平成25年双牛舎総会・俳句大会

俳句の普及、振興を目指すNPO法人双牛舎は4月20日午後、市ヶ谷・鮨乃家本店で第6回総会を開催した。日経俳句会、番町喜楽会に加え三四郎句会が双牛舎会員となり、昨年よりも9人多い陣容での開催。総会と同時に開いた俳句大会には44人が参加した。総会は長老、井上庄一郎さん(日経俳句会)の祝辞・乾杯に続いて、共同代表の今泉恂之介(而雲)さんがこの一年間の活動報告を行った。

総会の目玉、俳句大会は兼題の「春風(はるかぜ)」と雑詠の投句2句、選句5句で行われた。メールなどで事前に選句表を作成・発信し、出席者はそれを元に会場に掲げられた作品一覧表に選句シールを貼る方式で進めた。

入賞句の発表前に、昨年4月に行われた第5回総会での俳句大会の入賞句10句が改めて紹介され、書家赤池溪舟師揮毫の短冊が読み上げられ、受賞者に贈られた。

今回の俳句大会で最高の13点を得たのは大澤水牛共同代表の「蝶々にまとひつかれて鍬振るふ」で「天」賞となった。次席の「地」賞は番町喜楽会の田中白山さんで「一人にも二人連れにも春の風」が9点。三席「人」賞も番町喜楽会玉田春陽子さんの「春風に身をふるはせし恋の絵馬」で8点だった。以下、7点1句、6点2句、5点4句で、入選者には水牛さん、須藤光迷さんの陶芸作品が贈呈された。

昨年同様に今年の受賞作10作品は赤池先生に揮毫をお願いし、来年の総会時に贈呈される。今回俳句大会は投句総数が88句にのぼり、そのうち69句に点が入る賑やかさだった。

入賞作品は以下の通り。

「天」  13点 蝶々にまとひつかれて鍬振るふ    大澤 水牛

「地」   9点 一人にも二人連れにも春の風      田中 白山

「人」   8点 春風に身をふるはせし恋の絵馬    玉田春陽子

「入選」  7点 春の日に背より眠気がはいあがり   石黒 賢一

6点 富士見坂名のみとなりて春の風    澤井 二堂

6点 春月に濁点打つやちぎれ雲      谷川 水馬

5点 春風や老人パスを首に掛け      岡田 臣弘

5点 誰かれに声掛けたくて春の風     大澤 水牛

5点 散るものは散りたるけさのさくらかな 廣上 正市

5点 乙女らの黒髪長し春の風       深瀬 久敬

「残念賞( 3点以上句)」

4点

春風やマネキンひそと動きさう    谷川 水馬

春風や億万の恋萌え出る       片野 涸魚

春風や日本へ行くと娘より      井上庄一郎

中庭に春風のある美術展       大沢 反平

鉈彫の仏の笑みや春の風       須藤 光迷

春風やふらり小路のアジフライ    杉山 智宥

恋衣ふはりと春の風にのせ      高橋 楓子

だぶだぶの制服の列春の風      高井 百子

合ふボタン探しあぐねる春の宵    星川 佳子

3点

春風や山門越ゆる一人旅       宇佐美 諭

恐竜の化石つややか春の風      星川 佳子

吊り橋のそこは春風通り道      嵐田 啓明

初蝶の知足の寺に遊びをり      須藤 光迷

バスを待つ言問通り春の風      池村実千代

(まとめ 堤てる夫)

 

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日経俳句会第119回例会

日経俳句会は平成25年第5回例会(通算119回)を5月21日(火)午後6時半から鎌倉橋交差点傍の日経第二別館で開催した。兼題は「夏めく(なつめく)」「薔薇(ばら)」で投句総数は172句(14人が投句参加)で、選句7句で進めた結果、徳永正裕さんの「夏めくや麻の上着の背中皺」が10点を集めて最高点。次席は大熊万歩さんの「夏めくや重たくなりし付け睫毛」の8点句。三席は佐々木碩さんの「夏めくや風のことばに木のことば」と、田中頼子さんの「ふたとせも人入れぬ町花いばら」の7点2句。

