日経俳句会第241回例会

参加37人、「天の川」と「秋刀魚」を詠む

首位8点に鷹洋句「線香花火」、二席6点は百子句「星一つ」

日経俳句会は8月20日(水)夕、令和7年8月例会(通算241回)を鎌倉橋の日経広告研究所会議室で開いた。旧盆過ぎても猛暑は収まらず、残暑というより盛夏がいつまでも続いているような毎日。その暑さにめげず、会場に足を運んだ熱心なメンバーのクールな発言が座を沸かせた。兼題は「天の川」と「秋刀魚」。37人から110句の投句があり、6句選(欠席は5句)の結果、岡田鷹洋さんの「線香花火妻と長生き競ひをり」が8点で一席に。次いで高井百子さんの「友逝くや星ひとつ増え天の川」が6点で二席。三席には杉山三薬さんの「連れションの首は上向く天の川」、岡松卓也さんの「ぜいたくをコメと秋刀魚で噛みしめる」、金田青水さんの「一尾づつ経木の舟に新秋刀魚」、伊藤健史さんの「盆踊り五十年前ここにゐた」、中沢豆乳さんの「喜寿傘寿口紅濃くして盆踊」が5点で並んだ。以下4点9句、3点12句、2点26句、1点23句と点が分散した。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「天の川」

友逝くや星ひとつ増え天の川             高井 百子

連れションの首は上向く天の川            杉山 三薬

苦悶する地球ながむる天の川             金田 青水

楼蘭を過ぎしキャラバン天の川            中村 迷哲

御巣鷹のふもと灯ろう天の川             旙山 芳之

織姫が溺れたってさ天の川              伊藤 誠一

大銀河モンゴルの宙沈黙す              工藤 静舟

かずら橋架けて渡らん天の川             徳永 木葉

また一年生き長らへて天の川             中嶋 阿猿

天の川またぞろ空振り夜回り             廣上 正市

鎮魂の海行く船や天の川               溝口戸無広

「秋刀魚」

ぜいたくをコメと秋刀魚で噛みしめる         岡松 卓也

一尾づつ経木の舟に新秋刀魚             金田 青水

秋刀魚焼く煙の向こう昭和かな            岩田 千虎

後手後手のコメ増産や秋刀魚焼く           須藤 光迷

寒流の海の青さや新秋刀魚              中村 迷哲

秋刀魚焼く団扇代りの株新聞             横井 定利

尾頭が皿に収まる痩せ秋刀魚             篠田  朗

当季雑詠

線香花火妻と長生き競ひをり             岡田 鷹洋

盆踊り五十年前ここにゐた              伊藤 健史

喜寿傘寿口紅濃くして盆踊り             中沢 豆乳

縦横に空はカンバス群とんぼ             和泉田 守

滴るる桃のしずくよ敗戦忌              大澤 水牛

終戦日ガザには飢えし子が眠る            岩田 千虎

大声で帰り知らせる滝遊び              植村 方円

ポンポンと西瓜を叩くお坊さん            加藤 明生

トランプに小突かるるまゝ秋に入る          金田 青水

秋暑し古美術商の長ばなし              中嶋 阿猿

《参加者》【出席11人】嵐田双歩、植村方円、大澤水牛、金田青水、坂部富士子、篠田朗、杉山三薬、中野枕流、中村迷哲、溝口戸無広、星川水兎。【投句参加26人】池村実千代、和泉田守、伊藤誠一、伊藤健史、岩田千虎、大沢反平、岡田鷹洋、岡松卓也、加藤明生、工藤静舟、久保道子、久保田操、澤井二堂、須藤光迷、高井百子、高橋ヲブラダ、堤てる夫、徳永木葉、中沢豆乳、中嶋阿猿、旙山芳之、廣上正市、藤野十三妹、水口弥生、向井愉里、横井定利。

(報告 嵐田双歩)

 

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番町喜楽会第230回例会

 

