日経俳句会第245回例会

 

迷哲句「五日の顔」が16点

二席に千虎句「女は度胸」、36人が「新年」を詠む

日経俳句会は令和8年1月例会(通算245回)を1月18日(日)午後2時から鎌倉橋の千代田区立スポーツセンター集会室で開いた。暖かい日差しに誘われて顔を揃えたのは9人。入会希望で見学に訪れた安彦(あびこ)真弓さんも選句に加わり、初句会らしい華やぎのある句座となった。安彦さんは日経の事業企画室に勤務する現役社員で、二月例会から正式加入の見通し。この日の兼題は「新年一般」。36人から108句の投句があり、六句選(欠席は五句)の結果、中村迷哲さんの「ネクタイを締めて五日の顔となる」が16点を集めて断トツの首位となった。二席は岩田千虎さんの「初春や女は度胸丙午」が9点で続き、三席7点には中嶋阿猿さんの「餅つきを遠くから見る反抗期」が入った。このほか6点1句、5点6句、4点9句、3点8句がひしめく混戦で、高点句が27句を数えた。以下、2点19句、1点24句だった。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「新年一般」

ネクタイを締めて五日の顔となる          中村 迷哲

初春や女は度胸丙午                岩田 千虎

幼子も見様見真似の初詣              和泉田 守

百年の籠に生けたる寒椿              池村実千代

お雑煮のおかわり楽し大家族            池村実千代

新春の門出のウォーク千歩増し           岡田 鷹洋

AIと弾む問答去年今年              久保田 操

花形に結ぶスカーフ新年会             高井 百子

初茜厚き朝刊配り終へ               嵐田 双歩

藪入や掃除ロボット充電中             嵐田 双歩

ひよどりの去るを確かめ初雀            大澤 水牛

餅は焦げ声援も涸れる箱根坂            岡松 卓也

たちまちに返信来りメール賀状           徳永 木葉

初富士を高い高いで見る子かな           中沢 豆乳

松の内静けさに音あるがごと            中嶋 阿猿

初春やただただ一茶の境地なり           藤野十三妹

祝い酒五臓に沁みて寝正月             篠田  朗

松の内あけて銀座のイタリアン           須藤 光迷

真っさらの靴少年の初詣               高井 百子

二峰(ふたみね)の絶妙な距離初筑波         中野 枕流

正月の子ら来ず妻と余り餅              旙山 芳之

往路去り復路も去りし三日かな            廣上 正市

元日が小判の色に暮れにけり             溝口戸無広

当季雑詠

餅つきを遠くから見る反抗期             中嶋 阿猿

積もっても北山どまり京の雪             岡松 卓也

冬の梅道を譲ればよき日かな             伊藤 健史

お湯の出る生活に慣れ寒四郎             中村 迷哲

《参加者》【出席10人】嵐田双歩、伊藤誠一、植村方円、大澤水牛、金田青水、杉山三薬、中村迷哲、向井愉里、溝口戸無広、安彦真弓(見学)。【投句参加27人】池村実千代、和泉田守、伊藤健史、岩田千虎、大沢反平、岡田鷹洋、岡松卓也、加藤明生、工藤静舟、久保道子、久保田操、坂部富士子、澤井二堂、篠田朗、須藤光迷、高井百子、高橋ヲブラダ、堤てる夫、徳永木葉、中沢豆乳、中嶋阿猿、中野枕流、旙山芳之、廣上正市、藤野十三妹、星川水兎、横井定利。

(報告 中村迷哲)

 

 

Posted in 句会報告 | Leave a comment

日経俳句会・番町喜楽会合同七福神吟行

1月6日、11人で小石川七福神を巡る

日経俳句会・番町喜楽会新春恒例の合同七福神吟行。令和8年は1月6日(火)に「小石川七福神」を巡った。午後1時、地下鉄丸ノ内線茗荷谷駅に集まったのは嵐田双歩、大澤水牛、岡田鷹洋、金田青水、杉山三薬、中村迷哲、廣田可升の男性陣7人に、和装の星川水兎さんはじめ池村実千代、岩田千虎、水口弥生の女性陣4人の合計11人。新春らしく賑やかな吟行となった。冬晴れの絶好の吟行日和だが、少し風があり日陰に入ると寒い。それでも全員すこぶる元気で、朱印集めなどしながらのんびり、ざっと3時間かけて最後の後楽園・東京ドームまで無事に回り終えた。吟行句会はいつものように事後のメール方式で実施。11人から33句の投句があり、5句選の結果、岩田千虎さんの「縛られし地蔵静かに冬日浴ぶ」が5点を集めて首位となった。二席4点には青水、三薬、迷哲、可升の4句が並んだ。参加11人の代表句は次の通り。