次いで6点は「つる薔薇にもの言ひてより母の朝 恂之介」、「病得て薔薇一輪に励まされ 臣弘」、「夏めくや田水の音のたうたうと てる夫」、「夏めくや子等にでつかい背番号 定利」、「薔薇一輪活けて独りの昼餉かな 光久」の5句が並んだ。続く5点は「夏めきて雑巾ぬつてみたくなる 実千代」の1句。以下4点10句、3点7句、2点17句、1点11句。3点以上の高点句が27句も出て会場は大いに沸いた。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「夏めく」

夏めくや麻の上着の背中皺      徳永 正裕

夏めくや重たくなりし付け睫毛    大熊 万歩

夏めくや風のことばに木のことば   佐々木 碩

夏めくや田水の音のたうたうと    堤 てる夫

夏めくや子等にでつかい背番号    横井 定利

夏めきて雑巾ぬつてみたくなる    池村実千代

夏めいて薄暮の似合ふ銀座かな    嵐田 啓明

夏めくやアジアン雑貨の店に入る   植村 博明

夏めくやゼブラ模様のワンピース   大澤 水牛

夏めくやオープンカフェの長話    大沢 反平

夏めくや薄く去年の日焼け跡     高瀬 大虫

夏めくや新潟平野水光る       大倉悌志郎

雲浮かぶ夏めく空に句も浮かぶ    山田 明美

「薔薇」

ふたとせも人入れぬ町花いばら    田中 頼子

つる薔薇にもの言ひてより母の朝   今泉恂之介

病得て薔薇一輪に励まされ      岡田 臣弘

薔薇一輪活けて独りの昼餉かな    吉野 光久

残されて薔薇のはなやぐ空家かな   大沢 反平

青き薔薇蒼穹よりの使者ならん    徳永 正裕

カルメンの運命や赤き薔薇くずる   大倉悌志郎

恩師百われ八十二薔薇盛る      直井  正

「雑詠」

藤棚に乳母車寄せ子と眠る      大倉悌志郎

廃屋や卯の花垣はくずれずに     大倉悌志郎

皿蕎麦や塩田平の新樹光       須藤 光迷

初夏の風入れて電車は大仏へ     大澤 水牛

母の日や里の血縁絶えにけり     大沢 反平

朝顔や谷中往き交ふ介護バス     澤井 二堂

 

参加者(出席)嵐田啓明、池村実千代、今泉恂之介、大熊万歩、大倉悌志郎、大澤水牛、来間紘、佐々木碩、澤井二堂、杉山智宥、須藤光迷、高石昌魚、堤てる夫、徳永正裕、直井正、廣上正市、水口弥生、村田佳代、山田明美、横井定利(投句参加)井上庄一郎、植村博明、大石柏人、大沢反平、大下綾子、岡田臣弘、加藤明男、金田青水、久保田操、高瀬大虫、高橋淳、田中頼子、藤野十三妹、星川佳子、吉野光久  (まとめ・堤てる夫)

 

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番町喜楽会第92回例会

番町喜楽会は5月13日(月)午後6時半、九段の生涯学習会館で五月例会(通算92回)を開いた。兼題は「新緑(しんりょく)」と「蝸牛(かたつむり)」で、投句総数は90句。6句選句で句会を進めた結果、今泉而雲さんの「枝先にありて夕陽のかたつむり」と、高瀬大虫さんの「新緑や例大祭の五色幕」が5点句で最高だった。次席は4点で、大澤水牛さんの「蕎麦屋まで新緑の道四半刻」、谷川水馬さんの「棟上げや新緑の風男らに」と「夏蝶の五差路に出でて迷ひけり」の二句、高橋楓子さんの「湧水や竹の柄杓に蝸牛」と、星川佳子さんの「大ぶりの湯飲み取り出す立夏かな」の合計5句が並んだ。

3点句もやはり5句あり、須藤光迷さんの「新緑のほつほつとあり五稜郭」、水馬さんの「蟇蛙強面にして子煩悩」、楓子さんの「夕暮れて新緑の香の密になり」、玉田春陽子さんの「蝸牛昔出女関所跡」と「踏切のせわしき音や蝸牛」の2句だった。3点以上の高点句12句の内、水馬さんが3句、楓子さんと春陽子さんがそれぞれ2句入り、プロ野球式に言う「複数安打」の3人の笑顔が目立った。

