新春恒例合同谷中七福神吟行

日経俳句会、番町喜楽会は1月10日(土)、合同で谷中七福神を巡る新春初吟行を開催した。句会の席は設けずに恒例メール句会を実施、参加22人、投句総数は106句となった。選句は6句とし、「天」「地」「人」各1句と入選3句をメール投票した。

幹事が参加者の選句表を取りまとめ、天5点、地3点、人2点、選1点で得点集計した結果、最高得点は高瀬大虫さんの「十兵衛の塔の礎石や冬の苔」で16点を集めた。次いで嵐田双歩さんの「特落ちの火事やあれから六十年」と、須藤光迷さんの「千両や堂宇の前は靴の海」が12点、玉田春陽子さんの「人生の余白は如何に初みくじ」が11点、井上啓一さんの「福詣傘寿が祈る寿老人」が10点と続いた。

参加者は大澤水牛幹事長以下、嵐田双歩、井上啓一、今泉恂之介、大沢反平、大下綾子、大平睦子、岡田臣弘、片野涸魚、澤井二堂、杉山智宥、須藤光迷、高瀬大虫、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永正裕、野田冷峰、廣田可升、星川佳子、前島巌水という顔ぶれ。

参加22人の好評を博した作品は次の通り。(氏名の後のカッコ内の「日経」は日経俳句会、「番喜」は番町喜楽会、「両会」は両方に加盟の意味)。

嵐田 双歩(両会)  特落ちの火事やあれから六十年

井上 啓一(番喜)  福詣傘寿が祈る寿老人

今泉恂之介(両会)  冬景の群像写真となる我ら

大澤 水牛(両会)  弁天にお許し乞ひておでん酒

大沢 反平(日経)  長らへていま再びの七福神

大下 綾子(両会)  白障子黒く鎮もる大黒天

大平 睦子(日経)  根津の春幹事の気くばり晴れ晴れ家

岡田 臣弘(日経)  冬晴れや赤紙不戦祈願せり

片野 涸魚(日経)  冬晴れや事なき日々のありがたさ

澤井 二堂(日経)  寒空に腹だし布袋や谷中道

杉山 智宥(日経)  路地裏に迷うも谷中福詣

須藤 光迷(両会)  千両や堂宇の前は靴の海

高瀬 大虫(両会)  十兵衛の塔の礎石や冬の苔

田中 白山(番喜)  絶品の寒の締め鯖晴れ晴れ家

谷川 水馬(両会)  万蕾をひたと揃へて寒椿

玉田春陽子(両会)  人生の余白は如何に初みくじ

堤 てる夫(両会)  芳崖の小さき墓石冬木立

徳永 正裕(両会)  赤仁王手足どこやら着ぶくれて

野田 冷峰(両会)  寿老人へのへのもへじへのもへじ

廣田 可升(番喜)  卒塔婆をめぐる冬日やまよひ道

星川 佳子(両会)  もう金はいらぬと端折る七福神

前島 巌水(番喜)  人の波遥かに拝む七福神

(まとめ 堤てる夫)

 

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番町喜楽会2015年幕開け句会

番町喜楽会は平成27年の幕開け句会(通算112回例会)を1月5日(月)午後6時半から九段下の千代田区立生涯学習館で開催した。

快晴で日中気温が14度になるという上々の天気で、夜になってもそれほど寒くない。仕事始めの5日早々の句会では出席率の低下が心配されたが、常連メンバーがほぼ勢揃いの出席15名、投句参加3名という大賑わいの初春句会となった。自由会員の宮本瓢六さんがメールによる選句という形で特別参加。

今回の兼題は「新年」にまつわる季語一切という、正月句会にふさわしい緩やかな方式を取った。投句5句で投句総数は88句だった。選句6句で句会を行った結果、最高点は6点で玉田春陽子さんの「本棚の一棚あけて鏡餅」の1句。続く5点は谷川水馬さんの「嫁迎へ一膳増ゆる祝箸」と須藤光迷さんの「勾玉のペンダントゆれ初鏡」の2句だった。4点は「菜を刻むいつもの音す初明り 正裕」「ジャム瓶の蓋の手強き二日かな 春陽子」「喜寿傘寿集ひて巡る七福神 厳水」「門幕の家紋厳し冬灯 水馬」の4句となった。以下、3点が6句、2点16句、1点22句と続いた。3点以上を獲得した句は以下の通り。