園児らの元気な声も福詣           嵐田 双歩

小石川母の生地の福詣り           池村実千代

縛られし地蔵静かに冬日浴ぶ         岩田 千虎

福神と出腹比ぶる六日かな          大澤 水牛

春知らず空中散華学徒の碑          岡田 鷹洋

アトラクションの叫びの中の福禄寿      金田 青水

戯作者も閻魔も仲間七福神          杉山 三薬

春を待つ固き花芽や播磨坂          中村 迷哲

墓守る布袋破顔の淑気かな          廣田 可升

白猫の墓にまどろむ梅日和          星川 水兎

七福をめぐる下駄の音寒椿          水口 弥生

(報告・岩田千虎、大澤水牛)

 

 

Posted in 句会報告 | Leave a comment

酔吟会第百七十八回例会

十一人参集「初夢」と席題「声」を詠む

首位六点に水牛、春陽子が並ぶ

令和八年一月十日午後一時、江東区・古石場文化センターで酔吟会第百七十八回例会が開かれた。年頭句会の兼題は「初夢」、席題は「声」(大澤水牛出題)。雑詠を含め投句五句、選句六句(うち特選一句)で句会を進めた結果、首位は席題出題者の作品「ごみが無い大声で啼く初鴉 水牛」と、玉田春陽子さんの「硯海を一気に干して吉書かな」が六点で並立した。二席五点は中村迷哲さんの兼題句「初夢に妻の声聞く幸不幸」の一句、三席四点には金田青水さんの「初夢やどこでもドアの人となる」と徳永木葉さんの「声明の一山揺らし冬木立」、嵐田双歩さんの「初夢や人にはいへぬ艶ばなし」、向井愉里さんの「ひいふうみい小松菜を引く母の声」の四句が目白押し。三点には二句が並び、二点九句、一点十九句だった。全投句五十五句のうち三十七句に点が入るという、今回も乱戦模様を呈した。兼題・席題別の高点句(三点以上)は次の通り。

兼題「初夢」

初夢に妻の声聞く幸不幸               中村 迷哲(五点)

初夢やどこでもドアの人となる            金田 青水(四点)

初夢や人にはいへぬ艶ばなし             嵐田 双歩(四点)

初夢や鴉語自動翻訳機                玉田春陽子(三点)

席題「声」

ごみが無い大声で啼く初鴉              大澤 水牛(六点)

声明の一山揺らし冬木立               徳永 木葉(四点)

ひいふうみい小松菜を引く母の声           向井 愉里(四点)

当季雑詠

硯海を一気に干して吉書かな             玉田春陽子(六点)

安全と染めし靴下初吟行               大澤 水牛(三点)

《句会参加者十一人》嵐田双歩、岩田千虎、大澤水牛、岡田鷹洋、金田青水、杉山三薬、須藤光迷、玉田春陽子、徳永木葉、中村迷哲、向井愉里。 (報告 大澤水牛)

 

Posted in 句会報告 | Leave a comment

第21回日経俳句会賞決定

英尾賞に杉山氏「大橋小橋」

伊藤・植村・中沢・中野氏に俳句会賞

特別賞に星川氏「鍵だけ残る双牛舎」

令和7年度『日経俳句会賞』(第21回)の贈賞式が、12月17日(水)の日経俳句会下期合同句会後に行われた。英尾賞は杉山三薬氏の「十三夜千住に大橋小橋あり」が受賞。日経俳句会賞には伊藤健史「盆踊り五十年前ここにゐた」、植村方円「生命線伸びた気のする五月かな」、中沢豆乳「冬隣一抜け二抜けクラス会」、中野枕流「派手かなと取っては戻し初日傘」の4氏4作品が選ばれた。さらに今年3月に解散したNPO法人双牛舎の歴史を踏まえて詠まれた星川水兎氏の句「春の雪鍵だけ残る双牛舎」に特別賞が贈られた。杉山氏は4回目だが英尾賞は初の受賞。植村氏は3回目、中沢氏は2回目、伊藤氏と中野氏は初受賞となった。星川氏も特別賞は初めて。次点には廣田可升、向井愉里、金田青水3氏の句が入った。

