日経俳句会第237回例会

初の日曜昼間開催、「卒業」と「沈丁花」を詠む

最高9点に三薬句・水兎句

日経俳句会は令和7年3月例会(通算237回)を3月16日(日)に鎌倉橋の千代田区立スポーツセンター会議室で開いた。奇数月を日曜昼間の開催に変更する試みの初回だったが、あいにくの雨もあり出席者は10人にとどまった。ただ夜間の外出を控えている徳永木葉さん、岡田鷹洋さん、中沢豆乳さんらが久しぶりに参加、清新な顔ぶれで盛り上がった。兼題は「卒業」と「沈丁花」。33人から99句の投句があり、6句選(欠席は5句)の結果、一席には杉山三薬さんんの「さまざまな思いも丸め卒業証」と星川水兎さんの「春の雪鍵だけ残る双牛舎」が9点で並んだ。二席8点は高井百子さんの「啓蟄や腹の虫鳴く回復期」が入り、三席7点は加藤明生さんの「好きな子に好きと言へずに卒業す」と岩田千虎さんの「ロッカーにそっと落書き卒業す」の2句が分け合った。以下、6点2句、5点6句、4点5句、3点8句と続き、高点句が26句にのぼった。そのほかは2点12句、1点15句だった。今月から試行した日曜昼間開催については、「夜の外出に不安があるので、昼間なら出やすい」と評価する声が多かった。常連メンバーに所用と重なった人が多かったため出席者は増えなかったが、次回(5月)以降も試行を続け、句会を活性化していきたい。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「卒業」

さまざまな思いも丸め卒業証             杉山 三薬

好きな子に好きと言へずに卒業す           加藤 明生

ロッカーにそっと落書き卒業す            岩田 千虎

避難所の友も集ひて卒業歌              中村 迷哲

卒業の袴華やぐ駅ホーム               和泉田 守

卒業式父も校歌を口ずさみ              徳永 木葉

卒業の子のそれぞれに新世界             須藤 光迷

卒業や先生いちばん多く泣き             中嶋 阿猿

「沈丁花」

沈丁の香を乗せ雨のやはらかに            嵐田 双歩

沈丁や谷中の坂を風に乗り              澤井 二堂

かくれんぼ息をひそめて沈丁花            中嶋 阿猿

大正のうねる硝子や沈丁花              星川 水兎

空襲の音が臭ひが沈丁花               大澤 水牛

沈丁の香りが招く露地めぐり             加藤 明生

闇の香をたどりて迷ふ沈丁花             中村 迷哲

沈丁花鎌倉が好き路地小路              廣上 正市

当季雑詠

春の雪鍵だけ残る双牛舎               星川 水兎

啓蟄や腹の虫鳴く回復期               高井 百子

三月や生の息吹きと鎮魂と              和泉田 守

何年も二人だけ観て雛納               旙山 芳之

黄沙ふる歩きスマホの街に降る            金田 青水

ディールとはまず脅すこと春疾風           中野 枕流

庭の灯の朧おぼろに二合半              大澤 水牛

蕗味噌は手作りですと宿の主             岩田 千虎

寄り添ひて雀の夫婦春隣り              大沢 反平

春セーター別れ話のサイゼリア            高橋ヲブラダ

《参加者》【出席10人】嵐田双歩、植村方円、大澤水牛、岡田鷹洋、篠田朗、杉山三薬、徳永木葉、中沢豆乳、中村迷哲、溝口戸無広。【投句参加23人】池村実千代、和泉田守、伊藤健史、岩田千虎、大沢反平、岡松卓也、加藤明生、金田青水、工藤静舟、久保道子、久保田操、坂部富士子、澤井二堂、須藤光迷、高井百子、高橋ヲブラダ、堤てる夫、中嶋阿猿、中野枕流、旙山芳之、廣上正市、星川水兎、横井定利。

(報告 中村迷哲)

 

 