「新年全般」

本棚の一棚あけて鏡餅       玉田春陽子

嫁迎へ一膳増ゆる祝箸       谷川 水馬

勾玉のペンダントゆれ初鏡     須藤 光迷

菜を刻むいつもの音す初明り    徳永 正裕

ジャム瓶の蓋の手強き二日かな   玉田春陽子

喜寿傘寿集ひて巡る七福神     前島 厳水

みやあといふ声に新年明けにけり  大澤 水牛

幸先のよき手応えや竿はじめ    高瀬 大虫

若水を猫にも少し汲みにけり    大澤 水牛

書初の一気呵成の希望かな     岩沢 克恵

抜け道は寺につづけり去年今年   星川 佳子

四肢伸ばし溜息伸ばす初湯かな   嵐田 双歩

「雑詠」

門幕の家紋厳し冬灯        谷川 水馬

【参加者】(出席)井上啓一、今泉而雲、大澤水牛、須藤光迷、高井百子、高瀬大虫、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永正裕、野田冷峰、廣田可升、星川佳子、前島厳水、(投句参加)嵐田双歩、岩沢克恵、大下綾子、(選句参加)宮本瓢六。

(まとめ 大澤水牛)

 

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平成26年度日経俳句会賞

平成26年12月17日の日経俳句会年次総会、合同句会後の懇親忘年会の席上、恒例の「日経俳句会賞」受賞者が発表され、贈賞式が行われた。英尾賞には嵐田双歩氏、日経俳句会賞には岡田臣弘、堤てる夫、流合研士郎、星川佳子の四氏が選ばれ、大澤水牛幹事長から賞状と記念品が贈られた。

日経俳句会賞も今回が10回目となり、これまでに受賞経験のある人が再度選ばれる「複数回受賞者」が初めて現れた。英尾賞の嵐田さんは平成23年度(第7回)についで二度目、堤さんと星川さんは平成17年の第1回受賞者である。

第10回日経俳句会賞受賞作品は次の通り。

《日経俳句会英尾賞》

どの田にも水走らせよ時鳥      嵐田 双歩

《日経俳句会賞》

梅雨明けや孫の襁褓もとれたるぞ   岡田 臣弘

雨蛙畳の上に居る不思議       堤 てる夫

狐火と見えし旅路の遠灯り      流合研士郎

糸杉の絵のゆらぎをる大暑かな    星川 佳子

 

 

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日経俳句会下期合同句会

日経俳句会は12月17日(水)夕、年次総会に引き続いて恒例の年末合同句会を開催した。暴れ低気圧のせいで大雪、寒波のニュースが溢れる中、都心は好天に恵まれて、出席者は29人(投句参加6人)と会場満席の盛況となった。

兼題は年末句会にふさわしく「年惜しむ(としおしむ)」「時雨(しぐれ)」で、雑詠含め投句3句、投句総数は105句に上った。事前に4句選句した集計結果を嵐田双歩幹事が発表する「合同句会方式」で幕開け。

最高点は澤井二堂さんの「親の役子の役終へて年惜しむ」の9点句。次席は久保田操さんの「小夜時雨店番の猫ジャズを聴き」の7点句。三席は大熊万歩さんの「おでん屋のひげの抜けたる招き猫」と、横井定利さんの「締切の無き人生や日向ぼこ」の6点2句。続く5点句は杉山智宥さんの「年惜しむせめて背筋は高倉健」の1句。次いで4点が6句、以下3点7句、2点16句、1点30句となった。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「年惜しむ」