選考委員の嵐田双歩幹事から選考経過の説明があり、中村迷哲幹事長から受賞者に賞状と副賞の図書券が手渡された。この後、大澤水牛顧問が句の背景に触れつつ、作者の心境を読み解く講評を述べ、受賞を称えた。授賞式に引き続いて年末懇親会を開催、立食形式で歓談、受賞の六人(伊藤氏は代読)がそれぞれ喜びを語ると大きな拍手が沸いた。

《日経俳句会賞英尾賞》

十三夜千住に大橋小橋あり    杉山 三薬(4回目、英尾賞は初受賞)

《日経俳句会賞》

盆踊り五十年前ここにゐた    伊藤 健史(初受賞)

生命線伸びた気のする五月かな  植村 方円(3回目受賞)

冬隣一抜け二抜けクラス会    中沢 豆乳(2回目受賞)

派手かなと取っては戻し初日傘  中野 枕流(初受賞)

《日経俳句会賞特別賞》

春の雪鍵だけ残る双牛舎     星川 水兎(4回目、特別賞は初)

《次点》

泣くたびに大きくなる子若葉雨  廣田 可升

新聞のクイズ解く母夏至の雨   向井 愉里

初時雨アンモナイトの泳ぐ壁   金田 青水

(報告中村迷哲)

 

 

Posted in 句会報告 | Leave a comment

日経俳句会25年下期合同句会

一席に戸無広句「星の夜」、二席に可升・双歩・千虎句

年納めの会に17人が集う

日経俳句会は12月17日(水)、内神田の日経広告研究所会議室で下期合同句会を開いた。このところの寒気もやや緩み、風もなく穏やかな夕刻。師走の気忙しい中、17人の会員が参集し、和やかな句会となった。兼題は「冬至」。当季雑詠含め36人からの108句の投句があり事前選句(5句選)の結果、一席は溝口戸無広さんの「凩が磨いて行くよ星の夜」が7点を獲得、二席には嵐田双歩さんの「柚子の香の残り湯絞り拭き掃除」と岩田千虎さんの「日没と競ふゴルフや冬至の日」、廣田可升さんの「てっちりの湯気に飛び交ふ大阪弁」の3句が6点で並んだ。三席5点句には横井定利さんの「一人見る冬至の夜の天球儀」、岡松卓也さんの「母国凍て錦を飾る力士あり」、中沢豆乳さんの「日記買ふ喜怒哀楽はまだ白紙」、同じく豆乳さんの「陽に映える干し柿の皺母の皺」、中野枕流さんの「猫の耳ピンと立ちたり漱石忌」の5句が続いた。以下、4点4句、3点16句、2点22句、1点22句で、票がばらけた結果となった。実力伯仲の中、3点句16は新記録ではないだろうか。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「冬至」

