番町喜楽会は4月14日(土)午後1時から千代田区五番町の「鮨之家」で、第79回例会を開いた。定例会場としている「九段生涯学習館」の手当てが付かなかったため、句会後の懇親会場に使うことが多い寿司屋での例会となった。春驟雨をついての出席者は17人で、大広間を細長く仕切った一角、掘り炬燵式のテーブルをぐるりと囲んで一杯いっぱい。職務繁多で1年ほどご無沙汰だった和田沙羅さんがこの輪に加わった。
兼題は「木の芽和(きのめあえ)」と「鰆(さわら)」で、事前投句方式で用意された選句表に登載されたのは90句。6句選句の結果、最高は「襟足にほくろ見つける花衣」の7点句。「いやですね、男のひとは」など声高な講評が飛び交ったが、作者は星川佳子さん。その星川さんが「上へ上へ桜散るなりビル谷間」の句で次席6点、すっかり賑やかな席となった。3席は5点で笹本塘外さんの「箸先になほ春の香や木の芽和」と、玉田春陽子さんの「壁際に手酌の男木の芽和」の2句。
続く4点は5句、3点5句で次の通り。
「4点句」
客途切れ陶芸展の日永かな 大澤 水牛
刀紋の凄み背負ひし鰆かな 谷川 水馬
歳月を語らふ夫婦木の芽和 徳永 正裕
木の芽和え船宿に雨あがりたる 野見山恵子
水打つて斑の際立てり銀鰆 野見山恵子
「3点句」
初蝶や聖アンデレのミサの鐘 大澤 水牛
定食屋鰆味噌漬け酒一合 高橋 楓子
品書きのいの一番の鰆かな 玉田春陽子
魚久の鰆到来酒支度 徳永 正裕
鰆焼く隣の猫と眼が合ひぬ 星川 佳子
参加者(出席)井上啓一、今泉而雲、岩沢克恵、大澤水牛、笹本塘外、須藤光迷、高井百子、高瀬大虫、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永正裕、野田冷峰、野見山恵子、星川佳子、前島巌水(投句参加)加沼鬼一、高橋楓子(選句のみ参加)和田沙羅
(まとめ・堤てる夫)