日経俳句会第118回例会

日経俳句会は4月16日(火)午後6時半から鎌倉橋交差点傍の日経第二別館会議室で、平成25年第4回例会(通算118回)を開いた。首都圏の桜はソメイヨシノが盛りを過ぎて八重桜の目立つ頃となった。兼題は「春惜しむ(はるおしむ)」「柳(やなぎ)」で、投句総数は180句。出席者は21人、投句参加が16人。この日、新入会員の北沢淳氏(日経産業地域研究所勤務)が初参加、早速投句、選句にデビューした。

選句7句で句会を進めた結果、最高は大倉悌志郎さんの「春惜しむ一日切符で荒川線」の8点。次席は6点で、大熊万歩さんの「花の名を一つ覚えて春惜しむ」、田中頼子さんの「糸柳やはらかく眉ひきにけり」、水口弥生さんの「オルガンの惜春の音や奏楽堂」の3句が並んだ。続く5点は、野田冷峰さんの「一行の看護日誌や春惜しむ」「その昔川なる土手の柳かな」の2句と、大下綾子さんの「カーテンを洗ひて干して春惜しむ」、吉野光久さんの「芽柳や雨のしづくのうすみどり」の計4句。次いで4点9句、3点12句で、3点以上の高点句が29句も出た。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

 

「春惜しむ」

春惜しむ一日切符で荒川線    大倉悌志郎

花の名を一つ覚えて春惜しむ   大熊 万歩

オルガンの惜春の音や奏楽堂   水口 弥生

カーテンを洗ひて干して春惜しむ 大下 綾子

一行の看護日誌や春惜しむ    野田 冷峰

春惜しむわが道を行く万歩計   井上庄一郎

遺句集に栞はさみて春惜しむ   今泉恂之介

春惜しむ五人になりし同級生   大澤 水牛

齢に合ふ歩数を重ね春惜しむ   高石 昌魚

ふと妻の手に触れ春を惜しみけり 嵐田 啓明

何したと記憶も残らぬ春惜しみ  来間  紘

春惜しむ銀座にどつこい三州屋  杉山 智宥

知床に百花の春を惜しみけり   徳永 正裕

老舗消ゆ神田界隈春惜しむ    水口 弥生

 

「柳」

糸柳やはらかく眉引きにけり   田中 頼子

その昔川なる土手の柳かな    野田 冷峰

芽柳や雨のしづくのうすみどり  吉野 光久

一塁の柳に駈けしゴロ野球    今泉恂之介

閉店の知らせ小さき柳かな    横井 定利

夕ざれて屋根掃く柳蔵の町    水口 弥生

耳遠く柳に風の会話かな     大石 柏人

柳かげ掻揚げ橋善ありし処    大澤 水牛

いにしへの蘇州運河や柳絮舞ふ  岡田 臣弘

新調の眼鏡にゆらぐ青柳     久保田 操

皇宮とビル街分かつ柳かな    徳永 正裕

 

「雑詠」

春深し電車が地下に消えし街   杉山 智宥

故郷なる川をたがはず上り鮎   吉野 光久

さざ波や春過ぎてゆく池の上   今泉恂之介

初花や父退院の日の決まる    大倉悌志郎

 

参加者(出席)池村実千代、今泉恂之介、植村博明、大澤水牛、大平睦子、岡田臣弘、北沢淳、来間紘、佐々木碩、杉山智宥、高石昌魚、高橋淳、田中頼子、堤てる夫、徳永正裕、直井正、野田冷峰、廣上正市、星川佳子、山田明美、横井定利(投句参加)嵐田啓明、井上庄一郎、大石柏人、大熊万歩、大倉悌志郎、大沢反平、大下綾子、加藤明男、金田青水、久保田操、澤井二堂、須藤光迷、高瀬大虫、藤野十三妹、水口弥生、吉野光久

(まとめ・堤てる夫)

 

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