柚子の香の残り湯絞り拭き掃除            嵐田 双歩

日没と競ふゴルフや冬至の日             岩田 三代

一人見る冬至の夜の天球儀              横井 定利

息災に暮らし一年冬至かな              久保田 操

また一つ服薬増えて冬至粥              篠田  朗

傘寿過ぎ薬八錠冬至粥                加藤 明生

冬至の湯尻に食いつく熱さかな            中沢 豆乳

百円のカレンダー買う冬至かな            旙山 芳之

愛車売る思い出乗せて冬至かな            旙山 芳之

当季雑詠

凩が磨いて行くよ星の夜               溝口戸無広

てっちりの湯気に飛び交ふ大阪弁           廣田 可升

母国凍て錦を飾る力士あり              岡松 卓也

日記買ふ喜怒哀楽はまだ白紙             中沢 豆乳

陽に映える干し柿の皺母の皺             中沢 豆乳

猫の耳ピンと立ちたり漱石忌             中野 枕流

忘れるって時には大事牡蠣フライ           杉山 三薬

戦地には普通の人々月冴ゆる             髙橋ヲブラダ

冬帽子だあれかさんの忘れ物             嵐田 双歩

暮早し母のお迎え待つ園児              岩田 三代

寒風の歯間に沁みる北の旅              岡田 鷹洋

轟然と行く年われを置去りに             金田 青水

ゴミ出しの我に微笑む姫椿              工藤 静舟

風呂吹や口は踊りてはふはふと            久保 道子

野沢菜に箸も踊るや朝の膳              坂部富士子

俳諧はゴールドメディア冬銀河            須藤 光迷

熱々の鍋焼すする病み上がり             徳永 木葉

木枯や見知らぬ人にしがみつく            藤野十三妹

公園の枯葉閉じ込め初氷               向井 愉里

どう過ごす人の数だけ十二月             横井 定利

《参加者》【出席17人】嵐田双歩、池村実千代、岩田千虎、植村方円、大澤水牛、金田青水、坂部富士子、篠田朗、杉山三薬、玉田春陽子、堤てる夫、中沢豆乳、中野枕流、中村迷哲、廣田可升、星川水兎、向井愉里。【投句参加19人】伊藤誠一、伊藤健史、大沢反平、岡田鷹洋、岡松卓也、加藤明生、工藤静舟、久保道子、久保田操、須藤光迷、高井百子、高橋ヲブラダ、徳永木葉、中嶋阿猿、旙山芳之、廣上正市、藤野十三妹、溝口戸無広、横井定利。

(報告 嵐田双歩)

 

Posted in 句会報告 | Leave a comment

番町喜楽会第234回例会

「日記買ふ」「粕汁」を詠む、首位に可升句「忘れる漢字」

急な寒さに出席5人どまり

番町喜楽会は令和7年12月6日(土)午後6時、東京・九段下の千代田区生涯学習館で第234回例会を開催した。この数日ぐんと冷え込み、東京は朝は4、5℃、日中も10℃と急に冬になった。そのせいもあろうか自身や家族の体調不良で急に欠席という人も出て、出席者わずかに5人と番喜会史上最低を記録した。投句も8人に留まり、句会参加者合計13人、投句総数65句というこじんまりとした句会になった。今回の兼題は「日記買ふ」と「粕汁」。6句選(欠席者は5句)で選句を進めた結果、一席は6点で廣田可升さんの「次々と忘れる漢字日記買ふ」が選ばれた。二席5点は嵐田双歩さんの「あと十年生きると決めて日記買ふ」と「粕汁や夫婦で交す惚け自慢」の二句が独占、三席4点には「来年もやることいっぱい日記買ふ 水牛」と「冬温し手話に異国語あるを知る 光迷」の2句が並んだ。以下3点5句、2点9句、1点16句という結果になった。なお、これまで番喜会に皆勤の徳永木葉さんが緊急用件で投句できなくなったため、幹事の要請で「選句による参加」を果たした。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「日記買ふ」

次々と忘れる漢字日記買ふ              廣田 可升

あと十年生きると決めて日記買ふ           嵐田 双歩

来年もやることいっぱい日記買ふ           大澤 水牛

「粕汁」

粕汁や夫婦で交す惚け自慢              嵐田 双歩

粕汁の粕は吉野の旅土産               廣田 可升

粕汁に酔ふたと妻の赤ら顔              廣田 可升

「当季雑詠」

冬温し手話に異国語あるを知る            須藤 光迷

その先は海の端なり石蕗の花             玉田春陽子

猫が来てまた付け直す床暖房             斉山 満智

秋の富士仰ぐホテルで喜寿の宴            堤 てる夫

《参加者》【出席5人】大澤水牛、金田青水、須藤光迷、玉田春陽子、廣田可升。

【投句参加8人】嵐田双歩、斉山満智、高井百子、堤てる夫、中村迷哲、星川水兎、前島幻水、向井愉里。【選句参加】徳永木葉。

(報告 大澤水牛)

