日経俳句会第167回例会

 

32人で「春」と「公魚」を詠む

中村さん「竿の先」で最高9点、7点句に高橋さん「赤子の手」

 

日経俳句会の平成30年度3月例会(通算167回)が3月28日(水)、千代田区内神田の日経広告研究所会議室で開かれた。この日都内の桜が満開となり春本番。年度替わりを控え忙しい方も多く、出席は18人とやや少なかったが、別用で来合わせた酔吟会・番町喜楽会の玉田春陽子さんが飛び入りで加わり、和気あいあい春の宵に相応しい句会となった。

兼題は「春」と「公魚」。32人から96句の投句があり、5句選の結果、中村哲さんの「公魚のいのち震はす竿の先」が最高9点を獲得、髙橋ヲブラダさんの「春告げる風を掴まん赤子の手」が7点で続いた。6点句には中嶋阿猿さんの「なぜなぜと聞く子のつむじ春の宵」と谷川水馬さんの「お彼岸や祖母の名前はウメとタネ」が並んだ。このほか5点句に3句、4点句に7句、3点句に11句が入り、全体に点数がばらついた。兼題別の高得点句(3点以上)は以下の通り。

「春」

春告げる風を掴まん赤子の手    髙橋ヲブラダ

旅雑誌いくたびと繰る春の床    徳永 木葉

墨痕に虹色浮かぶ春一字      今泉 而云

歩き神しきりに誘ふ春なかば    大澤 水牛

枝先にまあるい春が着きにけり   大沢 反平

重ねたる春ほど花の名は知らず   杉山 三薬

「公魚」

公魚のいのち震はす竿の先     中村  哲

公魚やぴちぴち喋る中学生     髙石 昌魚

公魚の唐揚げ苦し辞令の日     中嶋 阿猿

公魚の白き命の踊りけり      加藤 明男

公魚や昼の立石コップ酒      金田 青水

公魚の看板寂し山の湖       杉山 三薬

公魚は空が恋しと釣られけり    徳永 木葉

「当季雑詠」

なぜなぜと聞く子のつむじ春の宵  中嶋 阿猿

お彼岸や祖母の名前はウメとタネ  谷川 水馬

だしぬけに友の訃報や寒戻り    髙石 昌魚

春の浜少し動いた砂模様      植村 博明

弥生富士仰いで四股を踏んでみる  岡田 臣弘

鳥帰るスワンボートが池を占め   澤井 二堂

苔庭に紅の斑(ふ)撒くや落椿   徳永 木葉

春愁や明治の玻璃に泡ひとつ    廣上 正市

嘘つきの恋人いとし朧月      藤野十三妹

まどろめばやさしき地球花むしろ  嵐田 双歩

鬼平の密偵の夜春の夜       鈴木 好夫

学食の春キャベツ添えオムライス  野田 冷峰

《参加者》(出席)嵐田双歩、今泉而云、大倉悌志郎、大澤水牛、大沢反平、岡田臣弘、澤井二堂、杉山智宥、鈴木好夫、谷川水馬、堤てる夫、徳永正裕、中嶋阿猿、中村哲、野田冷峰、星川水兎、向井ゆり、横井定利、玉田春陽子=番喜会。(投句参加)池村実千代、和泉田守、井上庄一郎、岩田三代、植村博明、大熊万歩、大平睦子、加藤明男、金田青水、久保田操、高石昌魚、高橋ヲブラダ、廣上正市、藤野十三妹。

(報告・中村哲)

 

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