洋さんの「いたわり合い手話の夫婦や遠花火」「秋うらら縄文女子は土偶の目」の2句と、星川水兎さんの「ぼやぼやと生きて糸瓜を見上げたり」の計3句、続く3点句は8句あった。高得点13句のうち、兼題の「秋の暮」の句は、廣田可升さんの「立て看板消えてキャンパス秋の暮」の1句のみに終わった。闘病中の谷川水馬さんは「調弦の音叉に応えきりぎりす」の3点句を飛ばした。次いで2点は15句、1点句は22句だった。兼題別、3点以上(「秋の暮」は2点以上)の高点句は次の通り。

「糸瓜」

糸瓜コロン母の香りの三畳間        岡田 鷹洋

ぼやぼやと生きて糸瓜を見上げたり     星川 水兎

母の居て妹の居て糸瓜棚          嵐田 双歩

へちまへちままたびりになる徒競走     大澤 水牛

「秋の暮」

立て看板消えてキャンパス秋の暮      廣田 可升

秋の暮れけふも一日家の中         大沢 反平

昨日今日鍵穴探る秋の暮          大平 睦子

灯のともる学童保育秋の暮れ        高井 百子

空気窓錆びた七輪秋の暮          谷川 水馬

「雑詠」

闇といふ舞台のありて風の盆        玉田春陽子

いたわり合い手話の夫婦や遠花火      岡田 鷹洋

秋うらら縄文女子は土偶の目        岡田 鷹洋

凄まじき全道停電秋の夜          嵐田 双歩

雉鳩の間のびして鳴く野分けあと      高井 百子

調弦の音叉に応えきりぎりす        谷川 水馬

芋の露風に仲間を集めけり         玉田春陽子

ままごとのように暮らして萩の花      星川 水兎

参加者(出席)嵐田双歩、今泉而云、大澤水牛、大沢反平、大平睦子、岡田鷹洋、片野涸魚、高井百子、玉田春陽子、堤てる夫、徳永木葉、廣田可升、野田冷峰、星川水兎、(投句参加)工藤静舟、久保田操、澤井二堂、谷川水馬、藤野十三妹(まとめ・堤てる夫)

 

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