 

 

Posted in 句会報告 | Leave a comment

近江・浪花の芭蕉旧跡巡る東阪合同吟行

芭蕉の旧跡を巡る東阪合同の大阪吟行が11月29、30の一泊二日で実現した。タイトルは大阪吟行だが、初日は琵琶湖周辺を歩き、翌30日に大阪市内散策と句会という段取り。参加は、東京組=嵐田双歩、植村方円、金田青水、杉山三薬、中村迷哲、向井愉里、大阪組=伊藤健史、岡松卓也、高橋ヲブラダの9名。琵琶湖畔周遊には、迷哲さんの後輩で大津在住の日経OB田村雅弘さんが同行して、案内役を務めてくださった。

京都駅新幹線コンコースにある「松葉」という蕎麦屋前に午前十一時すぎに全員集合。昼食に京都の蕎麦を食べた後、JRで琵琶湖畔の唐崎駅へ。天気はこれ以上の晴はない、というぐらいの快晴。駅から普通の住宅街をしばし行くと、「唐崎の松」で知られる唐崎神社に行き着いた。いきなり琵琶湖の景色が広がる。ここで田村雅弘さんと合流した。唐崎神社は「琵琶湖の盲腸」などとも呼ばれる南湖沿いにあるが、それでこのスケールか、と改めて琵琶湖の大きさに驚く。

唐崎にまつ友来たり冬の浜            卓也

冬晴れの琵琶湖に遊ぶ舟と鴨           愉里

電車とバスを乗り継ぎ、全国の日吉・日枝・山王神社の総本宮である日吉大社に向かう。境内に植えられた三千本のモミジが真っ盛りで、関西有数の紅葉の名所に目を奪われた。

山紅葉目を奪われて大社             方円

日短し時刻表手に旅案内             ヲブラダ

次は芭蕉の墓のある義仲寺。境内には、あちこちに芭蕉が植えられていて、季節外れの花を枯らしたところだった。

寺守の軽妙トーク冬ぬくし            迷哲

義仲寺や生き様のあり枯芭蕉           健史

JR膳所駅から大阪へ。御堂筋の芭蕉終焉の地に向かう。終焉の地を示す石碑は車道の中の緑地帯にポツンとある。時間も17時半過ぎ。すでに暗くなっていて、御堂筋の街路樹にイルミネーションが灯されている。通り過ぎるヘッドライトの脇の小さな石碑を見ていると、なんとも無常感を覚える。

翌朝、地下鉄と南海電車を乗り継ぎ住吉大社の向かいにある住吉公園の芭蕉句碑へ。記された「升買て分別かはる月見かな」という句を観賞したあと、大社へ。よう来たな住吉さんの七五三           青水

案内役ヲブラダの勘違いで、新世界を目指して乗ったはずの阪堺鉄道は天王寺へ。次の目的地新世界に行くには、かなり歩く必要がある。

はからずもあべのハルカス冬日差す        三薬

大混雑の天王寺公園を抜けて新世界へ。通天閣は長蛇の列で、上るのは諦めて記念撮影。地下鉄で北浜に行き、昼食を済ませて、いよいよ句会場の大阪市中央公会堂へと向かった。

冬日影昭和のままの新世界            双歩

大阪市中央公会堂は1918年に建てられ、一時老朽化で取り壊しも検討されたが保存・改修工事がなされ、2002年に国の重要文化財に指定されている。ひょっとすると重文での句会は日経俳句会史上、初めてではないだろうか。句会は短冊で投句し、清記、選句・披講する酔吟会方式で実施。三句投句で五句選、うち特選一句とし、双歩さんの司会によりテンポよく進んだ。時間があったので点の入った全句を合評、様々な句評が飛び交い、盛り上がった。健史さん、卓也さんは初めての本格対面句会だったそうだが、楽しまれたのではないだろうか。 (報告 高橋ヲブラダ)

