日経俳句会は4月16日(水)午後6時半から鎌倉橋交差点傍の日経広告研究所会議室で、平成26年第4回例会(通算128回)を開いた。
兼題は「鳥帰る(とりかえる)」「紫雲英(げんげ)」で、投句総数は153句。7句選句の結果、最高は9点で、大熊万歩さんの「跳ね橋の高く開きて鳥帰る」と大澤水牛さんの「げんげ田は疎開の村の涙道」の2句。次席8点は嵐田啓明さんの「紫雲英田の土手の向うに秘密基地」の1句。三席も嵐田さんで「鳥帰る甲斐は西から雨模様」の6点句。続く5点は、植村博明さんの「鳥帰る学校の上雲の下」と星川佳子さんの「牛乳の表面張力四月かな」の2句。以下、4点が9句、3点20句、2点17句、1点27句と続いた。
この例会から毎月第3水曜日開催へ変更になり、火曜日開催には出席出来なかった鈴木好夫さんが久方ぶりに姿を見せ、4点句の「快打」を飛ばした。
兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。
「鳥帰る」
跳ね橋の高く開きて鳥帰る 大熊 万歩
鳥帰る甲斐は西から雨模様 嵐田 啓明
鳥帰る学校の上雲の下 植村 博明
湯の宿の古き手すりや鳥帰る 今泉恂之介
鳥帰る大王イカは不意の客 杉山 智宥
鳥帰りスワンボートの滑る池 高石 昌魚
その先に吾が故郷在り鳥帰る 高瀬 大虫
鳥帰る遠き日のことみな許せ 野田 冷峰
鳥帰る船団戻りし三崎港 吉野 光久
くだ巻くや鳥はあらかた帰りしに 大澤 水牛
鳥帰る二、三羽残る湖静か 加藤 明男
山好きの友の旅立ち鳥帰る 高石 昌魚
隊列の幾何学模様鳥帰る 高石 昌魚
鳥帰るあけぼの惜しむ上野駅 徳永 正裕
鳥帰る空に墨絵を描きつつ 藤野十三妹
「紫雲英」
げんげ田は疎開の村の涙道 大澤 水牛
紫雲英田の土手の向うに秘密基地 嵐田 啓明
限界村まぼろしのごと紫雲英咲く 鈴木 好夫
幼くも好きな人いて紫雲英摘む 高瀬 大虫
れんげ草棚田一枚隠しけり 徳永 正裕
げんげんの草汁まみれ膝小僧 嵐田 啓明
げんげ畑目標にして熱気球 大熊 万歩
げんげ田に蜂の羽音と眠りけり 大倉悌志郎
げんげ野を入鹿の首が飛んでゆく 大澤 水牛
ふりかぶる鍬の光や紫雲英さく 須藤 光迷
紫雲英田を揺らし過ぎゆく湖西線 須藤 光迷
紫雲英田の遠きとこほど濃く見えり 星川 佳子
げんげ田の跡形もなくレストラン 山田 明美
げんげんや娘三人嫁がせし 横井 定利
げんげ摘む後ろの正面だ~あれ 吉野 光久
「雑詠」
牛乳の表面張力四月かな 星川 佳子
花篝果てたる後の深き闇 大熊 万歩
花を愛で松に見惚れる皇居かな 徳永 正裕
天平の毛彫りの仏春の雨 田中 頼子
走り根に躓けば散るさくらかな 廣上 正市
参加者(出席)嵐田啓明、井上庄一郎、今泉恂之介、植村博明、大倉悌志郎、大澤水牛、大沢反平、岡田臣弘、澤井二堂、杉山智宥、鈴木好夫、須藤光迷、高石昌魚、高瀬大虫、高橋ヲブラダ、田中頼子、堤てる夫、徳永正裕、野田冷峰、廣上正市、藤野十三妹、星川佳子、横井定利(選句参加)大平睦子(投句参加)池村実千代、大熊万歩、加藤明男、金田青水、久保田操、直井正、山田明美、吉野光久 (まとめ・堤てる夫)