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酔吟会第173回例会

12人が「朧」「故郷」を詠む

首位6点に光迷「青き踏む」、春陽子「赤飯」、可升「桜鯛」の3句

酔吟会は令和7年の3月例会(通算第173回)を8日午後1時から江東区の芭蕉記念館で開催した。兼題は「朧」、徳永木葉さん出題の席題は「故郷」。雑詠を含め投句5句、選句6句(うち特選1句)の結果、首位の6点句に、須藤光迷さんの「青き踏む癌告知から十余年」、玉田春陽子さんの「赤飯に祝合格と胡麻の文字」、廣田可升さんの「故郷の磯の香りや桜鯛」が入った。次点の5点句には、徳永木葉さんの「月おぼろ昭和歌謡のユーチューブ」、廣田可升さんの「梅まつり列なす野点ワンコイン」および「牛久大仏ぬっとあらはる朧かな」が並んだ。前日までの春の陽気が真冬に逆戻りしたような天候にもかかわらず、12人が集まり活発な句会を楽しんだ。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「朧」

月おぼろ昭和歌謡のユーチューブ    徳永 木葉

牛久大仏ぬっとあらはる朧かな     廣田 可升

コンクリの古城なれども朧月      杉山 三薬

「故郷」

故郷の磯の香りや桜鯛         廣田 可升

同期皆ふるさと訛り花の宴       嵐田 双歩

故郷は跡形もなし墓じまい       岡田 鷹洋

故郷の花かたかごが首を振る      金田 青水

故郷や柳絮飛ぶ川畑の父        岩田 千虎

「雑詠」

青き踏む癌告知から十余年       須藤 光迷

赤飯に祝合格と胡麻の文字       玉田春陽子

梅まつり列なす野点ワンコイン     廣田 可升

焦土から八十年の芽吹きかな      岩田 千虎

<句会参加者12人>嵐田双歩、岩田千虎、大澤水牛、岡田鷹洋、金田青水、久保道子、杉山三薬、須藤光迷、玉田春陽子、徳永木葉、廣田可升、向井愉里。

(報告 廣田可升)

 

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番町喜楽会第225回例会

17人参加「春暁」と「桃の花」を詠む

迷哲さんの「吾子の弁当」が首席、二席に満智さんの「四人目に女児」

番町喜楽会は令和7年3月の例会(通算225回)を桃の節句の3日午後6時半から東京・九段下の千代田区生涯学習館で開催した。前日までは温暖なポカポカ陽気だったが、この日は都心にも雪混じりの雨が降る寒い一日となった。兼題は「春暁」と「桃の花」で、17人から投句があり投句総数は85句にのぼったものの、春とは思えぬ寒波襲来とあってか、句会出席者は8人にとどまった。選句6句で句会を行った結果、中村迷哲さんの「春暁や吾子の弁当今日かぎり」が6点で首席、二席は斉山満智さんの5点句「四人目で女児誕生や桃の花」、三席の4点句には嵐田双歩さんの「春暁やまず母が起き犬が起き」、玉田春陽子さんの「春暁や腓返りに夢たたれ」、星川水兎さんの「二輪ほど箸置きになり桃の花」と向井愉里さんの「お隣は三人姉妹桃の花」の4句が並んだ。3点は4句だった。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「春暁」

春暁や吾子の弁当今日かぎり            中村 迷哲

春暁やまず母が起き犬が起き            嵐田 双歩

春暁や腓返りに夢たたれ              玉田春陽子

「桃の花」

四人目で女児誕生や桃の花             斉山 満智

二輪ほど箸置きになり桃の花            星川 水兎

お隣は三人姉妹桃の花               向井 愉里

「当季雑詠」

腑に落ちぬ事だらけなり春寒し           金田 青水

立雛や寄り添い合いて五十年            須藤 光迷

朧の夜回る寿司屋に綿あめ機            高井 百子

リモートの徹夜仕事や猫の恋            中村 迷哲

【句会参加者】(出席8人)池内的中、大澤水牛、金田青水、須藤光迷、玉田春陽子、廣田可升、星川水兎、前島幻水。(投句参加9人)嵐田双歩、斉山満智、澤井二堂、高井百子、堤てる夫、徳永木葉、中村迷哲、向井愉里、山口斗詩子。

