日経俳句会第113回例会

日経俳句会は10月17日(水)午後6時30分から内神田・鎌倉橋交差点傍の日経第二別館(MIFビル)8階会議室で、平成24年度第9回例会(通算113回)を開いた。兼題は「夜なべ(よなべ)」「花野(はなの)」で35会員から171句の投句があった。7句選句で句会を進めた結果、佐々木碩さんの「雲の行くその影も行く大花野」が最高の14点を得た。銀鴎・水木会合同後の最高点記録。徳永正裕さんの「ただいまの声木犀の香を運び」が9点で次席。三席は植村博明さんの「車椅子そつと追い越す花野道」の7点句。続く5点句は、大倉悌志郎さんの「縄電車気ままに停まる花野かな」、大沢反平さんの「牛追ひの峠越えれば大花野」、正裕さんの「はやぶさのネジ生む夜なべ町工場」、吉野光久さんの「その先は花野につづく線路跡」の4句が並んだ。4点句は11句、3点句9句。

日経俳句会の創設者である故村田英尾先生の息女の村田佳代さんが入会され、この日は手始めに選句に加わった。

兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

 

「夜なべ」

はやぶさのネジ生む夜なべ町工場      徳永 正裕

溜息や夜なべして書く顛末書        嵐田 啓明

糸通し頼みし祖母の夜なべかな       井上庄一郎

夜なべの灯ビルに積み上げ副都心      佐々木 碩

夜なべ終へ坦々麺の心地かな        澤井 二堂

宿題や夜なべの母のそばにゐて       高石 昌魚

度の合はぬ眼鏡外して夜なべかな      高瀬 大虫

縄を綯ふ夜なべの昔資料館         徳永 正裕

夜なべして機織る影の鶴に似て       大倉悌志郎

刺し子縫ふひと針ずつの夜なべかな     田中 頼子

母夜なべまるく七人家族かな        堤 てる夫

夜なべする母の面影昭和の日        直井  正

コンビニのプリン夜なべの小休止      星川 佳子

 

「花野」

雲の行くその影も行く大花野        佐々木 碩

車椅子そつと追ひ越す花野道        植村 博明

縄電車気ままに停まる花野かな       大倉悌志郎

牛追ひの峠越えれば大花野         大沢 反平

その先は花野につづく線路跡        吉野 光久

難聴の友の福耳花野風           嵐田 啓明

一坪に七種植えてわが花野         大澤 水牛

村あげて花野の中の草競馬         大熊 万歩

花野さきバスの小さく通りけり       井上庄一郎

当てどなくさ迷ふがよし大花野       大倉悌志郎

花野往く芭蕉と曾良の古りし杖       藤野十三妹

 

「雑詠」

ただいまの声木犀の香を運び        徳永 正裕

ドーナツを片目でのぞき秋高し       星川 佳子

蟷螂の鎌をもたげて轢かれけり       嵐田 啓明

 

参加者(出席)嵐田啓明、池村実千代、井上庄一郎、今泉恂之介、大倉悌志郎、大澤水牛、岡田臣弘、高橋淳、来間紘、佐々木碩、澤井二堂、杉山智宥、鈴木好夫、高石昌魚、高瀬大虫、田中頼子、堤てる夫、徳永正裕、直井正、流合研士郎、廣上正市、星川佳子、横井定利(選句のみ参加)村田佳代(投句参加)植村博明、大石柏人、大熊万歩、大沢反平、大下綾子、大平睦子、金田青水、久保田操、野田冷峰、藤野十三妹、山田明美、吉野光久

(まとめ・堤てる夫)

 

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