Posted in 句会報告 | Leave a comment

日経俳句会第244回例会

首位に双歩句「譲られし席」、二席に明生句「親子熊」

「酉の市」と「熊」を詠む

日経俳句会は令和7年11月例会(通算244回)を11月16日(日)午後2時から鎌倉橋の千代田区立スポーツセンター集会室で開いた。小春日日和に誘われて9人が顔を揃え。和気あいあいの句会を楽しんだ。兼題は「酉の市」と「熊」。37人から110句の投句があり、6句選(欠席は5句)の結果、嵐田双歩さんの「譲られし席に温もり冬初め」が11点を獲得し断トツの首位。二席には加藤明生さんの「駆除といふ言葉が哀れ親子熊」が7点で続いた。三席6点には岩田千虎さんの「お多福が姉に似ている大熊手」、中沢豆乳さんの「父の手の温もりうれし酉の市」と「冬隣一抜け二抜けクラス会」、さらに水口弥生さんの「ビル越しの富士のてっぺん冬来る」の4句が並んだ。このほか5点7句、4点6句、3点9句と高点句が28句を数え、2点16句、1点28句だった。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「酉の市」

お多福が姉に似ている大熊手             岩田 千虎

父の手の温もりうれし酉の市             中沢 豆乳

酉の市英語で値切るツアー客             岡田 鷹洋

酉の市メトロ狭しと大熊手              杉山 三薬

とりどりのヒジャブが笑う酉の市           伊藤 誠一

酉の市果てて寂しき裏通り              大沢 反平

酉の市なにはともあれ屋台酒             藤野十三妹

天空へ手打ち抜け行く一の酉             金田 青水

背負はれて笑ふ福神酉の市              中村 迷哲

酉の市いつしか他人事となり             向井 愉里

「熊」

駆除といふ言葉が哀れ親子熊             加藤 明生

冬隣一抜け二抜けクラス会              中沢 豆乳

熊撃たれ更に深まる森の闇              植村 方円

剥製の熊に見張られ蕎麦を食ふ            中嶋 阿猿

熊闊歩マタギ文化の遠くなり             工藤 静舟

襲わねば熊にあげたき庭の柿             高井 百子

腹減らし眠らぬ熊に寝られぬ町            中村 迷哲

熊ゐない千葉のあちこち柿たわわ           嵐田 双歩

熊よ熊里には人の暮らしあり             篠田  朗

穴に入る熊にやりたや一升瓶             藤野十三妹

当季雑詠

譲られし席に温もり冬初め              嵐田 双歩

ビル越しの富士のてっぺん冬来る           水口 弥生

回送の電車ゆるりと冬に入る             植村 方円

初時雨アンモナイトの泳ぐ壁             金田 青水

小夜時雨猫駆け込みし映画館              高橋ヲブラダ

筑波山夕陽のなかの烏瓜               池村実千代

落葉踏む音なきエールやデフ五輪           伊藤 誠一

牡蠣洗い独り酌む夜の北斗星             須藤 光迷

《参加者》【出席9人】嵐田双歩、大澤水牛、金田青水、篠田朗、杉山三薬、徳永木葉、中村迷哲、向井愉里、溝口戸無広。【投句参加28人】池村実千代、和泉田守、伊藤誠一、伊藤健史、岩田千虎、植村方円、大沢反平、岡田鷹洋、岡松卓也、加藤明生、工藤静舟、久保道子、久保田操、坂部富士子、澤井二堂、須藤光迷、高井百子、高橋ヲブラダ、堤てる夫、中沢豆乳、中嶋阿猿、中野枕流、旙山芳之、廣上正市、藤野十三妹、星川水兎、水口弥生、横井定利。

(報告 中村迷哲)

 