(報告 須藤光迷)

 

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日経俳句会第236回例会

首位8点に千虎句「喧嘩果て」、二席は静舟句と操句が7点で並ぶ

36人が「風光る」「レタス」を詠む

日経俳句会は2月19日(水)、神田・鎌倉橋の日経広告研究所会議室で2月例会(通算236回)を開いた。再びの寒波襲来で北風が吹き荒れ、真冬に戻ったかのよう。そんな寒さの中、熱心な会員12人が集い、和気藹々とした句会が繰り広げられた。兼題は「風光る」と「レタス」。36人から108句の投句があり、6句選(欠席5句)の結果、岩田千虎さんの「喧嘩果て丸ごとレタス千切る妻」が8点で一席。二席には工藤静舟さんの「憧れの制服試着風光る」と久保田操さんの「ラストランドクターイエロー風光る」が7点で並んだ。三席6点には岩田千虎さんの「草滑り子らの歓声風光る」、中沢豆乳さんの「高原のレタス縫い行く小海線」、伊藤健史さんの「薄氷の踏んでくれろと誘いたる」、溝口戸無広さんの「蝋梅の小枝の中の星座かな」の4句が入った。以下、5点1句、4点5句、3点11句、2点と1点が各26句だった。なお2月例会から、以前在籍していた伊藤誠一さんが再入会した。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「風光る」

憧れの制服試着風光る                工藤 静舟

ラストランドクターイエロー風光る          久保田 操

草滑り子らの歓声風光る               岩田 千虎

風眩し過ぎし五年や船の旅              池村実千代

風光る揺れる帆影を眺めけり             坂部富士子

風光る音なき風車の十基かな             廣上 正市

小田原を過ぎて海見え風光る             嵐田 双歩

風光る学生服にさようなら              篠田  朗

よちよちのファーストシューズ風光る          高井 百子

光る風吞み込む猫の大あくび             中沢 豆乳

鳴く鳥の思わぬ近さ風光る              星川 水兎

「レタス」

喧嘩果て丸ごとレタス千切る妻            岩田 千虎

高原のレタス縫い行く小海線             中沢 豆乳

ぱりぱりとレタス喰む娘やうさぎ年          大澤 水牛

チシャ畑吹き渡る風瑞々し              中野 枕流

勾配は町へと続く萵苣の畝                    溝口戸無広

「当季雑詠」

薄氷の踏んでくれろと誘いたる            伊藤 健史

蝋梅の小枝の中の星座かな              溝口戸無広

虚子の句を添へて卒業祝ひけり            中村 迷哲

タワマンが狭めた空よ月朧              篠田  朗

文学のこみち下りて春の潮              坂部富士子

春の雪半刻吹雪きて碧き空              高橋ヲブラダ

竹橋に休日出勤梅白し                旙山 芳之

襞長く裾なほ長く雪の富士              廣上 正市

《参加者》【出席12人】嵐田双歩、池村実千代、岩田千虎、大澤水牛、金田青水、坂部富士子、篠田朗、杉山三薬、堤てる夫、中村迷哲、星川水兎、向井愉里。【投句参加24人】伊藤誠一、伊藤健史、植村方円、大沢反平、岡田鷹洋、岡松卓也、加藤明生、工藤静舟、久保道子、久保田操、澤井二堂、須藤光迷、高井百子、高橋ヲブラダ、徳永木葉、中沢豆乳、中嶋阿猿、中野枕流、野田冷峰、旙山芳之、廣上正市、藤野十三妹、溝口戸無広、横井定利。   (報告 嵐田双歩)