16人参加、「原爆忌」と「萩」を詠む

「天」に木葉「地」に迷哲、「人」に3人

番町喜楽会は令和7年8月2日(土)午後6時、東京・九段下の千代田区生涯学習館で第230回例会を開催した。場所によっては40度を超す狂ったような猛暑日続きで、会員の中には体調を崩す人も出て、出席者は7人に止まり、9名が投句参加となった。今回の兼題は「原爆忌」と「萩」。16人から78句の投句があり、6句選(欠席者は5句)で選句を進めた結果、「天」の位は6点で徳永木葉さんの「黙のまま資料館出づ広島忌」。「地」5点は中村迷哲さんの「兄弟の寝姿似たる夏座敷」、「人」の4点は堤てる夫さんの「姥捨の棚田守るや萩の花」と須藤光迷さんの「終戦日外地に眠る叔父ふたり」、嵐田双歩さんの「めて日傘ゆんで携帯扇風機」の3句が並んだ。以下3点が9句、2点8句、1点21句といつもと同じように票が分散した。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「原爆忌」

黙のまま資料館出づ広島忌              徳永 木葉

電停に祈る人あり原爆忌               中村 迷哲

自販機の水は売切れ原爆忌              嵐田 双歩

必要な犠牲などない原爆忌              斉山 満智

サイレンの響く球場原爆忌              星川 水兎

「萩」

姥捨の棚田守るや萩の花               堤 てる夫

白萩の乱れて隠る芭蕉句碑              廣田 可升

惜しみつつ萩のトンネル抜けにけり          星川 水兎

「当季雑詠」

兄弟の寝姿似たる夏座敷               中村 迷哲

終戦日外地に眠る叔父ふたり             須藤 光迷

めて日傘ゆんで携帯扇風機              嵐田 双歩

塗り直す横断歩道土用照り              玉田春陽子

夏の果プールの底のイヤリング            玉田春陽子

水桶に烏飛び込む大暑かな              大澤 水牛

《参加者》【出席7人】大澤水牛、金田青水、須藤光迷、玉田春陽子、中村迷哲、廣田可升、向井愉里。【投句参加9人】嵐田双歩、斉山満智、澤井二堂、高井百子、堤てる夫、徳永木葉、星川水兎、前島幻水、山口斗詩子。

(報告 大澤水牛)

 

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日経俳句会第240回例会

豆乳句「広島忌」が最高9点、二席8点は正市句「妻の部屋」

「夜の秋」と「ヨット」を詠む

日経俳句会は7月20日(日)、令和7年の7月例会(通算240回)を午後2時から鎌倉橋の千代田区立スポーツセンター集会室で開いた。この日は参議院議員選挙の投票日とあって、不在者投票を終えた人や出がけに済ませた人など9人が出席。少人数ながら活発な意見が飛び交う中身の濃い句会となった。「夜の秋」と「ヨット」の兼題に、37人から111句の投句があり、6句選(欠席は5句)の結果、中沢豆乳さんの「鶴を折る小さき手老いた手広島忌」が9点で一席。二席には廣上正市さんの「妻の部屋ありし日のまま夜の秋」が8点で続いた。次いで三席には須藤光迷さんの「月山を腰掛にして雲の峰」と徳永木葉さんの「爪を切る音の乾きや夜の秋」が7点で並んだ。以下6点5句、5点4句、4点6句、3点9句、2点14句、1点24句と、特定の句に票が集まった。兼題別の高点句(三点以上)は以下の通り。