親の役子の役終へて年惜しむ    澤井 二堂

年惜しむせめて背筋は高倉健    杉山 智宥

罰当たりかも昼の湯に年惜しむ   大澤 水牛

お気に入り白磁で一献年惜しむ   大熊 万歩

最終便車窓の灯り年惜しむ     久保田 操

「時雨」

小夜時雨店番の猫ジャズを聴き   久保田 操

これよりは北国街道しぐれみち   嵐田 双歩

雲速し手摺にのこる時雨痕     高瀬 大虫

時雨るるや色なき街に赤き傘    星川 佳子

大原女の袂濡らすや小夜時雨    加藤 明男

裏山に葉擦れ走りて時雨けり    谷川 水馬

浅草は寄席のはね刻夕時雨     玉田春陽子

LED時雨を浴びて煌めけり      流合研士郎

「雑詠」

おでん屋のひげの抜けたる招き猫  大熊 万歩

締切の無き人生や日向ぼこ     横井 定利

草の根の静かに眠る枯野かな    今泉恂之介

縮こまる心励ます冬菜かな     大澤 水牛

遠き日の師走映画や高倉健     片野 涸魚

 

参加者(出席)嵐田双歩、井上庄一郎、今泉恂之介、大倉悌志郎、大澤水牛、大沢反平、大下綾子、岡田臣弘、片野涸魚、澤井二堂、杉山智宥、鈴木好夫、須藤光迷、高井百子、高石昌魚、高瀬大虫、高橋ヲブラダ、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永正裕、直井正、野田冷峰、流合研士郎、廣上正市、藤野十三妹、藤村詠悟、星川佳子、 横井定利(投句参加)池村実千代、植村博明、大熊万歩、加藤明男、金田青水、久保田操

(まとめ・堤てる夫)

 

 

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平成26年度日経俳句会年次総会

日経俳句会は12月17日(水)夕、東京・内神田鎌倉橋交差点そばの日経広告研究所会議室で、平成26年度年次総会を開催した。続いて年末恒例の合同句会(通算十九回)と平成二十六年度「日経俳句会賞」の贈賞式を行った後、懇親会に移り一年間の活動を締めくくった。

年次総会では、大澤水牛幹事長が年間総括の活動報告で「酔吟会に新規加入があるなど活発な句会活動を展開した。27年度も例会、吟行など各種合同行事を今年度と同様のペースで実施したい」と述べた。

会計担当の星川佳子幹事が平成26年の会計収支を報告した。田中頼子幹事の引退に伴う幹事団の編成については、補充人事は行わず現体制で運営する方針を確認した。

 

平成26年活動報告と27年活動方針(要旨)

(1)例会活動

日経俳句会は1月21日の第125回から11月19日の第134回まで計十回、酔吟会は1月11日の第108回から11月9日の第113回まで計6回、それぞれ計画通り例会を開催した。高齢化が進む酔吟会には、春に大平睦子さん、秋に番町喜楽会の高井百子さん、玉田春陽子さん、谷川水馬さんが新加入して活性化した。

(2)活発な合同句会活動

合同句会は6月18日の上期、12月17日の下期と予定通り年2回開催した。足掛け5年かけた「逆回り奥の細道」吟行が大団円を迎えた。新年1月25日、草加、千住を巡り、俳聖芭蕉が奥の細道のスタートを切った深川・採搽庵前で参加23人が記念撮影、近くの料理屋で打ち上げ懇親会を催した。

このほか1月5日には番町喜楽会メンバーも参加して「川越七福神吟行」、4月12日には「英尾先生墓参・桜吟行」、9月7、8両日には長野・千曲市の「姥捨山棚田の名月吟行」、11月3、4両日には「秩父長瀞紅葉吟行」を挙行した。いずれも番町喜楽会の参加も得ての大合同行事となった。

(3)双牛舎年次総会パーティー

日経俳句会活動を下支えしているNPO法人双牛舎(代表理事今泉恂之介・大澤水牛)の第7回年次総会が4月19日に二番町のホテル「グリーンパレス」で開催された。日経俳句会、番町喜楽会さらに三四郎句会のメンバーが参加、42名が出席し俳句大会に投句参加するなど盛会だった。