参加者は(出席)井上啓一、今泉而雲、大澤水牛、須藤光迷、高井百子、高橋楓子、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永正裕、星川佳子、前島巌水、三好六甫(投句参加)岩沢克恵、加沼鬼一、笹本塘外、高瀬大虫 (まとめ・堤てる夫)

 

 

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酔吟会第104回例会

酔吟会の平成25年度第3回例会(通算104回)は、5月11日(土)午後1時から神田・鎌倉橋交差点そばの日経第二別館で開かれた。

立夏というのに東北、北海道では雪が降るという異常気象が続いているが、東京はようやく暖かい日和となった。あいにくこの日は雨だったが、12人と酔吟会としては多数参加となった。出席は今泉恂之介、大澤水牛、大沢反平、岡田臣弘、片野涸魚、金指正風、久保田操、澤井二堂、堤てる夫、徳永正裕、星川佳子、藤村詠悟。投句参加は吉野光久。

兼題は「夏の山」と「菖蒲」、投句5句、選句6句で句会を行った結果、最高点は5点で1句、次いで4点が3句、3点が7句、2点8句、1点句18句となった。兼題別の3点以上の句は次の通り。

「夏の山」

夏山の緑を縫ひて郵便車       岡田 臣弘

夏の山木漏れ日弾く早瀬かな     岡田 臣弘

足湯して湖越しの夏の山       大沢 反平

甲斐抜けて山の信濃も夏姿      徳永 正裕

「菖蒲」

菖蒲湯や見るかげもなき力瘤     片野 涸魚

ひらひらと舞ひたちさうに花菖蒲   徳永 正裕

菖蒲青し道場の床磨かれて      今泉恂之介

「雑詠」

完治告げられて飲み干すラムネ哉   吉野 光久

神田祭古き町名よみがへり      大澤 水牛

風の道高き低きをたどる蝶      星川 佳子

花蜜柑母のアルバム古りにけり    吉野 光久

(まとめ 澤井二堂)

 

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平成25年英尾先生墓参桜吟行

村田英尾先生の眠る都営多摩霊園に詣で、隣接の多摩森林科学園で桜狩する日経俳句会恒例行事が4月14日(日)に行われた。麗かな日和に恵まれた多摩丘陵に集ったのは、大澤水牛幹事長を筆頭に、今泉恂之介、田中頼子、高瀬大虫、野田冷峰、徳永正裕、杉山智宥、堤てる夫に、日経俳句会に入会して初参加の村田佳代の計9人。僧籍にある頼子さんに従って読経、お参りをした。

英尾先生没後3周年の平成20年4月に始まった行事で今年が6回目。見慣れた桜保存林ではあるが、毎年、花の盛りは微妙にずれ、今年は染井吉野の姿はなく、遅咲きの八重桜を楽しむだけだった。それでも新しい発見はあるもので、メール句会の作品には新発見や工夫がみられた。

3句選句で「天」5点、「地」3点、「人」2点で計算した結果、高瀬大虫さんの「花人となりて楊貴妃訪ねけり」が13点、野田冷峰さんの「愛娘桜愛でつつ墓参り」が12点、今泉恂之介さんの「花の上渡りゆくなり花吹雪」と徳永正裕さんの「そよ風の花の山行く乳母車」が10点と都合4句が二けた得点した。メール句会で好評を博した参加者各人の句は以下の通り。

 

花の上渡りゆくなり花吹雪    今泉恂之介

水路曲げ外来黄菖蒲隔離策    大澤 水牛

目の端に他人の弁当花吹雪    杉山 智宥

花人となりて楊貴妃訪ねけり   高瀬 大虫

むささびの見下ろしている桜狩  田中 頼子

駅までの街路の桜名残りかな   堤 てる夫

そよ風の花の山行く乳母車    徳永 正裕

愛娘桜愛でつつ墓参り      野田 冷峰

花見には卵焼きよと箸を割る   村田 佳代

結婚を報告墓前にすみれ咲く    同

 

 

