日経俳句会のビッグイベント「逆回り奥の細道」吟行は二年目に入った。第三回は二十人が参加し、越後路をマイクロバスでにぎやかに巡った。
4月18日(日)朝、上越新幹線で出発、越後湯沢から「ほくほく線」特急に乗り換え、さらに糸魚川で鈍行に乗換え、「市振」にたどり着く。市振は芭蕉が「奥の細道」で詠んだ「一つ家に遊女も寝たり萩と月」であまりにも有名な所だが、今はひっそりとした漁村。
ここをスタートして能生、出雲崎を回り、弥彦温泉まで、北陸の海岸線を170km突っ走った。弥彦村では日経俳句会会員で、日経退社後、故郷に戻って米作りに励む小林豊彦さんの築二百数十年という豪壮な屋敷を訪問、美味い地酒とノビルにコンニャク、コシヒカリの握り飯などを馳走になる。
翌19日(月)は弥彦神社を参拝、ケーブルカーで弥彦山山頂に登り、カタクリやエンレイソウなどが咲き乱れる山道を散策、寺泊漁港を経由して帰京。参加者一同佳句を続々生んだ。
越後路に今年二度目の桜かな 佳 子
市振に桜あふれて駅無人 てる夫
一つ家のありし町並み春祭り 庄一郎
市振や袖触れ合うて春祭り 冷 峰
海猫の鳴き声空へ春の海 明 男
親不知石丸くなり春の海 二 堂
能を継ぐ子の紋付や紅桜 光 迷
良寛の細きおとがい春うらら 水 牛
行く春の雲とも見ゆる佐渡島 恂之介
春霞フェリーの先に佐渡島 好 夫
良寛像背に望む佐渡霞をり 昌 魚
蕉翁の句碑に寄り添う二輪草 頼 子
花の下翁の句碑の百五段 柏 人
春霞ここらは拉致のありし浜 智 宥
能登瓦艶めく先の春の海 光 久
山遠く春田四角き越後かな 正 市
雪解水大河を分かち小濁り 正 裕
かたくりの待つところまで春泥を 綾 子
かたくりの群れを分け入る弥彦山 守