「夜の秋」

妻の部屋ありし日のまま夜の秋          廣上 正市

爪を切る音の乾きや夜の秋            徳永 木葉

湯けむりを風がさらひて夜の秋          高橋ヲブラダ

大ぶりのぐい呑み出して夜の秋          向井 愉里

小屋はねて浜町河岸に夜の秋           杉山 三薬

瓶底に残るバーボン夜の秋            嵐田 双歩

書き込みし我が文字読めず夜の秋         和泉田 守

ガラガラの映画館出て夜の秋           中嶋 阿猿

夜の秋汽車の奏でる四拍子            伊藤 健史

夜の秋熱めの煎茶父の掌に            水口 弥生

「ヨット」

帰還するヨツトを囃す鷗かな           溝口戸無広

鼻剝けの子らが支へるヨットの帆         金田 青水

見はるかすヨット幾艘比叡山           高井 百子

海燃えて黒きヨットの一つあり          星川 水兎

ヨット乗せ新入部員は台車押す          嵐田 啓明

渋滞の窓にちらつくヨット群           中嶋 阿猿

当季雑詠

鶴を折る小さき手老いた手広島忌         中沢 豆乳

月山を腰掛にして雲の峰             須藤 光迷

生ビール交わす手と手の手話踊る         伊藤 誠一

派手かなと取っては戻し初日傘          中野 枕流

曝書してぱらり一葉諭吉翁            金田 青水

笑点見て笑い転げる妻の夏            工藤 静舟

山百合に出くわす道のくねりたる         向井 愉里

子と風呂で遊んだ記憶浮いて来い         嵐田 双歩

目が覚めるもう疲れてる蟻地獄          和泉田 守

夏菊が一生懸命咲いてゐる            大沢 反平

旧友の打明け話梅雨の雷             徳永 木葉

苗選ぶトマトは愛子と桃太郎           廣上 正市

《参加者》【出席9人】嵐田双歩、岩田千虎、植村方円、大澤水牛、金田青水、篠田朗、杉山三薬、徳永木葉、向井愉里。【投句参加28人】池村実千代、和泉田守、伊藤誠一、伊藤健史、大沢反平、岡田鷹洋、岡松卓也、加藤明生、工藤静舟、久保道子、久保田操、坂部富士子、澤井二堂、須藤光迷、高井百子、高橋ヲブラダ、堤てる夫、中沢豆乳、中嶋阿猿、中野枕流、中村迷哲、旙山芳之、廣上正市、藤野十三妹、星川水兎、溝口戸無広、水口弥生、横井定利。

(報告 嵐田双歩)

 

 

 

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酔吟会第175回例会

11人出席「夕焼」「盆」を詠む

首位8点に水牛「水撒けば」、次席5点春陽子「クリオネ」、4点に4句続々

酔吟会は令和7年の7月例会(通算第175回)を12日午後1時から江東区の芭蕉記念館で開催した。兼題は「夕焼」、向井愉里さんから出題された席題は「盆」。雑詠を含め投句5句、選句6句(うち特選1句)の結果、首位の8点句に大澤水牛さんの「水撒けばごくろうさんと夕立来る」、次点の5点句には玉田春陽子さんの「クリオネを見ると約束盆休み」、4点句に嵐田双歩さんの「夕焼けて妻はいまだに帰らない」、岡田鷹洋さんの「単衣帯きりりと決めて環の中へ」、廣田可升さんの「スクワットで始める稽古盆踊」および「淺草に市立つ朝や藍浴衣」の4句が選ばれた。連日の猛暑が一服して、やや過ごしやすい午後のひと時を、にぎやかな句会で楽しんだ。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「夕焼」

夕焼けて妻はいまだに帰らない       嵐田 双歩

夕焼へ下り快速まっしぐら         杉山 三薬

べそかいて下校する子や大夕焼       廣田 可升

「盆」

クリオネを見ると約束盆休み        玉田春陽子

スクワットで始める稽古盆踊        廣田 可升

真鍮の仏具磨くも盆用意          嵐田 双歩

「当季雑詠」

水撒けばごくろうさんと夕立来る      大澤 水牛

単衣帯きりりと決めて環の中へ       岡田 鷹洋

淺草に市立つ朝や藍浴衣          廣田 可升

竹籠にオクラピーマン茄子トマト      向井 愉里

<句会参加者11人>

嵐田双歩、大澤水牛、岡田鷹洋、金田青水、久保道子、杉山三薬、須藤光迷、玉田春陽子、徳永木葉、廣田可升、向井愉里。 (報告 廣田可升)

 