 

 

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番町喜楽会年間優秀作品賞を発表

最優秀に幻水句「デジタルの虚実」

優秀作に斗詩子・木葉・てる夫句

番町喜楽会は、2月1日(土)に開催された第224回例会に先立って、令和6年の最優秀作品および優秀作品の表彰を行った。最優秀作品賞は前島幻水さんの「デジタルの世や虚も実も文化の日」が受賞、優秀作品には山口斗詩子、徳永木葉、堤てる夫三氏の作品が選ばれた。選考は大澤水牛氏にお願いし、昨年1年間に月例会や吟行で詠まれた会員の全作品1050句から選び抜かれたもの。受賞者には廣田会長から賞品の図書カードが贈られた。受賞者はそれぞれ喜びを語ったが、今年卒寿を迎える幻水さんにはひと際大きな拍手が送られた。なお1050句から水牛氏が選んだ103句が「令和六年代表作品」として併せて発表された。

〈最優秀作品賞〉

デジタルの世や虚も実も文化の日         前島 幻水

〈優秀作品賞〉

ただ歩く新緑の中まだ生きる           山口斗詩子

から松の散るや十勝に雪近し           徳永 木葉

寒の池鴨とは群れぬ鷺白し            堤 てる夫

(報告 中村迷哲)

 

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番町喜楽会第224回例会

17人参加「立春」「クロッカス」を詠む

光迷、愉里が首位並走

「番町喜楽会賞」贈賞式も挙行

番町喜楽会は2月1日、千代田区立生涯学習館(九段下)で第224回例会を行った。1月は恒例の七福神吟行会で代替したため、この日が令和7年の初句会となった。句会に先立ち、恒例の「番町喜楽会賞」贈賞式が行われ、前島幻水、堤てる夫、徳永木葉、山口斗詩子四氏が表彰された。

2月句会には会員17氏から兼題「立春」「クロッカス」と当季雑詠の合計85句が寄せられた(田中白山氏は都合により欠場)。句会には9人が出席し選句・披講、合評会を行った。出席者6句選句、投句参加者5句選句を集計した結果、最高点は須藤光迷さんの「大和路へ誘う友あり春立ちぬ」と向井愉里さんの「百八十卒寿夫婦の年の豆」が5点で並んだ。続く4点には金田青水さんの2句と星川水兎さん、斉山満智さんの合計4句がひしめき合い、3点には6句が押しくら饅頭となった。2月例会の高点句(3点以上)は以下の通り。

「立春」

大和路へ誘う友あり春立ちぬ       須藤 光迷

春立つや庭でスキップするカラス     斉山 満智

立春大吉婆の読経はまだ続く       大澤 水牛

インフルもコロナも逸れて春立ちぬ    高井 百子

立春の裸電球古書の店          徳永 木葉

「クロッカス」

見廻りの猫またぎゆくクロッカス     金田 青水

教室の窓辺一列クロッカス        向井 愉里

「当季雑詠」

百八十卒寿夫婦の年の豆         向井 愉里

春霞スカイツリーを丸呑みに       金田 青水

東京駅二十三番線の春          星川 水兎

いつの間に少年の顔寒稽古        廣田 可升

バレンタイン婆もときめきチョコ用意   山口斗詩子

【参加者】(出席)廣田可升、大澤水牛、金田青水、須藤光迷、高井百子、玉田春陽子、堤てる夫、前島幻水、向井愉里。(投句参加)嵐田双歩、池内的中、斉山満智、澤井二堂、徳永木葉、中村迷哲、星川水兎、山口斗詩子。

(報告 大澤水牛)

 