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日経俳句会第118回例会

日経俳句会は4月16日(火)午後6時半から鎌倉橋交差点傍の日経第二別館会議室で、平成25年第4回例会(通算118回)を開いた。首都圏の桜はソメイヨシノが盛りを過ぎて八重桜の目立つ頃となった。兼題は「春惜しむ(はるおしむ)」「柳(やなぎ)」で、投句総数は180句。出席者は21人、投句参加が16人。この日、新入会員の北沢淳氏(日経産業地域研究所勤務)が初参加、早速投句、選句にデビューした。

選句7句で句会を進めた結果、最高は大倉悌志郎さんの「春惜しむ一日切符で荒川線」の8点。次席は6点で、大熊万歩さんの「花の名を一つ覚えて春惜しむ」、田中頼子さんの「糸柳やはらかく眉ひきにけり」、水口弥生さんの「オルガンの惜春の音や奏楽堂」の3句が並んだ。続く5点は、野田冷峰さんの「一行の看護日誌や春惜しむ」「その昔川なる土手の柳かな」の2句と、大下綾子さんの「カーテンを洗ひて干して春惜しむ」、吉野光久さんの「芽柳や雨のしづくのうすみどり」の計4句。次いで4点9句、3点12句で、3点以上の高点句が29句も出た。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

 

「春惜しむ」

春惜しむ一日切符で荒川線    大倉悌志郎

花の名を一つ覚えて春惜しむ   大熊 万歩

オルガンの惜春の音や奏楽堂   水口 弥生

カーテンを洗ひて干して春惜しむ 大下 綾子

一行の看護日誌や春惜しむ    野田 冷峰

春惜しむわが道を行く万歩計   井上庄一郎

遺句集に栞はさみて春惜しむ   今泉恂之介

春惜しむ五人になりし同級生   大澤 水牛

齢に合ふ歩数を重ね春惜しむ   高石 昌魚

ふと妻の手に触れ春を惜しみけり 嵐田 啓明

何したと記憶も残らぬ春惜しみ  来間  紘

春惜しむ銀座にどつこい三州屋  杉山 智宥

知床に百花の春を惜しみけり   徳永 正裕

老舗消ゆ神田界隈春惜しむ    水口 弥生

 

「柳」

糸柳やはらかく眉引きにけり   田中 頼子

その昔川なる土手の柳かな    野田 冷峰

芽柳や雨のしづくのうすみどり  吉野 光久

一塁の柳に駈けしゴロ野球    今泉恂之介

閉店の知らせ小さき柳かな    横井 定利

夕ざれて屋根掃く柳蔵の町    水口 弥生

耳遠く柳に風の会話かな     大石 柏人

柳かげ掻揚げ橋善ありし処    大澤 水牛

いにしへの蘇州運河や柳絮舞ふ  岡田 臣弘

新調の眼鏡にゆらぐ青柳     久保田 操

皇宮とビル街分かつ柳かな    徳永 正裕

 

「雑詠」

春深し電車が地下に消えし街   杉山 智宥

故郷なる川をたがはず上り鮎   吉野 光久

さざ波や春過ぎてゆく池の上   今泉恂之介

初花や父退院の日の決まる    大倉悌志郎

 

参加者(出席)池村実千代、今泉恂之介、植村博明、大澤水牛、大平睦子、岡田臣弘、北沢淳、来間紘、佐々木碩、杉山智宥、高石昌魚、高橋淳、田中頼子、堤てる夫、徳永正裕、直井正、野田冷峰、廣上正市、星川佳子、山田明美、横井定利(投句参加)嵐田啓明、井上庄一郎、大石柏人、大熊万歩、大倉悌志郎、大沢反平、大下綾子、加藤明男、金田青水、久保田操、澤井二堂、須藤光迷、高瀬大虫、藤野十三妹、水口弥生、吉野光久

(まとめ・堤てる夫)

 

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第23回三四郎句会

第23回三四郎句会が4月11日、東京・神田錦町の宗保第二ビル内で行われた。会員12人中、11人が出席、1人が欠席投句だった。兼題は花(桜)と朧。「散るたびに覚悟を迫る桜かな」(篠田義彦)、「花筏流れに乗って模様替え」(渡辺信)、「薪はぜシテまかり出ておぼろ月」(河村有弘)が上位の4点で並んだ。次回は6月20日の予定。

(まとめ・今泉恂之介)

 

 