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番町喜楽会第229回例会

17人参加、「虹」「冷汁」を詠む

首位7点に百子句「七代の墓」、二席6点に水兎句

番町喜楽会は令和7年7月例会(通算第229回)を、7日(月)午後6時半から東京・九段下の千代田区生涯学習館で開催した。35度以上になった猛暑日にもかかわらず、句会には8人が参加、喧々諤々の合評を繰り広げた。兼題は「虹」と「冷汁」。17人から85句の投句があり、6句選(欠席者は5句)の結果、首位7点を高井百子さんの「炎帝や七代の墓仕舞ひけり」が占め、二席に星川水兎さんの「生き方の違う姉妹や冷し汁」が6点で続いた。三席五点には須藤光迷さんの「虹生まれしばしタイムの草野球」、中村迷哲さんの「慰霊の日ニライカナイへ虹わたる」と「故郷の家売れぬまま戻り梅雨」の3句が並んだ。4点は2句、3点は6句だった。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「虹」

虹生まれしばしタイムの草野球           須藤 光迷

慰霊の日ニライカナイへ虹わたる          中村 迷哲

虹を出し子ら追い回すホースかな          須藤 光迷

下ばかり向くな彼方に虹の出る           高井 百子

ミスト浴び小さき虹の見えにけり          向井 愉里

「冷汁」

生き方の違う姉妹や冷し汁             星川 水兎

掻っ込むという言の葉や冷し汁           嵐田 双歩

朝採れのきゅうりを入れて冷やし汁         斉山 満智

冷汁や老人会の村おこし              玉田春陽子

「当季雑詠」

炎帝や七代の墓仕舞ひけり             高井 百子

故郷の家売れぬまま戻り梅雨            中村 迷哲

仰向けに置かるる汗の保安帽            玉田春陽子

行ちがう男子日傘と女子日傘            玉田春陽子

《参加者》【出席8人】池内的中、大澤水牛、金田青水、須藤光迷、玉田春陽子、中村迷哲、廣田可升、前島幻水。【投句参加9人】嵐田双歩、斉山満智、澤井二堂、高井百子、堤てる夫、徳永木葉、星川水兎、向井愉里、山口斗詩子。

(報告 須藤光迷)

 

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日経俳句会上期合同句会

35人参加、「夏至」を詠む

一席愉里句「クイズ」が8点、二席に実千代句と阿猿句

日経俳句会は6月18日(水)、神田・鎌倉橋の日経広告研究所会議室で上期合同句会(通算40回)を開いた。梅雨入り後まもなく梅雨前線が消滅し、梅雨明けしたかのような晴天が続き、この日も朝から30℃を超す暑い一日。合同句会とあって、月例会ではあまり顔を合わせる機会が少ないメンバーを含め15人が出席、合評会はもとより、続く暑気払いを含め俳句談義に花が咲いた。兼題の「夏至」をはじめ35人から103句の投句があり、全員事前選句(5句選)の結果、向井愉里さんの8点句「新聞のクイズ解く母夏至の雨」が堂々の一席。次いで二席には池村実千代さんの「一日を農婦になりて梅仕事」と中嶋阿猿さんの「再会は言葉少なく水羊羹」がそれぞれ7点で並び、一席と二席の上位3人を女性が占めた。三席は6点で、大澤水牛さんの「馬穴七杯梅の実汝如何せん」と玉田春陽子さんの「水鉄砲笑ひの中に放ちけり」が入り、ベテラン2人が実力をみせた。以下、5点5句、4点7句、3点12句、2点14句、1点29句だった。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「夏至」

