参加34名で「春深し」「山吹」を詠む
日経俳句会の平成29年度4月例会(通算158回)は、4月19日(水)、千代田区内神田の日経広告研究所会議室で19人が出席して開かれた。春先は何かと気ぜわしいのか欠席者が15人とやや多かったものの、投句数は34人から167句が揃い、賑やかな句会となった。また、中村哲さんの紹介で向井ゆりさんが初参加。この日は見学だけだったが、次回から例会に加わる。
兼題は「春深し」と「山吹」。7句選(欠席選句5句)の結果、星川佳子さんの「オルガンのはじめは空気春の昼」が最高の8点を獲得。二席は今泉而云さんの「頬に指当てて菩薩の春深し」と大熊万歩さんの「遅れたる時計そのまま春深し」が7点で並んだ。三席は、岩田三代さんの「春更けて庭打つ雨のやはらかき」と大沢反平さんの「山吹や昔富農の門朽ちて」が5点。以下、4点7句、3点12句、2点22句、1点39句だった。
次回からの投句数について会員の意向を確認したところ、満場一致で3句投句が決まった。5月例会からは、投句数を兼題句各1句と雑詠1句の計3句とする。
兼題別の高点句(3点句以上)は以下の通り。
「春深し」
頬に指当てて菩薩の春深し 今泉 而云
遅れたる時計そのまま春深し 大熊 万歩
春更けて庭打つ雨のやはらかき 岩田 三代
首タオル外す掃除夫春深し 植村 博明
花々のむくろ掃き寄せ春更ける 德永 正裕
春深し役者めざしし友いずこ 藤野十三妹
春深し蘇州河畔にニ胡わたる 岡田 臣弘
春深し退職の身の居場所なく 中村 哲
夕されば門灯とろり春深し 水口 弥生
春深し西郷どんの疲れ顔 橫井 定利
春深しゴールデン街夫婦猫 橫井 定利
「山吹」
山吹や昔富農の門朽ちて 大沢 反平
山峡に十軒の屋根濃山吹 廣上 正市
すり抜ける犬の背をうつ濃山吹 星川 佳子
山吹の一枝部屋を照らしをり 岩田 三代
山吹をかざしに雨の野の仏 大倉悌志郎
濃山吹谷戸に小判を撒きにけり 高瀬 大虫
江ノ電の山吹揺らし過ぎにけり 高瀬 大虫
「当季雑詠」
オルガンのはじめは空気春の昼 星川 佳子
春の川アルプス溶かし白濁す 岩田 三代
菜を洗ふ水の軽さよ風光る 岡田 臣弘
野や山の春の苦味をピザにのせ 德永 正裕
花吹雪乗客となる無人駅 中村 哲
花冷や四谷の濠の水明り 水口 弥生
参加者(出席)=嵐田双歩、井上庄一郎、今泉而云、岩田三代、大倉悌志郎、大澤水牛、大沢反平、岡田臣弘、澤井二堂、杉山智宥、鈴木好夫、高石昌魚、髙瀨大虫、谷川水馬、堤てる夫、徳永正裕、中嶋阿猿、中村哲、星川佳子、向井ゆり(見学)
(投句参加)池村実千代、植村博明、大熊万歩、大平睦子、加藤明男、金田青水、久保田操、高橋ヲブラダ、直井正、野田冷峰、藤野十三妹、廣上正市、水口弥生、村田佳代、横井定利
(まとめ・嵐田双歩)