21名参加で「長閑」と「草の芽」を詠む
番町喜楽会の平成30年3月例会(通算148回)は、5日午後6時半から、「長閑」と「草の芽」を兼題として東京・九段下の千代田区立生涯学習館で行われた。七福神吟行などの関係で一月は例会を見送ったので、この会場で顔を合わせるのは久々のこと。当日は生憎の雨に降られ、突風に見舞われもしたが、気温は20℃近くまで上昇、木々は緑の色を濃くしていた。
句会には17人が出席、投句参加は4人で、投句総数は101句。投句5句・選句6句で句会を行った結果、最高は玉田春陽子さんの「のどけしや下駄の裏干す山の宿」で8点。次席は5点で嵐田双歩さんの「やはらかな雨やはらかな草の芽に」、塩田命水さんの「のどけしや日向に猫の裏返り」、高井百子さんの「しばらくは摘まずにおこう蕗の薹」、前島幻水さんの「如月や兜太秩父へ帰りけり」の4句が並んだ。4点は2句、3点12句と佳句が続出した。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。
「長閑」
のどけしや下駄の裏干す山の宿 玉田春陽子
のどけしや日向に猫の裏返り 塩田 命水
長閑なり乳膨れたる山羊の声 高瀬 大虫
のどかさや平船渡る蔵の街 谷川 水馬
のどけしや空の牛舎に鳴るラジオ 玉田春陽子
長閑さや仔牛に肘を吸われをり 星川 水兎
「草の芽」
やはらかな雨やはらかな草の芽に 嵐田 双歩
草芽吹く音聞いている寝覚めかな 大澤 水牛
たのもしき芍薬の芽の太さかな 大澤 水牛
年長の子の歯の抜けて名草の芽 須藤 光迷
草の芽やあぜ道じわり色付きぬ 堤 てる夫
制服に光る校章名草の芽 徳永 木葉
「雑詠」
しばらくは摘まずにおこう蕗の薹 高井 百子
如月や兜太秩父へ帰りけり 前島 幻水
路地裏の着付け教室桃の花 大下 綾子
ちゃん付けで呼び合ふ婆や梅の園 谷川 水馬
住み家失せ施設に集ふ雛かな 高瀬 大虫
嘘一つ四つと重ね春の泥 徳永 木葉
大けやき天へ吸ひ上ぐ春の水 中村 哲
【参加者】(出席17人)嵐田双歩、池内的中、今泉而云、大澤水牛、大下綾子、塩田命水、須藤光迷、高井百子、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永木葉、中村哲、廣田可升、星川水兎、前島幻水、(投句参加4人)斉山満智、澤井二堂、高瀬大虫、野田冷峰
(報告・須藤光迷)