新聞のクイズ解く母夏至の雨             向井 愉里

夏至の日や路上ライブのアンコール          植村 方円

休耕の田の甦り夏至の雨               中村 迷哲

乗り継ぎ便待つ空港や夏至白夜            廣田 可升

すずらん燈点いても暮れぬ夏至の宵          中沢 豆乳

分けつの稲をはぐくむ夏至の雨            金田 青水

夏至の日や昼酒重ね二日酔い             工藤 静舟

三振もリハビリも華日天心              杉山 三薬

ペンギンさん南極の夏至どんなです          須藤 光迷

夏至が来てまたあの頃が遠くなり           中嶋 阿猿

石垣も天守も夏至の雨の中              廣田 可升

フラミンゴピンクの空の暮れて夏至          星川 水兎

モネの絵の水の煌めき夏至近し            溝口戸無広

「当季雑詠」

一日を農婦になりて梅仕事              池村実千代

再会は言葉少なく水羊羹               中嶋 阿猿

馬穴七杯梅の実汝如何せん              大澤 水牛

水鉄砲笑ひの中に放ちけり              玉田春陽子

どくだみの澄まして咲くや散歩道           大澤 水牛

父の日やギフト売場の小ささよ            篠田  朗

古古米に陽の当たりたる走り梅雨           杉山 三薬

八ヶ岳にゴジラむくむく入道雲            中沢 豆乳

夏星座不滅の3番輝ける               中村 迷哲

百年の孤独半ばに梅雨に入る             廣田 可升

猫達も夫も逝きし水無月よ              藤野十三妹

紫陽花の色を深める小雨かな             溝口戸無広

兄の手を引いて引かれて夏祭             加藤 明生

八十年居座る基地や沖縄忌              須藤 光迷

露天湯に木桶の音や万緑裡              廣上 正市

目の前に異世界のあり熱帯魚             向井 愉里

《参加者》【出席15人】嵐田双歩、池村実千代、和泉田守、植村方円、大澤水牛、坂部富士子、澤井二堂(選句のみ参加)、篠田朗、杉山三薬、玉田春陽子、中村迷哲、廣田可升、星川水兎、溝口戸無広、向井愉里。【投句参加21人】伊藤誠一、伊藤健史、岩田千虎、大沢反平、岡田鷹洋、岡松卓也、加藤明生、金田青水、工藤静舟、久保道子、久保田操、須藤光迷、高橋ヲブラダ、徳永木葉、中沢豆乳、中嶋阿猿、中野枕流、旙山芳之、廣上正市、藤野十三妹、横井定利。

(報告 嵐田双歩)

 

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菖蒲園吟行・向島百花園で句会

参加8人で即日投句・合評講評、打上げは町屋の名物蕎麦

梅雨入りまもない6月14日、堀切菖蒲園と向島百花園をめぐる菖蒲吟行を実施した。雨雲が全国で勢いを増すなか、アメニモマケズと参加したのは嵐田双歩、池村実千代、大澤水牛、金田青水、坂部富士子、澤井二堂、向井愉里、杉山三薬の8人。

午前11時、京成線堀切菖蒲園駅に集合、菖蒲祭りの旗がはためき、紫陽花の咲くクネクネ道を10分ほど歩いて堀切菖蒲園に到着。大変な人出だ。さして広くない園内だが、花菖蒲が今を盛りと何千本。花の種類の多さ。色、形さまざまに刺激を受けたか。午後からの句会では産地や名称にちなむ句が多く出された。

堀切菖蒲園駅に戻り、そこから京成関谷、東武線牛田駅を経由して東武線東向島に向かう。この辺り隅田川と荒川に挟まれた、典型的な下町風景の残るところ。東向島駅近くのインド料理店で昼食。食後10分ほど歩いて向島百花園に到着。園内を散策する人、貸し座敷で一休みの人、2時半から句会開始。今回の吟行は、投句、選句、講評をすべて当日中にすます方式にした。投句2句、選句4句。合評会では高点を逃した句にも、多くの感想、質問が寄せられ、通常の句会にはない臨場感のある句会になった。総括を求められた水牛さんからは「今日はいい句が揃い、充実した討論も出来た。今後ともこういう形式の吟行をやろう。3人以上集まれば吟行だ」と全員に喝を入れられた。

句会終え、全員タクシーで本日の反省会会場、町屋の蕎麦屋「如月徳」へ。上質のつまみと旨い蕎麦で、和やかに一日を締め括った。後で分かったのだが、富士子さんが、てるてる坊主を三つも吊るして今日の晴れを願ってくれていた。その霊験あらたか、夕方まで傘をさすことなく行動できた。参加8人のこの日の代表句は次の通り。