双牛舎が発信しているブログ「みんなの俳句」は平成20年1月1日にスタート、日経俳句会、番町喜楽会、三四郎句会会員の作品を紹介している。

(4)広報活動

句会活動は活発だったが、その広報活動には問題が生じた。年2回発行の公式機関誌「日経俳句会報」は4月に第18号を発行したが、10月に予定した第19号は次年年度持ち越しとなった。毎月の例会報告などを記録した「日経俳句会月報」は年12回発行のところ2回欠けてしまった。編集人の体調不良が主原因であり、月報、会報の在り方も含め編集体制を再考する必要がある。

(5)平成27年の活動方針

例会活動、「英尾先生墓参・桜吟行」はじめ各種合同行事など26年とほぼ同様のペースで実施する。4月に予定しているNPO法人双牛舎年次総会、「双牛舎俳句大会」の際には「合本みんなの俳句」第7号を配布する。

(報告 堤てる夫)

 

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番町喜楽会第111回例会

番町喜楽会は12月6日(土)午後6時半から九段下の千代田区立生涯学習館で、平成26年締め括りの例会(通算111回)を開いた。兼題は「枯野(かれの)」と「年の暮(としのくれ)」で、12人が出席、5人が投句参加した。投句総数85句で、6句選句の結果、最高は玉田春陽子さんの「枯野行くきのふと違う風の道」の5点句。続く4点には岩沢克恵さんの「蕪炊く今日一日のねぎらひに」と「タクシーを待つ僧房に冬の月」の2句、須藤光迷さんの「七五三上目づかいで手を合わす」、春陽子さんの「一筋の流れ横たへ大枯野」の計4句。以下、3点5句、2点20句、1点22句。

新規入会・前回初陣の廣田嘉章(よしあき)さんが俳号「可升(かしょう)」をお披露目した。

兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「枯野」

枯野行くきのふと違う風の道     玉田春陽子

一筋の流れ横たへ大枯野       玉田春陽子

道灌の伏兵どつと枯野原       大澤 水牛

信濃川ゆつたり動く枯野かな     井上 啓一

「年の暮」

吊革に両手で縋り年の暮       玉田春陽子

異土の蝶いずれに在るや年の暮    堤 てる夫

「雑詠」

蕪炊く今日一日のねぎらひに     岩沢 克恵

タクシーを待つ僧房に冬の月     岩沢 克恵

七五三上目づかいで手を合わす    須藤 光迷

小春日や布団に天日丸め込み     井上 啓一

 

参加者(出席)嵐田双歩、井上啓一、今泉而雲、大澤水牛、須藤光迷、高瀬大虫、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、廣田可升、星川佳子、前島巌水、(投句参加)岩沢克恵、高井百子、田中白山、野田冷峰

(まとめ・堤てる夫)

 

 

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日経俳句会第134回例会

日経俳句会は11月19日(水)午後6時半から、東京・内神田鎌倉橋交差点そばの日経広告研究所会議室で11月例会(通算134回)を開いた。行く秋も足早、冬の到来も気ぜわしい時候ながら20人が出席し、「短日(たんじつ)」「枯蓮(かれはす)」の兼題を巡っての投句総数は、投句参加者12人分を含め、156句と賑わった。選句7句での句会の結果、最高は星川佳子さんの「風土記よりつづく社や蓮の骨」の9点句。次席は大下綾子さんの「機嫌よき老親とゐる小春かな」の7点句。三席は嵐田双歩さんの「枯蓮の陽あたる方へ折れにけり」の6点句だった。

続く5点句は「短日の取り残されし洗ひ物 双歩」、「残りしは寄り添ふ二本枯はちす 大澤水牛」、「同じ場所探し物して日短 綾子」の3句。次いで4点句は8句、3点8句。以下2点29句、1点43句。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「短日」