Posted in 句会報告 | Leave a comment

酔吟会第177回例会

11人が「山茶花」「熱燗」を詠む

首位6点は青水「竹箒」、次席5点に5句ひしめく

酔吟会は令和7年11月例会(通算第177回)を8日午後1時から江東区の芭蕉記念館で開催した。兼題は「山茶花」、玉田春陽子さんから出題された席題は「熱燗」。雑詠を含め投句5句、選句6句(うち特選1句)の結果、首位の6点句に金田青水さんの「山茶花は散るままがよし竹箒」が、次点の5点句には嵐田双歩さんの「盛り塩の少し欠けたる時雨かな」および「山茶花や噂話は垣根越し」、大澤水牛さんの「長き夜を三分割の小用かな」、金田青水さんの「アセアンの母子の借着の七五三」、廣田可升さんの「冬ぬくしじゃんけんグリコで帰る子ら」の5句が選ばれた。次いで4点句には、岡田鷹洋さんの「山茶花や母校はブルに潰されて」が、3点句には嵐田双歩さんの「愚痴こぼし熱燗零し指舐めて」、徳永木葉さんの「山茶花の紅を散り敷き苔の庭」および「山茶花や介護バス待つ車椅子」、向井愉里さんの「熱燗の喉に沁み入るひと口め」が並んだ。高得点句11句のうち、約半数の5句を兼題「山茶花」の句が占め、逆に席題の「熱燗」は2句にとどまり、飲兵衛の多い句会としては意外な結果に終わった。暦の上ではこの日は立冬の翌日となるが、まさに小春日と呼びたくなる好天気。芭蕉記念館二階の座敷で、今年最後の句会をゆったりと気分よく終えることが出来た。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

兼題「山茶花」

山茶花は散るままがよし竹箒      金田 青水

山茶花や噂話は垣根越し        嵐田 双歩

山茶花や母校はブルに潰されて     岡田 鷹洋

山茶花の紅を散り敷き苔の庭      徳永 木葉

山茶花や介護バス待つ車椅子      徳永 木葉

席題「熱燗」

愚痴こぼし熱燗零し指舐めて      嵐田 双歩

熱燗の喉に沁み入るひと口め      向井 愉里

「当季雑詠」

盛り塩の少し欠けたる時雨かな     嵐田 双歩

長き夜を三分割の小用かな       大澤 水牛

アセアンの母子の借着の七五三     金田 青水

冬ぬくしじゃんけんグリコで帰る子ら  廣田 可升

<句会参加者11人>嵐田双歩、岩田千虎、大澤水牛、岡田鷹洋、金田青水、久保道子、杉山三薬、玉田春陽子、徳永木葉、廣田可升、向井愉里。 (報告 廣田可升)

 

Posted in 句会報告 | Leave a comment

番町喜楽会第233回例会

首位に満智「散歩千歩」、青水「熊ゐる秋」が次点

14人が「立冬」と「落葉」を詠む

番町喜楽会は令和7年11月の例会(通算第233回)を、文化の日の3日午後6時半から東京・九段下の千代田区生涯学習館で開催した。前日が十三夜で暦の上ではまだ晩秋だったが、兼題は「立冬」と「落葉」。14人から68句の投句があった。句会には6人が参加、選句6句(欠席者は5句)の結果、斉山満智さんの「小春日や散歩再開千歩まで」が7点で首位、次点は5点で金田青水さんの「日常に熊ゐる秋の異常かな」、三席には大澤水牛さんの「立冬やいそいそと出す錫ちろり」、須藤光迷さんの「散髪は妻の為すまま秋麗」、高井百子さんの「嘘寒や田畑五反五万円」、星川水兎さんの「良き音を狙い定めて落葉踏む」の4句が4点で並んだ。以下3点2句、2点10句、1点23句とすさまじく票が割れた。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「立冬」

立冬やいそいそと出す錫ちろり           大澤 水牛

「落葉」

良き音を狙い定めて落葉踏む            星川 水兎

植物園袋につめて落葉売る             玉田春陽子

「当季雑詠」

小春日や散歩再開千歩まで             斉山 満智

日常に熊ゐる秋の異常かな             金田 青水

散髪は妻の為すまま秋麗              須藤 光迷

嘘寒や田畑五反五万円               高井 百子

冬浅し路地にポン菓子破裂音            玉田春陽子

【句会出席6人】大澤水牛、須藤光迷、玉田春陽子、中村迷哲、廣田可升、向井愉里。【投句参加8人】嵐田双歩、金田青水、斉山満智、高井百子、堤てる夫、徳永木葉、星川水兎、前島幻水。 (報告 須藤光迷)

 

 

Posted in 句会報告 | Leave a comment