「春光」「若布」に36人投句、今泉、谷川、徳永、廣上四氏が7点句
春まだ浅い2月21日(水)、日経俳句会の平成30年度2月例会(通算166回)を千代田区内神田の日経広告研究所会議室で開いた。余寒続きで体調を崩したのか、風邪などで急遽欠席する人が多かったものの21人が出席し賑やかな句会となった。この日の兼題は「春光」と「若布」。投句参加者を咥え36人から107句の投句があり、5句選の結果、「春光やもう子分持つ四歳児」(而云)、「春光を瞳に宿し岬馬」(水馬)、「堰の水春の光になりにけり」(正市)、「み仏の千の手妖し春燈下」(木葉)の4句が7点で並んだ。次席は6点句の「椀の底病棟食の若布かな」(万歩)。5点句は「春光のカップルの横掛けてみる」(綾子)など6句と高点句に票がばらけた。以下、4点8句、3点7句、2点11句、1点26句だった。兼題別の高点句(三点句以上)は以下の通り。
「春光」
春光やもう子分持つ四歳児 今泉 而云
春光を瞳に宿し岬馬 谷川 水馬
堰の水春の光になりにけり 廣上 正市
古靴に春光入れて磨きおり 植村 博明
春光のカップルの横掛けてみる 大下 綾子
春光や隣の駅に都電見え 嵐田 双歩
春光やデイケアバスに保育バス 大澤 水牛
春光や挨拶交わす犬どうし 高橋ヲブラダ
脇道がおいでおいでと春の色 星川 佳子
春光やカーテン眩し退院日 大熊 万歩
春光や薩摩切子は万華鏡 高瀬 大虫
浦々の春望縫ひて五能線 中村 哲
「若布」
椀の底病棟食の若布かな 大熊 万歩
若布刈る大蝙蝠のやうに浮く 今泉 而云
新若布縄文人の如く噛む 中村 哲
老妻の酢若布褒めて仲直り 岡田 臣弘
若布売り訛り優しや輪島市 岡田 臣弘
三陸の磯の香立ちぬ若布汁 和泉田 守
熱き湯にほどけて若布エメラルド 岩田 三代
ひとつかみおまけの朝市若布売り 大倉悌志郎
房州の若布は怒涛が連れてくる 大沢 反平
「当季雑詠」
み仏の千の手妖し春燈下 徳永 木葉
ひと雨の物みな芽吹く匂ひかな 嵐田 双歩
風光る鯉と分け合ふパンの耳 橫井 定利
芽吹く木の根元は雪の洞深し 岩田 三代
余寒なほ郷(さと)の厠の二燭光 谷川 水馬
《参加者》(出席)=嵐田双歩、和泉田守、井上庄一郎、今泉而云、大倉悌志郎、大澤水牛、大沢反平、大下綾子、岡田臣弘、澤井二堂、高石昌魚、高瀬大虫、谷川水馬、堤てる夫、徳永木葉、中嶋阿猿、中村哲、野田冷峰、藤野十三妹、水口弥生、向井ゆり。(投句参加)池村実千代、岩田三代、植村博明、大熊万歩、大平睦子、加藤明男、金田青水、久保田操、杉山三薬、鈴木好夫、高橋ヲブラダ、流合研士郎、廣上正市、星川佳子、横井定利。
(報告 嵐田双歩)