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日経俳句会第235回例会

初句会に34人から投句

方円句「初夢」が最高10点、二席に水牛・三薬句並ぶ

日経俳句会は令和7年の初句会(通算235回)を1月15日(水)に鎌倉橋の日経広告研究所会議室で開いた。昼間の好天に誘われたように12人が顔を揃え、新年らしい賑やかな句会となった。兼題は「春隣」と「雑炊」。34人から102句の投句があり、6句選(欠席は5句)の結果、植村方円さんの「初夢の行方不明となりにけり」が10点を得て一席となった。二席9点は大澤水牛さんの「焼跡に雑炊すする我八歳」と杉山三薬さんの「あれはだめこれも燃やすなどんど焼き」が分け合い、三席6点には中嶋阿猿さんの「小吉のみくじ結びて春隣」など5句が並んだ。以下、5点6句、4点3句、3点11句と続き、高点句が28句にのぼった。そのほかは2点11句、1点27句だった。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「春隣」

両の目のレンズ張替え春隣              杉山 三薬

小吉のみくじ結びて春隣               中嶋 阿猿

春隣り傘寿は喜寿の膝まくら             加藤 明生

着ようかな黄色のセータ春隣             高井 百子

通学路手袋拾い春隣                 旙山 芳之

吸う息のかすかに湿り春隣              岩田 千虎

用済みのネクタイ捨てて春隣             植村 方円

なんとなく鼻むずむずと春隣             大澤 水牛

枝枝に辛夷つぼむや春隣               岡松 卓也

春隣友の上梓の初句集                廣上 正市

「雑炊」

焼跡に雑炊すする我八歳               大澤 水牛

雑炊で締めるつもりが吞み直し            中沢 豆乳

雑炊の二文字が嫌い大嫌い              横井 定利

蘊蓄も講釈も添へ河豚雑炊              嵐田 双歩

おいちいねおじやふうふう吾子笑ふ          岩田 千虎

客おくり一人ゆるりとおじや食ふ           金田 青水

雑炊となればでしゃばる男あり            高橋ヲブラダ

河豚雑炊酒断つ身には誘い無く            堤 てる夫

風邪の床母の雑炊しみわたる             徳永 木葉

 

当季雑詠

初夢の行方不明となりにけり             植村 方円

あれはだめこれも燃やすなどんど焼き         杉山 三薬

駄々っ子や勝つまで続くカルタ会           篠田  朗

初手水昭和百年幕が開く               中野 枕流

初春の移住あいさつ二人半              岡田 鷹洋

おめかしの妻を笑わせ初写真             中村 迷哲

三が日救急搬送けたたまし              久保田 操

こぼさじと空見上げをり寒椿             徳永 木葉

口紅の紅の深さや雪の朝               中嶋 阿猿

《参加者》【出席12人】嵐田双歩、池村実千代、今泉而云(選句のみ)、大澤水牛、金田青水、坂部富士子、篠田朗、杉山三薬、堤てる夫、中村迷哲、星川水兎、向井愉里。【投句参加23人】和泉田守、岩田千虎、植村方円、大沢反平、岡田鷹洋、岡松卓也、加藤明生、工藤静舟、久保道子、久保田操、澤井二堂、須藤光迷、高井百子、高橋ヲブラダ、徳永木葉、中沢豆乳、中嶋阿猿、中野枕流、旙山芳之、廣上正市、藤野十三妹、溝口戸無広、水口弥生。

(報告 中村迷哲)

 

 

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酔吟会第172回例会

11人出席「寒四郎」と席題「結」を詠む

首位5点に迷哲「温暖化」、光迷「福寿草」の2句

酔吟会は令和7年の1月例会(第172回)を11日午後1時から江東区の芭蕉記念館で開催した。兼題は「寒四郎」、向井愉里さんから出題された席題は「結」。雑詠を含め投句5句、選句6句(うち特選1句)の結果、首位の5点句に、中村迷哲さんの「温暖化止められぬ星寒四郎」と須藤光迷さんの「余命まだいっぱいあるぞ福寿草」が並んだ。次点の4点句には、玉田春陽子さんの「カツカツと板書ひびけり寒四郎」および「行き先は極楽と決め日向ぼこ」、廣田可升さんの「また覗く転職サイト寒四郎」および「とろとろの結び昆布やおでん鍋」の4句がひしめき合った。兼題の「寒四郎」は難しい季語であり、席題の「結」もなかなか手強いにもかかわらず、高得点句13句の内、兼題句が5句、席題が6句で、雑詠がわずかに2句と、題詠に得点が集まる句会となった。出題者の面目躍如である。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「寒四郎」

