酔吟会の平成23年度第4回例会(通算94回)は、9月10日(土)午後1時から、内神田・鎌倉橋交差点そばの日経第二別館8階会議室で開かれた。
台風12号が日本列島に大雨を降らせ大きな被害をもたらしたが、それが去ってこの日は朝からうだるような酷暑が戻ってきた。それにもかかわらず、15人もの会員が出席し、いつも通り活発な議論の句会となった。投句参加は4人だった。
出席者は今泉恂之介、大石拍人、大澤水牛、大沢反平、大平昭生、岡田臣弘、金指正風、黒須烏幸、澤井二堂、堤てる夫、徳永正裕、藤村詠悟、星川佳子、山口詩朗、吉野光久の各氏。投句参加は片野涸魚、田村舟平、野田冷峰、藤野十三妹の各氏。
兼題は「霧」と「新蕎麦」、投句は五句、選句七句で句会を行った。その結果、最高点は五点で一句、次いで四点が五句。三点が六句、二点が二十句、一点句が二十一句と分散した。兼題別の三点以上獲得句は次の通り。
「霧」
朝霧の中からぬっと牛の顔 片野 涸魚
朝霧や長江下りいざ発たん 金指 正風
「新蕎麦」
新蕎麦や水ほとばしる馬籠宿 吉野 光久
御岳の風に実の入る走り蕎麦 今泉恂之介
新蕎麦や腹に雲巻く大浅間 大沢 反平
新蕎麦や常の暮らしの有り難く 金指 正風
新蕎麦や余震続きの北の国 大澤 水牛
「雑詠」
落鮎や来年も生きると喜寿の妻 大沢 反平
落蝉を拾へばジジと鳴きにけり 片野 涸魚
端座して墨する朝の蝉しぐれ 大石 拍人
葛のつる道に這ひ出る残暑かな 片野 涸魚
今が惜しつくづく惜しと蝉挽歌 藤野十三妹
(澤井二堂記)