花の名は銘酒に似たり菖蒲園      嵐田 双歩

堀切の菖蒲愛でるや句友あり      池村実千代

白菖蒲凛とその名も香炉峰       大澤 水牛

咲き終へし花がら摘むや菖蒲園     金田 青水

水無月や愉しき里の貸座敷       坂部富士子

葉柳の頬くすぐって池の道       澤井 二堂

花菖蒲初めてクッパ食った町      杉山 三薬

花菖蒲江戸系肥後伊勢咲き揃い     向井 愉里

(報告 杉山三薬)

 

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番町喜楽会第228回例会

16人参加し「入梅」と「鮎」を詠む

投句78句中50句が得点の大乱戦、双歩、水牛が首位並走

番町喜楽会の第228回例会が令和7年6月7日(土)午後6時、東京・九段下の千代田区生涯学習館で行われた。このところ番喜会は忙しかったり身体不調などで欠席者が多くなっているが、この日はそれが甚だしく、欠席投句9名に対して出席が7人に止まった。しかし、こぢんまりとした集いにはなったものの談論風発、とても充実した句会となった。今回の兼題は「入梅」と「鮎」。16人から78句の投句があり、6句選(欠席者は5句)で選句を進めた結果、「天」の位は6点で嵐田双歩さんの「一服の新茶のほぐすわだかまり」と大澤水牛さんの「古古古米行列で買ふ梅雨入かな」の2句が並んだ。「地」の位は4点で、双歩さんの「入梅の雨垂を聞く二度寝かな」、玉田春陽子さんの「川上る姿のままに串の鮎」と「逆さまに空をしずめて植田かな」、そして中村迷哲さんの「石の罠築き少年鮎を待つ」の4句がひしめき合った。「人」の位3点は金田青水さんの「入梅を待たずあぢさゐ小むらさき」と水牛さんの「群れ咲いて十薬日陰かがやかす」の2句だった。このほか2点が11句、1点31句と非常に票が分散し、50句に点が入る大乱戦となったのも今回の特徴だった。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「入梅」

古古古米行列で買ふ梅雨入かな                                        大澤 水牛

入梅の雨垂を聴く二度寝かな             嵐田 双歩

入梅を待たずあぢさゐ小むらさき           金田 青水

「鮎」

川上る姿のままに串の鮎               玉田春陽子

石の罠築き少年鮎を待つ               中村 迷哲

「当季雑詠」

一服の新茶のほぐすわだかまり            嵐田 双歩

逆さまに空をしずめて植田かな            玉田春陽子

群れ咲いて十薬日蔭かがやかす            大澤 水牛

《参加者》【出席7人】大澤水牛、金田青水、玉田春陽子、中村迷哲、廣田可升、前島幻水、向井愉里。【投句参加9人】嵐田双歩、斉山満智、澤井二堂、須藤光迷、高井百子、堤てる夫、徳永木葉、星川水兎、山口斗詩子。

(報告 大澤水牛)

 

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日経俳句会第239回例会

最高9点に方円句・双歩句、二席に水牛句と健史句

「五月」と「卯の花」を詠む

日経俳句会は令和7年の5月例会(通算239回)を5月18日(日)午後2時から鎌倉橋の千代田区立スポーツセンター会議室で開いた。日曜昼間開催の二回目で、爽やかな5月の風に誘われて12人が顔を揃え、にぎやかな句会となった。兼題は「五月」と「卯の花」。34人から101句の投句があり、6句選(欠席は5句)の結果、一席は植村方円さんの「生命線伸びた気のする五月かな」と嵐田双歩さんの「滑舌の悪さを言はれ心太」がともに9点で分け合った。二席8点には伊藤健史さんの「脱いで着て脱いでまた着る五月かな」と大澤水牛さんの「戸車を換へて軽やか五月来ぬ」が並び、三席7点は中沢豆乳さんの「夏揚羽へのへのもへじ空に描く」が入った。以下、5点3句、4点6句、3点11句と続き、2点18句、1点28句と、まんべんなく点が入った。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「五月」