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番町喜楽会第91回例会

番町喜楽会は4月6日(土)午後1時から千代田区二番町の番町ハイム会議室で平成25年第4回例会(通算91回)を開いた。兼題は「桜餅(さくらもち)」「長閑(のどか)」で、欠席投句も含め会員19人から95句の投句があった。

春の暴れ低気圧接近で雲行きあやしい土曜日の昼下がり、会場に姿を見せたのは12人、選句6句(欠席選句は各5句)で句会を進めた結果、最高は9点で大澤水牛さんの「縁談を笑ひ飛ばして桜餅」の1句。水牛さんの句作裏話をきっかけに「最近縁談事情」で合評会が弾んだ。次席は徳永正裕さんの「桜餅たちまち妻の京言葉」の7点句、3席は星川佳子さんの「吹きあぐる風の形に桜散る」で6点句。

5点句は谷川水馬さんの「曳かれゆく浚渫船や湾のどか」、4点句が今泉而雲さんの「茶を淹れて男やもめの桜もち」と続いた。以下、3点は6句、2点13句、1点23句。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「桜餅」

縁談を笑ひ飛ばして桜餅      大澤 水牛

桜餅たちまち妻の京言葉      徳永 正裕

茶を淹れて男やもめの桜もち    今泉 而雲

桜餅おさなき恋の話など      須藤 光迷

「長閑」

曳かれゆく浚渫船や湾のどか    谷川 水馬

長閑さや鯉の昼寝に付き合ひて   高瀬 大虫

長閑なるこのひと時のカフェオ―レ 高橋 楓子

のどけしや不動の索もたゆむほど  加沼 鬼一

のどけしや足だけ見える乳母車   高井 百子

「雑詠」

吹きあぐる風の形に桜散る     星川 佳子

相続や田園調布の老桜       高瀬 大虫

 

参加者(出席)井上啓一、今泉而雲、大澤水牛、須藤光迷、高井百子、高瀬大虫、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永正裕、星川佳子(投句参加)岩沢克恵、加沼鬼一、笹本塘外、高橋楓子、野田冷峰、前島巌水、三好六甫  (まとめ・堤てる夫)

 

 

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日経俳句会第117回例会

日経俳句会は3月19日(火)午後6時半から鎌倉橋交差点傍の日経第二別館8階会議室で、平成25年第3回例会(通算117回)を開いた。兼題は「余寒(よかん)」「桃の花(もものはな)」、出席者は26人で会議室は「ほぼ満席」、投句参加10人の合計36人から170句の投句があった。

7句選句の結果、大熊万歩さんの「仁王像さらに目をむく余寒かな」が11点を集めて最高点。次席は吉野光久さんの「点滴の管のもつるる余寒かな」が9点、辛い治療にめげない頑張りが今月も続く。三席は佐々木碩さん「一湾の風に骨透く干鰈」の8点句。続く7点句は嵐田啓明さんの「石段に鳩吹き溜まる余寒かな」で、啓明さんはこのほか「大きめの産衣は木綿桃の花」で6点を獲得し、4点句、3点句もあり、投句5句中4句が高点句という快挙。

啓明さん以外の6点句は、植村博明さんの「金貸した男と出会ふ余寒かな」と、星川佳子さんの「しゅるしゅると帯結ぶ音桃の花」の計3句。5点句には佳子さんの「尼さんによく会ふ日なり春の風」と、佐々木碩さんの「湯煙りの透きとおりたる余寒かな」、須藤光迷さんの「肩車して春風の中を行く」の合計3句。以下、4点6句、3点10句、2点24句、1点12句。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「余寒」