温暖化止められぬ星寒四郎         中村 迷哲

カツカツと板書ひびけり寒四郎       玉田春陽子

また覗く転職サイト寒四郎         廣田 可升

寒四郎半袖異人こともなげ         徳永 木葉

み仏は素足におはす寒四郎               中村 迷哲

「結」

とろとろの結び昆布やおでん鍋       廣田 可升

元旦に結びし約束もう忘れ         大澤 水牛

駅弁の元祖はお結び寒の旅         杉山 三薬

大銀杏結ひて初場所大の里         徳永 木葉

縁結びスマホに頼る年男          中村 迷哲

初御籤丁寧に結ぶ細き指          向井 愉里

「当季雑詠」

余命まだいっぱいあるぞ福寿草       須藤 光迷

行き先は極楽と決め日向ぼこ        玉田春陽子

<句会参加者、11人>岩田千虎、大澤水牛、岡田鷹洋、金田青水、杉山三薬、須藤光迷、玉田春陽子、徳永木葉、中村迷哲、廣田可升、向井愉里。

(報告 廣田可升)

 

 

 

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新春恒例多摩川七福神吟行

7人が滑って転んで福詣

日経俳句会、番町喜楽会合同の新春七福神詣を1月5日、多摩川下流域大田区矢口の「多摩川七福神」で行なった。恒例のこの行事も数えること21回。初回から今回まで参加しているのは、水牛さん一人になってしまった。場所も都内はほぼ行き尽くし、来年はどこか良いところないかと、早くも心配するほど。日本海側、東北北海道の大雪を尻目に、晴天続きの関東地方。この日も雲は少しあるが、風もなく穏やかな冬日和となった。集合場所の東急多摩川線武蔵新田駅に集まったのは、大澤水牛、池村実千代、須藤光迷、廣田可升、向井愉里、中村迷哲、杉山三薬の7人。

この七福神の由来はこうだ。1358年、南北朝時代の関東武将新田義興が、多摩川の矢口の渡を渡る際に、敵足利方に寝返った船頭に船の栓を抜かれ沈没、家臣10人と共に殺された。太平記にも記されたこの事件の顛末を後年、戯作者福内鬼外(平賀源内)が浄瑠璃「神霊矢口渡」として世に広めた。無念の義興の怨霊を鎮めようと建立されたのが新田神社で、同神社を軸に2014年、多摩川七福神が設置された。7人がまず向かったのが新田神社(恵比寿)。七福神巡りの地図、パンフレット類を作り、頑張っている。正月休み最終日とあって人出も多く、境内では南京玉簾など数種の大道芸が行われていた。裏手には謀殺された義興の胴体が埋められたという塚がある。祟りがあるから入ってはいかん、との立札が立ち、頑丈な柵で小山がすっぽり覆われている。薄暗く、なんとなく魔界の雰囲気。

新田神社を出て十寄神社(毘沙門天)、工場跡地に出現した大きなマンションと古びた工場兼住宅が混在する街並を通り抜け、三番目の東八幡神社(弁財天)に詣り、道を渡って多摩川土手に出た。目の前に大きな風景が広がった。遠くに霞む富士。穏やかな正月の陽を受けて、子供たちが、ボードを敷いて滑る「草すべり」に興じていた。見ていた老人たち、米寿間近の人までもが、尻滑りを始めた。二十歳の孫が自慢の実千代バアバも「ズボンだから大丈夫」と華麗に滑って行った。矢口の渡の跡を示す石碑は見当たらず、小さな説明板と、水際の石階段のみ。

