12月3日(土)午後1時から千代田区二番町の番町ハイム会議室で平成23年締めくくりの番町喜楽会例会(通算75回)が開かれた。この日の出席者は井上啓一、今泉而雲、岩沢克恵、大澤水牛、笹本塘外、須藤光迷、高井百子、高瀬大虫、高橋楓子、谷川透、玉田春陽子、徳永正裕、星川佳子、前島厳水、三好六甫、山口詩朗の16人。脳動脈瘤手術で入院中の堤てる夫が難手術を見事乗り越え、元気に投句した上、事前選句表をもらって選句・講評も寄せる熱心さで特別参加、野田冷峰も投句参加した。
投句5句選句6句で句会を行った結果、9点という近来珍しい高点句が生まれた。徳永正裕さんの「還らざる連隊の跡冬桜」である。次席は5点で星川佳子さんの「遊郭のありし路地とや冬桜」の1句。次いで4点が「寂として参道広し冬桜 塘外」「暖冬の予報に安堵予後の妻 正裕」「葱噛んでつるりと熱くても独り 而雲」の3句。以下、3点7句、2点16句、1点23句と続いた。
句会後、場所を市ヶ谷駅そばの鮨割烹「鮨之家」に移し、忘年会を兼ねて恒例の番町連句会を開催した。発句はこの日の最高点句「還らざる連隊」。皆々アルコールの勢いも借りて超スピードで付け合い、お開きまでに30句までつなげてしまった。
第七十五回例会で三点以上獲得した句は以下の通り。
「冬温し」
暖冬の予報に安堵予後の妻 徳永 正裕
ほどほどを忘るる酔ひや冬温し 玉田春陽子
「冬桜」
還らざる連隊の跡冬桜 徳永 正裕
遊郭のありし路地とや冬桜 星川 佳子
寂として参道広し寒桜 笹本 塘外
透明な空気の泡や冬桜 高瀬 大虫
冬桜声をうしなひ談志逝く 三好 六甫
もう気張ることもあるまじ冬桜 大澤 水牛
「雑詠」
葱噛んでつるりと熱くても独り 今泉 而雲
冬茜クレーン越しなる富士の山 堤 てる夫
年の暮れ茶絶ち酒絶ち手術室 堤 てる夫
寒鰤や物産展の国訛り 高橋 楓子