短日の取り残されし洗ひ物     嵐田 双歩

同じ場所探しものして日短     大下 綾子

短日や知らず捗る庭仕事      井上庄一郎

短日の一日でありし憂国忌     今泉恂之介

短日やチャイムが急かす宅急便   岡田 臣弘

音もなく短日山になだれ落ち    直井  正

短日やなお黙々と農夫婦      植村 博明

乗り違え逆行く電車暮れ易し    徳永 正裕

短日や人恋しさに歌舞伎町     野田 冷峰

「枯蓮」

風土記よりつづく社や蓮の骨    星川 佳子

枯蓮の陽あたる方へ折れにけり   嵐田 双歩

残りしは寄り添ふ二本枯はちす   大澤 水牛

枯蓮の蝿ゆつくりと身繕ひ     金田 青水

枯蓮や髭剃つているホームレス   横井 定利

新聞にへばりつかれて蓮の骨    横井 定利

枯蓮に日差し豊かな日なりけり   今泉恂之介

枯蓮や昔のままの片笑窪      高石 昌魚

「雑詠」

機嫌よき老親とゐる小春かな    大下 綾子

巡礼の前へ後ろへ秋の蝶      大澤 水牛

木枯らしの淋しき方へ吹きにけり  嵐田 双歩

張替を終へし障子の小春かな    井上庄一郎

烏帽子岳眺めて冬の支度かな    堤 てる夫

 

参加者(出席)嵐田双歩、今泉恂之介、大倉悌志郎、大澤水牛、澤井二堂、杉山智宥、鈴木好夫、須藤光迷、高石昌魚、高瀬大虫、高橋ヲブラダ、堤てる夫、徳永正裕、直井正、野田冷峰、廣上正市、藤野十三妹、星川佳子、水口弥生、横井定利(投句参加)池村実千代、井上庄一郎、植村博明、大熊万歩、大沢反平、大下綾子、岡田臣弘、加藤明男、金田青水、久保田操、流合研士郎、藤村詠悟          (まとめ・堤てる夫)

 

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酔吟会第113回例会

11月8日(土)午後1時から千代田区内神田の日経広告研究所会議室で第113回酔吟会が開かれた。前日が立冬、時折雨の降るうすら寒い日だったが、出席16人、投句参加2人という盛況だった。

今回の兼題は「木枯」と「納豆」。投句五句、選句6句で句会を行った結果、最高点は5点で「納豆のおかめ印と古女房 恂之介」「ススキの穂つるりと撫でて奥秩父 佳子」の2句、次席4点は「木枯らしや列の乱れぬ通学路 百子」「納豆や糸引くごとき別れあり 冷峰」「凩のこけつまろびつ富士見坂 水馬」「木枯らしや犬もおしつこ端折りをり 臣弘」「納豆や主婦のカラオケ参加賞 春陽子」の5句だった。続く3点は6句、2点が9句、1点が30句も出た。兼題別の高得点句(3点以上)は次の通り。

「木枯」

木枯らしや列の乱れぬ通学路     高井 百子

凩のこけつまろびつ富士見坂     谷川 水馬

木枯らしや犬もおしつこ端折りをる  岡田 臣弘

木枯や長瀞の鵜の男前        大澤 水牛

「納豆」

納豆のおかめ印と古女房       今泉恂之介

納豆や糸引くごとき別れあり     野田 冷峰

納豆や主婦のカラオケ参加賞     玉田春陽子

納豆どすか居ておへんえと今日の宿  藤野十三妹

納豆よ八十路遠しと思ひしに     今泉恂之介

「雑詠」

ススキの穂つるりと撫でて奥秩父   星川 佳子

朴の葉の落ちて巡礼驚かす      大澤 水牛

赤き実の見え隠れして落葉掻き    高井 百子

草紅葉草木成仏至仏山        野田 冷峰

【参加者】(出席)今泉恂之介、大澤水牛、大沢反平、大平睦子、岡田臣弘、片野涸魚、久保田操、澤井二堂、高井百子、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永正裕、野田冷峰、藤村詠悟、星川佳子、(投句参加)金指正風、藤野十三妹。

(まとめ 大澤水牛)

 

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秩父長瀞合同吟行会を開催

番町喜楽会が日経俳句会に呼びかける形で11月3,4日、一泊二日で秩父長瀞吟行を実施した。日経俳句会からも3人が参加し、総勢14名でちらほら紅葉し始めた秩父の観音札所を巡り、長瀞川下りなど盛りだくさんのイベントをこなして佳句が量産された。

