日経俳句会第162回例会

 

「秋風」と「曼殊沙華」を詠む

8点句3人をはじめ高得点句目白押し

 

日経俳句会の平成29年9月例会(通算162回)は9月20日(水)午後6時半から、千代田区内神田の日経広告研究所会議室で開かれた。台風18号が残暑を運び去り、涼しい風に誘われるように22人が出席(投句参加13人)、高得点句続出で合評会は秋の夜長に熱く盛り上がった。

兼題は「秋風」と「曼殊沙華」。投句総数105句、5句選の結果、大熊万歩さんの「封印の郵便受けや曼珠沙華」と岡田臣弘さんの「友逝きてひとり烏鷺置く秋の夜」、徳永正裕さんの「秋蝶を追ふ目の優し車椅子」の3句が最高8点で並んだ。次いで植村博明さんの「赤銅の警備員ゐて秋の風」が7点を獲得、6点句には藤野十三妹さんの「曼珠沙華燃ゆる真中に石舞台」と向井ゆりさんの「曼珠沙華遺品整理の嫁二人」が入った。このほか5点に5句、4点に5句、3点8句と続いた。兼題別の高得点句(3点以上)は以下の通り。

「秋風」

赤銅の警備員ゐて秋の風         植村 博明

秋風や棚田は海になだれ落ち       嵐田 双歩

落書きのかすれしハート秋の風      大熊 万歩

秋風に大口開けて寺の門         今泉 而云

わが影にふと老い見たり秋の風      大倉悌志郎

秋風を探して百段登りきる        大沢 反平

ふうふうと犬の毛動く秋の風       鈴木 好夫

まばらなる回転木馬秋の風        星川 佳子

仏壇のバーゲンセール秋の風       横井 定利

「曼殊沙華」

封印の郵便受けや曼珠沙華        大熊 万歩

曼珠沙華燃ゆる真中に石舞台       藤野十三妹

曼珠沙華遺品整理の嫁二人        向井 ゆり

へなへなと笑ふ羅漢や曼珠沙華      嵐田 双歩

野仏の赤き台(うてな)や曼殊沙華         中村  哲

合はす手の赤いマニキュア曼殊沙華    水口 弥生

曼珠沙華棚田に浄土現るる        中嶋 阿猿

曼珠沙華積み上げられし無縁墓      星川 佳子

曼珠沙華不知火型のせり上がる      大下 綾子

曼珠沙華見頃を告げる車内吊り      野田 冷峰

「当季雑詠」

友逝きてひとり烏鷺置く秋の夜      岡田 臣弘

秋蝶を追ふ目の優し車椅子        徳永 正裕

午前二時ピタリ鳴き止む虫の声      久保田 操

秋の日のすとんことんと落ちにけり    嵐田 双歩

爽やかや野鍛冶に生きて八十年      大倉悌志郎

《参加者》(出席)嵐田双歩、池村実千代、井上庄一郎、今泉而云、大澤水牛、大沢反平、岡田臣弘、澤井二堂、杉山智宥、鈴木好夫、高石昌魚、高瀬大虫、谷川水馬、堤てる夫、徳永正裕、直井正、中村哲、野田冷峰、藤野十三妹、水口弥生、向井ゆり、横井定利。(投句参加)岩田三代、植村博明、大熊万歩、大倉悌志郎、大下綾子、大平睦子、加藤明男、金田靑水、久保田操、高橋ヲブラダ、中嶋阿猿、廣上正一、星川佳子。

(報告・中村哲)

 

 

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