仁王像さらに目をむく余寒かな   大熊 万歩

点滴の管のもつるる余寒かな    吉野 光久

石段に鳩吹き溜まる余寒かな    嵐田 啓明

金貸した男と出会ふ余寒かな    植村 博明

湯煙りの透きとおりたる余寒かな  佐々木 碩

丸刈りの頭を撫でる余寒かな    加藤 明男

キリン舎の余寒の空に首ばかり   徳永 正裕

梵鐘の音地に沈む余寒かな     徳永 正裕

裸馬余寒の麓に草食めり      嵐田 啓明

神殿の軋む廊下や余寒あり     加藤 明男

二羽の鳩微動だにせぬ余寒かな   久保田 操

カラ元気伝わる電話余寒かな    杉山 智宥

「桃の花」

大きめの産衣は木綿桃の花     嵐田 啓明

しゅるしゅると帯結ぶ音桃の花   星川 佳子

上履きに赤の縁取り桃の花     嵐田 啓明

桃のはな弥勒菩薩の指の先     加藤 明男

もめごとはなしにしようね桃の花  池村実千代

山裾の日に日に染まる桃の花    久保田 操

育爺と呼ばれて嬉し桃の花     須藤 光迷

里山の地蔵の笑顔桃の花      高石 昌魚

控え目に泣く子なりけり桃の花   廣上 正市

「雑詠」

一湾の風に骨透く干鰈       佐々木 碩

肩車して春風の中を行く      須藤 光迷

尼さんによく会ふ日なり春の風   星川 佳子

野焼の火長門石見の国ざかひ    大澤 水牛

月朧萬年橋に猫群れて       横井 定利

 

参加者(出席)嵐田啓明、池村実千代、井上庄一郎、今泉恂之介、植村博明、大熊万歩、大倉悌志郎、大澤水牛、大沢反平、大平睦子、岡田臣弘、来間紘、佐々木碩、杉山智宥、須藤光迷、高石昌魚、高瀬大虫、堤てる夫、徳永正裕、直井正、野田冷峰、廣上正市、藤野十三妹、星川佳子、山田明美、横井定利(投句参加)和泉田守、大石柏人、加藤明男、金田青水、久保田操、澤井二堂、高橋淳、田中頼子、村田佳代、吉野光久

(まとめ・堤てる夫)

 

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長門石見吟行

日経俳句会と番町喜楽会の合同吟行として三月十日から十二日まで二泊三日で山口、萩、津和野を回った。山口県立大学教授だった高瀬大虫さんが幹事となり、勝手知ったる山口市の湯田温泉を皮切りに、大内・毛利氏の旧跡、雪舟ゆかりの寺や庭、幕末明治維新の志士たちの旧宅、史跡などを巡遊、これが名残という玄界灘のとらふぐを賞味し、世界一の椿の原生林を巡るなど充実した吟行だった。

忙しい人たちばかりの俳句会だから「二泊」となると途端に参加者が少なくなる。それでも大虫幹事をはじめ、須藤光迷、堤てる夫、徳永正裕、高井百子、谷川水馬、玉田春陽子、大澤水牛の八名が参加した。高井、谷川、玉田三氏は番町喜楽会のメンバーで、残る五人は両方の句会を掛け持ちしている。とにかく気心の知れた仲間だけに和気藹々の俳句旅となり、絶品菜種河豚に感激して連句まで巻き上げてしまった。

帰京後に行ったメール句会には吟行に参加できなかった今泉而雲氏にも選句に加わってもらった。「三句以上いくらでも投句してよろしい」という妙な縛りを設けたところ、一人が八句と頑張ったが、七人が五句投句の常識的な範囲におさまった。七句選の結果最高は五点で、「芽柳や鯉は頬寄せ動かざる」という須藤光迷さんの津和野のメタボ鯉夫婦(?)を詠んだ句と、谷川水馬さんの「連衆の寄り目で掬ふ素魚かな」という萩シーマートでのシロウオ躍り食いに狂奔する一行を詠んだ句が選ばれた。その他人気をあつめた句は以下の通り。

《山口市にて》

菜種河豚発句品良く半歌仙    谷川 水馬

仕舞ふぐ熟女ふたりの箸使ひ   徳永 正裕

猿も訪ふ雲谷庵や紫木蓮     須藤 光迷

春北風の廃寺石垣鳴らしけり   大澤 水牛

春寒しむかし大寺の崩れ垣    徳永 正裕

《萩》

利休の忌萩の七化けてふを買ふ  谷川 水馬

槍さして若布採る人萩の海    高井 百子

扁額に溢れる明治梅の花     堤 てる夫

萩湾へなだるる椿二万本     大澤 水牛

海女の桶すこし流れぬ春の潮   高瀬 大虫

《津和野で》

注連縄を飾る駅舎や山笑ふ    玉田春陽子

 

 

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