吟行句会は帰京後幹事に投句し、メール選句による恒例の方法で行われた。投句は3句以上5句以内、選句は5句で「天」(5点)、「地」(3点)、「人」(2点)、「入選」2句(1点)を選ぶ形式を採った。その結果、最高点は15点で、久保田操さんの「陽を残す秩父連山冬隣」と谷川水馬さんの「にこにこと志功の鬼や文化の日」の二句が並んだ。次いで「句案して秩父の酒と菜漬かな 大澤水牛」が12点、三席は8点で「狼の骨あたためむ銀杏散る 星川佳子」だった。その他の高点句および参加者各人の人気を呼んだ句は以下の通り。

鹿肉に秩父錦の新酒かな      井上 啓一

うつすらと粧ふ秩父山の国     大澤 水牛

とろろ蕎麦鹿を仕留めし話聴く   大下 綾子

冬うらら貨車も居座る秩父駅    岡田 臣弘

お遍路の衣に映る冬紅葉      久保田 操

銀杏散る日本武尊の越えし山    須藤 光迷

瀞澄むや水底の石に秋の雲     高瀬 大虫

一枚ガラスいつぱいに秋の景    田中 白山

冬晴れや白き前垂れ武甲山     谷川 水馬

きのこ売り放射線量検査済     玉田春陽子

結願の寺に一本冬桜        堤 てる夫

秋水を手もなく捌く川下り     徳永 正裕

山風に芒かしぐや奥秩父      星川 佳子

秩父路の札所巡りや暮の秋     前島 厳水

(まとめ 大澤水牛)

 

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番町喜楽会第110回例会

番町喜楽会は11月1日(土)午後6時から千代田区九段下の区立生涯学習館で第110回例会を開いた。兼題は「酉の市(とりのいち)」「鍋物(なべもの)一般」で、投句5句、選句6句で進めた結果、最高は5点で、須藤光迷さんの「夫婦には見えぬ二人や桜鍋」と、田中白山さんの「新旧の村人集ふ牡丹鍋」の2句。次席は4点で、嵐田双歩さんの「二人なら余る幸せつみれ鍋」、堤てる夫さんの「雑踏をこらへ切つたり大熊手」、山口斗詩子さんの「煮詰まりし白菜残る一人鍋」の3句。

続く3点句は、「牡蠣鍋や生二三個を分けておく 井上啓一」「口切りの話も出たり虎屋前 岩沢克恵」「箸先の右往左往や牡蠣の鍋 玉田春陽子」「夕紅葉石塔高き仏国寺 てる夫」「久々に腕をからめて三の酉 星川佳子」の計5句。

当日は会場変更・日程変更が重なって、事前に幹事宛てメール投句し、選句表が当日配布される番町喜楽会の通常方式が不可能になり、短冊に作品を書き込んで投句する伝統方式に則って句会を行った。しかし句会は円滑に進み、雨中の居酒屋に繰り出しての反省会まで滞りなく終えた。

なお日経俳句会の嵐田双歩さん(日経写真部OB)と、廣田嘉章さん(TDK元取締役)が入会、この日初参加され、投句・選句・講評に手慣れたところをみせてくれた。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「酉の市」

雑踏をこらへ切つたり大熊手       堤 てる夫

久々に腕をからめて三の酉        星川 佳子

「鍋物」

夫婦には見えぬ二人や桜鍋        須藤 光迷

新旧の村人集ふ牡丹鍋          田中 白山

二人なら余る幸せつみれ鍋        嵐田 双歩

煮詰まりし白菜残る一人鍋        山口斗詩子

牡蠣鍋や生二、三個を分けておく     井上 啓一

箸先の右往左往や牡蠣の鍋        玉田春陽子

「雑詠」

口切りの話も出たり虎屋前        岩沢 克恵

夕紅葉石塔高き仏国寺          堤 てる夫

参加者(出席)嵐田双歩、井上啓一、今泉恂之介、大澤水牛、須藤光迷、高井百子、高瀬大虫、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永正裕、野田冷峰、廣田嘉章、前島巌水、(投句参加)岩沢克恵、星川佳子、山口斗詩子   (まとめ・堤てる夫)

 

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