生命線伸びた気のする五月かな            植村 方円

脱いで着て脱いでまた着る五月かな          伊藤 健史

戸車を換へて軽やか五月来ぬ             大澤 水牛

バチカンの白煙祝ふ聖五月              中村 迷哲

野の神が沸き立ち踊る五月かな            岩田 千虎

花が咲きまた花が咲き五月過ぐ            工藤 静舟

湖の先に秀峰五月美(は)し             須藤 光迷

いざ五月大屋根リング風渡る             高橋ヲブラダ

みどりなる五月の地球風の息             中村 迷哲

「卯の花」

卯の花のみな俯いて通夜の家             中沢 豆乳

卯の花や古き歌集をひもときて            池村実千代

卯の花や初月給はまず親へ              岡田 鷹洋

卯の花やコンクラーベに白煙             久保田 操

にぎやかな移住の一家花うつぎ            中村 迷哲

当季雑詠

滑舌の悪さを言はれ心太               嵐田 双歩

夏揚羽へのへのもへじ空に描く            中沢 豆乳

天井へ響く談笑菖蒲の湯               岡田 鷹洋

駐輪の隣の籠も菖蒲の葉               植村 方円

衣更想ひ出ひとつまた消ゆる             加藤 明生

子も孫も男ばかりや柏餅               高井 百子

噺家の仕草なぞりて冷し酒              中野 枕流

柿若葉人麻呂憶良踏みし道              岩田 千虎

船遊び東京に出て半世紀               工藤 静舟

鯉のぼり川に吊るされ立泳ぎ             篠田  朗

鳥眠り黒く光れる代田かな              中嶋 阿猿

《参加者》【出席12人】嵐田双歩、岩田千虎、大澤水牛、金田青水、澤井二堂、篠田朗、杉山三薬、徳永木葉、中沢豆乳、中村迷哲、向井愉里、溝口戸無広。【投句参加22人】池村実千代、伊藤誠一、伊藤健史、植村方円、大沢反平、岡田鷹洋、岡松卓也、加藤明生、工藤静舟、久保道子、久保田操、坂部富士子、須藤光迷、高井百子、高橋ヲブラダ、堤てる夫、中嶋阿猿、中野枕流、旙山芳之、廣上正市、星川水兎、横井定利。

(報告 中村迷哲)

 

 

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番町喜楽会第227回例会

「初夏」と「鮓」を詠む

天に光迷「更衣」と百子「新樹光」

地に満智「初夏の風」と水兎「目張鮓」

番町喜楽会は令和7年5月の例会(通算227回)を12日午後6時半から東京・九段下の千代田区生涯学習館で開催した。兼題は「初夏」と「鮓」、15人から75句の投句があった。選句6句(欠席者は5句)の結果、天には須藤光迷さんの「どっちみちユニクロだけど更衣」と高井百子さんの「ホスピスの兄の枕辺新樹光」が6点で並び、地には斉山満智さんの「カーテンを変えて呼び込む初夏の風」と星川水兎さんの「森ふかく熊野詣の目張鮓」が4点で並んだ。人は3点で7句に上った。2点が10句、1点が22句とかなり票が割れた。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「初夏」

カーテンを変えて呼び込む初夏の風                       斉山 満智

初夏の風なんじゃもんじゃの大木陰         徳永 木葉

貝拾う少女の素足初夏の潮             中村 迷哲

初夏の風と乗りこむ登山客             星川 水兎

「鮓」

森ふかく熊野詣の目張鮓              星川 水兎

子等嬉々とタッチパネルの鮨選び          須藤 光迷

寛解や家族で祝ふ出前寿司             徳永 木葉

瀬戸内の旬とりどりに祭ずし            中村 迷哲

「当季雑詠」

どっちみちユニクロだけど更衣           須藤 光迷

ホスピスの兄の枕辺新樹光             高井 百子

ふるさとの鰹囲んで七回忌             斉山 満智

【句会出席8人】金田青水、須藤光迷、玉田春陽子、中村迷哲、廣田可升、星川水兎、前島幻水、向井愉里。【投句参加7人】嵐田双歩、大澤水牛、斉山満智、高井百子、堤てる夫、徳永木葉、山口斗詩子。

(報告 須藤光迷)

 

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