さあ、お参り再開。延命寺(寿老人)へと北へ向かって歩く。さらに北へ。氷川神社(大黒天)に着く。残る二ヶ所は東急多摩川線の踏切を渡ってすぐの所にある頓兵衛地蔵(布袋尊)。裏切って義興謀殺に加担した船頭の頓兵衛が、罪を悔いて作った地蔵だとされる。七福神の親分、新田神社からすれば、にっくきトンベエのはずが、これを許して七福神の仲間に加えたわけだ。心が広いというか、客寄せ上手の平賀源内流というか?七番目の矢口中稲荷神社(福禄寿)は武蔵新田駅のホーム裏にひっそりと建ち幟が無ければ素通りしてしまう。かくて無事すべての行程を終了。光迷さんと可升さんは帰宅。五人が駅近くのもつ焼屋へ行く。下町らしい雰囲気の賑やかな店で天候に恵まれた一日を終えた。

吟行句会はいつものようにメール方式で実施。参加者が各3句を投句、5句選の結果、池村実千代さんの「厄年も遠くにありて福詣り」と杉山三薬さんの「町工場名残りの細道冬うらら」がともに4点を得て一席を分け合った。二席3点には三薬、可升、愉里さんの4句が並んだ。参加者の代表句は下記の通り。

厄年も遠くにありて福詣り        池村実千代

敵味方仲良く多摩川七福神        大澤 水牛

多摩堤すべってころんで初笑       杉山 三薬

お神酒受く破魔矢の元祖かたわらに    須藤 光迷

福詣締めはもつ焼き大明神        中村 迷哲

初春の運気呼び込む玉すだれ       廣田 可升

浄瑠璃の舞台辿りて七福神        向井 愉里

(報告 杉山三薬)

 

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第20回日経俳句会賞決定

英尾賞に高井氏「根深汁」

横井・大沢・岩田・溝口氏に俳句会賞

《日経俳句会賞英尾賞》

異母妹といふ名の縁根深汁             高井 百子

《日経俳句会賞》

白湯一杯飲んで出かける敬老日     横井 定利

病窓に万緑がある生きてゐる      大沢 反平

ちゃん付けで呼ぶ同窓会冬うらら    岩田 千虎

万緑の更に奥なる光堂         溝口戸無広

《次点》

病む身には痛き色なり紅つつじ     藤野十三妹

はつ冬やほんに小さな秋でした     金田 青水

三文字の暖簾くぐりて泥鰌鍋      中野 枕流

第20回の節目となる令和6年度『日経俳句会賞』の授賞式が、12月18日の下期合同句会後に行われた。英尾賞は高井百子氏の「異母妹といふ名の縁根深汁」が受賞。俳句会賞には横井定利「白湯一杯飲んで出かける敬老日」、大沢反平「病窓に万緑がある生きてゐる」、岩田千虎「ちゃん付けで呼ぶ同窓会冬うらら」、溝口戸無広「万緑の更に奥なる光堂」の4氏4作品が選ばれた。高井氏は2回目の受賞だが英尾賞は初めて。大沢氏は3回目、横井、岩田氏は2回目、溝口氏は初受賞となった。次点には藤野十三妹、金田青水、中野枕流3氏の句が入った。選考委員の嵐田双歩幹事から選考経過の説明があり、中村迷哲幹事長から受賞者に賞状と副賞の図書券が手渡された。この後、大澤水牛顧問が句を読み解きつつ作者の心情に触れた講評を述べ、受賞を称えた。

授賞式に引き続いて年末懇親会を開催、立食形式で歓談した。テーブルには各地の地酒をはじめ、出前の稲荷ずしやピザなどが並び、グラスを手に出席者の会話が弾んだ。受賞の5人(横井、大沢氏は代読)がそれぞれ喜びを語ると大きな拍手が沸いた。

(報告 嵐田双歩)

 

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