「天高し」と「鰯」を詠む
水馬さん、9点句でトップ飾る
番町喜楽会は平成29年10月例会(通算144回)を10月7日(土)午後6時から九段下の割烹「味さと」で開催した。例会出席者は20名、投句参加2名、投句総数は109句。兼題は「天高し」と「鰯」で、投句5句、選句6句で句会を進めた結果、谷川水馬さんの「旅立ちのアサギマダラや天高し」が9点でトップに輝いた。また、中村哲さんの「手開きは妻の手ほどき鰯刺」の6点句が続いた。以下、5点句が3句、4点3句、3点9句、2点12句、1点37句という結果だった。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。
なお、今回から星川佳子さんが俳号を「水兎」とし、池内健治さんが「的中」と名乗ることを発表、また谷口命水さんは「塩田命水」と改名した。
「天高し」
旅立ちのアサギマダラや天高し 谷川 水馬
天かくも高きか琵琶湖ど真ん中 今泉 而云
秋高し野点の席に登山靴 玉田春陽子
天高し磨きあげたる靴の先 塩田 命水
天高し総帆展帆日本丸 大澤 水牛
騎馬戦の陣立てなれり天高し 須藤 光迷
海へ落つ能登の棚田や秋高し 須藤 光迷
天高し谷の底行く小海線 中村 哲
「鰯」
手開きは妻の手ほどき鰯刺 中村 哲
人に生れ鰯に生れてつみれ汁 今泉 而云
鰯煮る潮引くように同期逝き 須藤 光迷
ぴちぴちと朝の汀(みぎわ)の鰯かな 高瀬 大虫
群れ鰯竜巻となる水族館 徳永 正裕
「雑詠」
腹立てしこと薄れゆく良夜かな 嵐田 双歩
川風に絮泳がせて藤袴 谷川 水馬
秋雨をさけて駅舎のつがい鳩 池内 的中
荷を降ろし下る坂道秋楽し 齊山 満智
《参加者》【出席20人】嵐田双歩、池内的中、井上啓一、今泉而云、大澤水牛、齊山満智、塩田命水、須藤光迷、高井百子、高瀬大虫、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永正裕、中村哲、野田冷峰、廣田可升、星川水兎、前島幻水。【投句参加二人】澤井二堂、山口斗詩子。
(報告・谷川水馬)