日経俳句会第153回例会

 

星川さんのシャンプー句が7点でトップ

二堂さん、友のノーベル賞大隅さんを詠む

 

日経俳句会は10月19日(水)、千代田区内神田の日経広告研究所会議室で十月例会(通算153回)を開いた。兼題の「秋の日」に相応しい好日とあって、出席は23人(投句参加者9人)と賑やかな句会となった。席上、澤井二堂さんの句「基礎科学楽しむ友にノーベル賞」で、今年のノーベル賞を受賞した大隅良典さんが二堂さんの学友だと判明。この句で、日経俳句会はノーベル賞を秋の季語とみなすことになった。

7句選(欠席選句5句)の結果、最高点は7点で星川佳子さんの「龍勢吟行」での嘱目「みな同じシャンプーの香や秋の宿」が選ばれ、次席の6点は岡田臣弘さんの「浜風をたてがみで聴く秋の馬」と須藤光迷さんの「綾取りの老と幼の十三夜」の2句。続く5点は大倉悌志郎さんの「われは喜寿傘寿の君に今年酒」が選ばれた。4点は「巫女舞ひて鈴音わたる秋日かな」研士郎、「新酒汲む裏目にでたる日も暮れむ」佳子、「工場の狭間といへど稲の秋」綾子、「藁塚に日暮れを知らぬ隠れ鬼」水馬、「日銀の屋根蒼蒼と十三夜」定利の5句。

4点以上の句が少なかった反面、3点がなんと20句もあり、2点32句、1点38句と続き、実力伯仲で高得点が出にくい傾向が顕著だった。 高点句(3点句以上)は以下の通り。

「秋の日」

巫女舞ひて鈴音わたる秋日かな   流合研士郎

秋の日の靴の色数保育園      今泉 而云

窓広き個展会場秋日和       大熊 万歩

秋入日毛虫も急ぐ遊歩道      杉山 智宥

秋の日の軽ろき手桶や女坂     谷川 水馬

能登の海秋の日まさに溺れゆく   直井  正

秋の日や肺呼吸する幸せよ     中嶋 阿猿

秋の日やバスの座席の温かさ    中嶋 阿猿

組体操影も胸張る秋日かな     中村  哲

足音の絶えて秋日の百貨店    流合研士郎

古本の背を滑り落つ秋日かな    流合研士郎

「新酒」

われは喜寿傘寿の君に今年酒    大倉悌志郎

新酒汲む裏目にでたる日も暮れむ  星川 佳子

困民のはかなき夢や古酒新酒    嵐田 双歩

ともかくも傘寿を迎へ今年酒    大倉悌志郎

喜寿一つ越えて一献新走り     大沢 反平

星の色宿す瓶より新走り      大下 綾子

新酒です注がれて下戸と言い出せず 杉山 智宥

片小鼻かすかにひくと新走り    金田 青水

「当季雑詠」

みな同じシャンプーの香や秋の宿  星川 佳子

浜風をたてがみで聴く秋の馬    岡田 臣弘

綾取りの老と幼の十三夜      須藤 光迷

工場の狭間といへど稲の秋     大下 綾子

藁塚に日暮れを知らぬ隠れ鬼    谷川 水馬

日銀の屋根蒼蒼と十三夜      橫井 定利

花街の紅さす地蔵秋ざくら     大倉悌志郎

もう二度と駆けぬデゴイチ赤とんぼ 大下 綾子

萩こぼる咳(しわぶき)ひとつ座禅堂      須藤 光迷

秋霖に千古を想う高麗の郷     中村  哲

 

参加者(出席)=嵐田双歩、池村実千代、井上庄一郎、今泉而云、大倉悌志郎、大澤水牛、大沢反平、大下綾子、岡田臣弘、澤井二堂、杉山智宥、須藤光迷、高石昌魚、髙瀨大虫、谷川水馬、堤てる夫、徳永正裕、直井正、中村哲、野田冷峰、藤野十三妹、星川佳子、水口弥生

(投句参加)植村博明、大熊万歩、大平睦子、金田青水、久保田操、高橋ヲブラダ、中嶋阿猿、流合研士郎、廣上正市、横井定利

(まとめ・嵐田双歩)

 

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